インタビュー
名作シリーズの新たな局面を開いた,ハンゲームでサービス中の「大戦略WEB」のアレコレを,システムソフト・アルファー社長 宮迫靖氏に聞いてみた
すでにプレイレポートなどでお伝えしているとおり,このブラウザゲーム版「大戦略WEB」は,従来の大戦略とは大きく異なるゲームになっている。これは一体どうしたことなのか,NHN Japan 大戦略WEB総合プロデューサーの里吉洋樹氏と,開発ディレクターの村上春樹氏,そしてシステムソフト・アルファー 代表取締役社長 宮迫 靖氏に,いろいろ聞いてみた。
「大戦略WEB」公式サイト
「大戦略WEB」関連記事一覧
最初の難関は「大戦略」のゲーム性と
オンラインゲームの面白さのマッチング
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。何といっても気になるのが,大戦略シリーズをブラウザゲームにしようと考えた経緯です。大戦略といえば,日本のPCゲームでは息の長いタイトルで,多くのファンがいますが,これまでに根幹のゲームデザインを大きく変えるような路線変更はなかったですよね。
里吉洋樹氏(以下,里吉氏):
最初に説明しておくと,僕らはハンゲームの中でも「じっくりゲーム」を運営している部署なんです。このカテゴリーでは多くのタイトルを扱っていますが,その大半は韓国産のタイトルを買い付けて運営しています。
4Gamer:
ええ,そうですね。
里吉氏:
しかしその一方で,日本のお客様に向けた国産のオンラインゲームを提供したいという気持ちも強いんです。そこで「A&Rプロジェクト」と称した,国産オンラインゲームを作っていくプロジェクトを社内に立ち上げたんです。そしてプロジェクトの基礎を固める最初の1本として,25年の歴史を持ち,知名度も高い大戦略はどうだろうかと,システムソフト・アルファーさんにご相談したというわけです。
4Gamer:
そこで往年の大戦略を選択するあたりに,プロジェクトのコアさがうかがえますね。
里吉氏:
もっとも,当初は大戦略にしようか,それとも「萌え萌え2次大戦(略)」路線で行こうかと,相談していた事実もあるんですが(笑)。お話ししたとおり,やはり大事な最初の1本ですから,いきなり“萌え”を持ってこなくてもいいんじゃない? ということになりまして。
宮迫 靖氏(以下,宮迫氏):
システムソフト・アルファーとしても,ずっとPC/コンシューマとゲームに携わってきていますから,いずれオンラインゲームもやらなければいけないということは認識していました。実際,他社さんからチラホラとお話をいただいていましたし。しかし,大戦略というゲーム自体があまりにも肥大化していますので,そのままポンとオンライン化はできない。そこでどうアレンジするかというのは,ずっと我が社の課題でした。
4Gamer:
シリーズもバリエーションが多岐に及んでいますから,どれをどうオンライン化するか決めるのも大変そうです。
宮迫氏:
もちろん,自分達で考えたプランはあったんですよ。ただ,そこから先になかなか進まなかった。そんな状況のなか,里吉さんと出会ったわけです。里吉さんは,オンラインの大戦略にかなり明快なイメージを持っておられたんです。
里吉氏:
正直にいってしまうと,システムソフト・アルファーさんの大戦略を,ほぼそのままオンラインにしてしまおうと考えていた時期もあります。しかし宮迫さんとも相談したのですが,パッケージ版の大戦略にも今やオンライン対戦機能を持つバージョンがありますから,それをあらためてオンラインゲーム化してもどうだろうという疑問が出てきました。そうした諸々と予算などを考慮し,プロデューサーとして企画案をまとめて,開発ディレクターに就任した村上に相談したんです。ところが,村上がその社内案にダメ出しをしまして。
4Gamer:
それは,どういったダメ出しだったんでしょう?
里吉氏:
向き不向きの問題ですね。つまり,大戦略が持つ“ターン制で,ユニットをHEXに配置していく”というゲーム性はオンラインゲームに向いていない,と。「これではオンラインゲームとして面白くならない」というわけです。
村上春樹氏(以下,村上氏):
最初に話を聞いてから,「大戦略のゲーム性とは何か」「オンラインゲームの面白さとは何か」という二点について,いろいろ考えたんです。しかしどう考えても,この二つはバッティングしてしまいます。そこで,申し訳ないのですが既存の大戦略のゲーム性を生かすのではなく,こうすればオンラインゲームとして面白くなるという案を出したんです。
里吉氏:
プロデューサーの立場としては,その変更に伴うリスクを冒していいものか迷いました。ただ,開発ディレクターが「こうすれば面白くなる」というのを無視するわけにはいきません。そこで社内でいろいろ立ち回って予算を確保し,何とか“オンラインゲームとして面白い大戦略”へと方向転換を図ったんです。……村上がもうちょっと早く言ってくれれば,もっと楽に話が進んだのに(笑)。
村上氏:
本当に悩んでいたんですよ。どうすれば大戦略らしく,かつオンラインゲームとして面白くなるのか。最終的に,現在,公開しているバージョンの原型に落ち着いたんです。
4Gamer:
なるほど。
ところで話は戻ってしまうのですが,国産タイトルを扱うA&Rプロジェクトについて少し教えてください。「大戦略WEB」は,その第一弾ということですけれども。
里吉氏:
社内的なプロジェクトで,実は対外的に大きく打ち出してはいないんです。国内のさまざまなデベロッパさんとお話をさせていただいていまして,最も早くご理解をいただけたのが,システムソフト・アルファーさんだった,と。
4Gamer:
今後,システムソフト・アルファー以外のデベロッパが開発したタイトルも続々登場するのですか?
里吉氏:
そういうことです。
また今回,弊社とシステムソフト・アルファーさんで共同出資という形態を取っていますが,初めてお付き合いする企業同士でこういうケースになるのは,なかなか珍しいことだと思います。弊社としては,オンラインゲームを開発し,サービスを継続していくうえで,2年3年,あるいはそれ以上の長いお付き合いのできるデベロッパさんと組みたいという思いがありました。システムソフト・アルファーさんからは,大戦略のキーとなる思考エンジンなども快く提供していただけましたし,そういう意味でも大変いい関係を築けていると捉えています。
宮迫氏:
“共同事業”と一口でいってしまうのは簡単ですが,実際に始めてみると細かい問題がいろいろ出てくるんです。これはどうする,あれはどうする,それはどっちがやるんだ,と(笑)。
しかしNHN Japanさんは,比較的,柔軟に対応していただけたんですよ。「始める前からガチガチに決めるのではなく,まずやってみよう」と。
ベースは流行の“村ゲー”だが「大戦略」をモチーフにした
日本人に向け仕様にアレンジ
4Gamer:
里吉氏:
ええ,そうです。
4Gamer:
気になるのは,従来のターン制大戦略でなくなった時点で,どこまでシステムソフト・アルファーが開発に携わっているのかという点です。
村上氏:
デザインや,国ごとの兵器の選別といった軍事的な要素,各種パラメータはシステムソフト・アルファーさんの担当です。
宮迫氏:
里吉氏:
インタフェース周りは,NHN Japanで作っています。これはシステムソフト・アルファーさんから具体的な要望をいただいています。一つは大戦略のアイデンティティであるHEXマップを使うこと,もう一つは移動コストをちゃんと計算することでした。
4Gamer:
その2点は,大戦略っぽいビジュアルをうまく利用できていると感じました。
村上氏:
一つ一つ移動コストを計算しているので,凄く処理が重くなってしまったんですよ。いろいろ手は打っているのですが,まだ重いのでどうしようかと考えています。
4Gamer:
まとめると,ゲームシステムの基礎をNHN Japanで作り,その上に載せるものをシステムソフト・アルファーが作っているんですね。
里吉氏:
そういう意味では,かなりの部分がNHN Japanの内製になっています。弊社としてもチャレンジングな取り組みですね。
4Gamer:
とはいえ,反響などを見ると,結構勢いに乗っている感を受けます。
里吉氏:
おかげさまで,僕らの予想を超えた動きをみせています。同時接続数も,ハンゲームのじっくりゲームの中で人気のチャネリングタイトル「アラド戦記」「モンスターハンター フロンティア」に続いて3位を記録しましたし,この勢いのまま正式サービスに入れるといいなあ,と。
4Gamer:
オープンβテストの初日は,本当に重くてどうなるかと思ったのですが,徐々に改善されていくのが見て取れましたね。
村上氏:
見た目は,それこそ“村ゲー”ですが,中身はまったく別の処理をしているんですよ。技術的なハードルは相当高いです。
里吉氏:
今後,ブラウザゲームは進化していくと思うんですよ。進化の方向はいくつか考えられますが,その一つには絶対“ビジュアルリッチ”があるはずです。そこでブラウザゲームかつ“村ゲー”ではあるけれども,フルFlashでのインタフェースの動きなどに注力して,ビジュアル面で違ったものを提供しようとしているんです。
4Gamer:
なるほど。
里吉氏:
例えばTravianとの大きな違いはワールドマップの広さです。
村上氏:
大戦略WEBでは800×800マスですね。
里吉氏:
あとは同盟や自分のユニットが,ピコピコとワールドマップ上を動きますが,これも凄いことで,普通“村ゲー”で,ここまでやっている作品はないと思います。そういったチャレンジングな領域に対して,社内的に検証を重ねてやっているんです。いってみれば,ブラウザゲームとしてはトップクラスの事柄に挑戦しています。
4Gamer:
ゲームをプレイしているうえでは,普通にこんなものかと思ってしまいそうですが,裏では大変な処理が行われている,と。
里吉氏:
ゲームデザインも,Travianや「KahnWars」をベンチマークに,研究を重ねています。そうした欧米のタイトルは,戦争で負けてしまうと資産のほぼすべてを失ってしまいますよね。しかし,そうしたガチ仕様は日本のプレイヤーに受け入れられません。資産を失った人は,そのままゲームを離脱してしまうんですよ。
4Gamer:
今どきは,オンライン/コンシューマ問わず代替タイトルも多いですしね。あえて続けようという人は,よほど好きな人だけかもしれません。
里吉氏:
そこで大戦略WEBでは,「士官」という要素を用意しました。士官にはRPG的なレベルの要素を加えており,戦闘で死んでしまうことはありません。そして部隊の強さは,一部,士官が担っています。つまり,戦争で負けても資産として士官は手元に残っています。
また兵器のライセンスを取得しておけば,比較的簡単に兵器を作ることができます。たとえ派手に負けたとしても,また復帰できる見込みがかなり高い。そういった,日本人向けのゲームデザインを施しているんです。
4Gamer:
実際,士官に対する反響は大きいですよね。
里吉氏:
ええ,おかげさまで大半の方が士官の育成に取り組んでいます。公式掲示板の話題も士官と戦闘に関するものがほとんどですね。
システムソフト・アルファーの実力を引き出した?
開発ディレクターの熱意
4Gamer:
しかしイメージイラストのインパクトが大きいですよね。どういうノリで遊んでほしいのかという,運営・開発の思いが,このイラストに込められているかのようです。
里吉氏:
このイラストは,まさにシステムソフト・アルファーさんピカ一のデザイナーさんが描いてくださって。
宮迫氏:
本当は,やらせるつもりじゃなかったんですよ(笑)。しかし最初のデザイナーのイラストは,何度描いてもNHN Japanさんから描き直しの依頼がある。我々も長いことゲームに携わっていますから,注文どおりのものを,そこそこいいものに仕上げている自信はあったので,どうしてなんだろう,と悩みました。そこで詳しく話を聞いてみると,これはもうセンスの違いであるということが,なんとなく分かったんです。だったら,うちで一番力のあるヤツに任せよう,と。
4Gamer:
なるほど,その結果が遺憾なく発揮されてますね。
里吉氏:
NHN Japan内でも,“奇跡のクリエイティブ”と賞賛されています。このイラストを使ったバナーが,ハンゲームのサイト内で凄く目立つんですよ。正直,大戦略WEBのβテストの告知って,かなり規模が小さかったんです。しかし,その規模ではありえないほどの反響がありました。よく分からない真剣さ──ヘルメットを被ったサラリーマン,爆発で吹っ飛んでる上司,銃を持って走る人といった,変なノリがいいんですよね。
4Gamer:
爆発で吹っ飛んでいるオヤジが,いい味出してますよね。
村上氏:
宮迫氏:
最初にいただいたイメージは「サラリーマンがヘルメットを被って……」というものだったので,私は中央の人物だけだと思っていたんですよ。ところが出来上がりを見たら,こんなに大きなものになっていて。
村上氏:
秘書も最初は眼鏡をかけてなかったんです。そこで「眼鏡がなきゃ!」と。
宮迫氏:
幸い,このデザイナーは非常に手が早いので,さまざまなリクエストに対応できたわけです。
里吉氏:
こういう昔の映画のポスターのようなタッチで描ける人は,探してもなかなかいないですしね。
宮迫氏:
ただ,そうこうしているうちに,だんだん作業量が当初予定していたものを上回るようになりました。結局,うちのグラフィックススタッフ全員を大戦略WEBに投入することになってしまったんです。
そういえば好評をいただいている士官のイラストは,新人に近いデザイナーが一人で手がけています。最初は10枚も描いてくれればいいかな,と思っていたのですが,次から次へと描いてくる。そこで初めて,そのデザイナーに多くの人物を描き分ける技量があると判明したんです。
里吉氏:
そのデザイナーの方の描くイラストは,とにかくバリエーションが凄いですよね。かなりの実力がないと,どうしても似たようなものになってしまう部分が出てくるのですが,可愛い女の子も凛々しい女の子も,オッサンもマッチョもきちんと描き分けています。
宮迫氏:
そういう意味では,我々もいい勉強をさせてもらいました。
建物の絵なんかもそうですね。これくらいは誰が描いても同じだろうと軽く考えていたのですが,やはり修正依頼が多い。人物の修正は分からなくもないのですが,建物は何でなのか,と。
里吉氏:
これはもう,システムソフト・アルファーのデザイナーさん全員,村上に直接会ったら一言物申したいと思っているんじゃないか,というくらいの修正依頼でしたね(笑)。
村上氏:
いやあ,どうしても面白いものが作りたくて。リクエストに応えてくれたデザイナーの皆さんには,心から感謝しています。
宮迫氏:
これまで,絵を描くという作業は一種の力仕事のようなもの,と捉えていたところもあったのですが,認識を新たにしました。
4Gamer:
これまでと少し違った取り組みの中で,思わぬ発見もあったというわけですね。
「大戦略」ブランドの新たな看板として
より幅広い層への認知を期待
4Gamer:
うちのCBTプレイレポートでも,「重すぎる」「バランスを見直してほしい」と,厳しい指摘はさせてもらいましたが,システムソフト・アルファーとNHN Japanのスタッフがフル動員して開発しただけあって,似たような“村ゲー”が乱立している中で,大戦略WEBのベース自体はかなり洗練されていると感じました。
里吉氏:
村上氏:
ブラウザゲームを自分でプレイして思うのは,面白いんだけれど,紙芝居っぽいってことなんですよ。それをアニメのように進化させようとした結果が,大戦略WEBです。
里吉氏:
あとは社内開発の強みもありますね。オープンβテストの開始からまだ1か月前後ですが,すでに50回くらいアップデートをかけています。ブラウザゲームだとサーバメンテナンスに入らなくともアップデートできるので,あえて告知していないものがほとんどですね。
4Gamer:
どういったアップデートなんでしょう?
里吉氏:
主に処理速度の向上とサーバーの安定です。
村上氏:
当初はなかったまったく新しい処理を加えたり,サーバーで行っていた処理をクライアントに渡して,負荷分散を図ったりという感じです。
里吉氏:
こうした取り組みは,ゲームの面白さにも反映されていると考えています。やはり海外のデベロッパと組んで同じことをやろうとすると,軽く見積もっても数か月,ことによっては半年以上かかってしまうケースも往々にしてありますから。「面白くなっている」という手応えが全然違いますね。
村上氏:
初日に,人が集まって処理が重くなっていることにすぐ気づいたんですよ。開発スタッフとしても,多くの人が遊んでくれればそれだけ嬉しいですから,そこに応えようと毎日頑張っています。
4Gamer:
集まった人の中には,大戦略という名前に期待する人,初めて知った人など,さまざまな層がいそうですが。
宮迫氏:
社内でも大戦略WEBを遊んでいる連中が多いですが,そういった人達は,これまでオンラインゲームを一切やったことがないというケースが多いんです。詳細なデータは今後出てくるのでしょうが,こうした例を見ると,狙いどおりにいってるのかなと感じますね。
里吉氏:
一つ狙っている層を挙げると,昔,コンシューマゲームをやり込んでいた人達です。現在,自宅にPCがあり,インターネットも繋がっている。かつて一世代前の据え置き型ゲーム機は買ったけれど,今,最新の据え置き型ゲーム機をわざわざ買うほどではない。そして最新の携帯ケーム機は持っているけれども,ちょっとゲームとしては物足りない。そんな人達って,いっぱいいると思うんですよ。
また,そうした人達はすでに結婚して子どもがいるケースも往々にしてあります。そうなるとリビングのテレビを占拠して大っぴらにゲームはできないし,あえてやらなくてもいいかという気持ちになっているのではないでしょうか。
4Gamer:
ゲーム関連の職業に就いていない限り,30〜40代はだいたいそんな感じかもしれません。
里吉氏:
そうしたかつてのゲーマーは,プレイしたことはなくとも,たいがい大戦略という名前を知っているんです。そういった人達に,少しの時間で興奮を味わえるゲームとして大戦略WEBを認識してほしいという思いがあります。
4Gamer:
なるほど。
里吉氏:
また,今のブラウザゲーム/カジュアルゲームの多くは,暇つぶしを大きな目的とするものが主流だと思います。しかし僕らは,きちんとしたゲームを提供したい。1日5分プレイするだけでも大熱中できるようなものにしていきたいですね。
4Gamer:
今回の展開は,ゲームそのものがまったく異なるという点において,大戦略というブランドにとっても大きな動きであると捉えています。萌え萌え2次大戦(略)も大きな変化ではありましたが,それは主にビジュアル面に留まっていましたから。
宮迫氏:
今回のオンライン展開に関しては,儲かるか否かよりも,ブランドとしての大戦略を広めたいという大きな目的が当初からありました。これまでのファンとは異なる層にも認知してもらい,実際に遊んでいただこう,と。
4Gamer:
熱心なマニアだけでなく,より幅広い層に向けたアピールが必要だったわけですね。
宮迫氏:
とはいえ,実際にこうしてスタートしてみると,大戦略WEBがブランドの大きな看板になって構わないんじゃないかくらいの気持ちになっています。
4Gamer:
オンラインで大戦略を遊ぶというだけに留まらない,ある意味で新たな境地を開いた感がありますよね。
宮迫氏:
本当にブラウザゲームでいいのか,と悩んだ時期もありましたが,結果として非常にいい選択だったのではないかと。
正式サービス開始は2月3日を予定
近い将来には実在する地形のマップも登場か
4Gamer:
さて,今後の展開を教えてください。
里吉氏:
大きな目標としては,大戦略WEBを日本産のオンラインゲームとして世界に広めたいと考えています。ミリタリーというジャンルはニッチですが,世界各国必ずファンが存在するという特徴を持っています。たとえニッチでも,ワールドワイドで展開すればビッグビジネスになりうるでしょう。
村上氏:
宮迫氏:
最初からリアルな地形にしようというという話もあったのですが,それはまだ早いだろうということになって。
里吉氏:
システムソフト・アルファーさんでは,800×800のマップを作るための新システムもわざわざ開発してくださったんですよ。
宮迫氏:
これだけ大きなマップになると,従来のシステムでは一度に表示できないんです。そこで高解像度のモニターを二つ並べて,なんとか全体を表示できるようにしました。試しに日本のマップを作ってみたのですが,これまでとは比較にならないほどの細かさで地形を表現できるようになっています。なので,いずれは,いろいろやりたいですよね。
4Gamer:
各国展開,リアル地形……というと,いろいろ夢が広がりますね。
それでは,直近から正式サービス開始に向けたアップデートはどうでしょう?
里吉氏:
2月3日に正式サービス開始を予定しています。公式サイトでお客様アンケートを実施しているのですが,そこに書かれた不満には基本的に対応します。現在,7000件ほど寄せられていて,例えばテロリストの配置,位置関係による有利不利,経験値取得システム,トレードのフィルタリング……。
村上氏:
そういったゲームバランスは,全体的に調整します。
里吉氏:
一部ルールの見直しも図ります。細かい話をすると,陸上兵器が弱いといわれていますが,本来,大戦略の陸上兵器は地形効果を利用できるので,そのぶん防御力を弱めに設定しているんですよ。そこも見直さなければなりません。航空機も,従来の大戦略では“燃料切れがある代わりに強いユニット”なんですよね。そういったことも考えていかなければならないです。
また有料アイテム実装に向けて,ライセンス研究や士官育成のバランスも変更します。
村上氏:
あとは「兵器図鑑」ですね。現在,200種前後の兵器があるのですが,それをコレクションできます。
里吉氏:
ユーザーインタフェースも改善します。現在,機能は実装されているのですが,使い方が明示されていないものがいくつかあったり,ユーザビリティの向上を見込める部分があったりするので,それらを正式サービス開始までにきちんと整理します。現時点で,Shiftキーを押すと建物の名称が表示される機能とかも“こっそり”搭載していますので,ぜひ活用いただきたいですね。
4Gamer:
将来的な展開はどうでしょう。
里吉氏:
まずはモバイルでの展開です。1日5分と謳っておいてなんですが,僕自身,仕事中に自分の基地がどうなっているか気になってしょうがないんですよ(笑)。そこで,いつでもどこでもチェックできるように,モバイルは必ずやります。それに伴った,社会人向けのキャンペーンも行います。また大手SNSからのサービス提供も予定しています。
あとは,ワールドマップでユニットが行き来している様子が分かるようになったり,紛争がたくさん起こっている部分は赤く表示されたりといったような,いわば「紛争度」を視覚的に確認できるようにしたり。
村上氏:
新施設も追加します。陸/海/空の工場それぞれが一定のレベルに達すると,一つにまとめられるようになったりします。
宮迫氏:
大鉈を振るうようなことはなく,まずは土台をきちんと作って,そのうえでいろいろ整えていくイメージですね。
4Gamer:
それでは最後に,大戦略WEBに期待している人や4Gamer読者に向けたメッセージをお願いします。
宮迫氏:
里吉氏:
今のオンラインゲーム市場には,日本人の作った,日本人の作る良さのあるコンテンツがもっとあっていいんじゃないかと考えています。大戦略WEBは,さまざまな事情で“村ゲー”のように見えますが,その中でもかなり面白いゲームとして提供していきます。社内開発,そしてシステムソフト・アルファーさんを含めた国内開発のいい面がよく出ていますので,期待してください。
村上氏:
お客様の期待されている部分が,現在,多くの不満という形で顕れている,と感じています。一つ一つ対応していきますので,よろしくお願いします。
4Gamer:
ありがとうございました。
改善の余地もまだ数多くある本作だが,大戦略WEBは正式サービス開始に向けて,現在,大幅なブラッシュアップをかけている最中とのこと。2010年2月3日はまだまだ先だが,一連の記事を読んで大戦略WEBに興味を持った人は,さっそく現在実施中のオープンβテストに参加してみよう。
「大戦略WEB」公式サイト
「大戦略WEB」関連記事一覧
- 関連タイトル:
大戦略WEB
- この記事のURL:
Published by NHN Japan Corp.
(C)2012 SystemSoft Alpha Corporation. (C)2012 NHN Japan Corp.