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「World of Tanks」の世界大会「The Grand Finals 2015」。e-Sportsの新しいあり方さえ考えさせられた,意義深い戦いの模様をレポート
「World of Tanks」公式サイト
「Wargaming.net League」公式サイト
そもそも,e-Sportsとは何か?
「e-Sportsが“このようなものでなくてはならない”という定義はまだない」。大会初日の25日に行われたプレスカンファレンス,質疑応答の席上「e-Sportsのビジネスモデルのこれから」を問われた壇上のWargamingのCEO,Victor Kislyi氏からこんな言葉が飛び出した。
また現状のe-Sportsでは,選手達のキャリアパスが不透明だ。「e-Sportsとは何か」を語る以前の問題として,「e-Sportsと呼ばれる世界に選手として人生の少なからぬ時間を投じた場合,その先に何があるのか」については誰にも分からない。
Kislyi氏は「変化とは,自由競争社会の常態」と前置きしつつ,e-Sportsのありかたを模索するために「Wargaming.net Leagueはこれからどんどん変えていくし,来年は今年よりよいものに変えていくつもりだ」と続けた。
世界大会としては2回めとなる「The Grand Finals 2015」について言えば,最大の変化としてトーナメントルールの変更が挙げられる。
前回大会のルールは,要するに「普段の『World of Tanks』を,7人対7人で行う」というものだった。これはこれで,日頃から「World of Tanks」を遊んでいるプレイヤーにとってはなじみやすいルールだったが,いかんせん,プレイが防御に偏りがちで,引き分けも多く,正直なところ退屈なことも多かった。
だが新トーナメントルールにおいて,対戦チームは攻撃側と防御側に分かれる。
攻撃側は,時間内に防御側を全滅させるか,防御側の基地を占領する(ただし防御側には基地が2か所あり,攻撃側はどちらか片方を占領すればよい)。
防御側は,時間内に攻撃側を全滅させるか,あるいは基地を占領されることなく(もちろん全滅させられることもなく)一定時間しのげば勝利となる。
したがってルール上,引き分けは存在せず,攻撃側は勝利のためにアグレッシブに攻めることが欠かせない。ゲームが膠着する時間は著しく減少し,流動性は明らかに高まった。観客も,ダレずに試合を楽しめる。
この「プレイして楽しく,見ていて楽しい新ルール」の制定は,ある意味で,今のWargamingがe-Sportsというものに対して出した結論の1つと考えられる――が,キャリアパスの問題も含めてそれは後回しにして,まずは実際の試合がどうなったのかを見ていこう。
ロシア・EU勢の圧倒的な強さ
「The Grand Finals 2015」に出場したのは,合計12チーム。初日は,この12チームが4つのグループに分かれて総当り戦を行い,上位2チームが2日めの決勝トーナメントに進出する。
初日の感想を一言でまとめれば,ロシア勢の圧倒的な強さに尽きるだろう。
例えば韓国代表のARETEは,APAC(アジア太平洋地区)の大会で優勝するなど,アジア地域において傑出した力を持つ。その戦いぶりは,「強い」としか形容できない。
だが「The Grand Finals 2015」において,そのARETEは予選リーグで姿を消した。
EUサーバーで最終節に大活躍し,ワイルドカード枠として出場したロシアのKazna Kruは,ARETEをまったく寄せ付けず,5-1で圧勝。あとが無くなったARETEは同じくロシアのHellraisersを4-4まで追うが,最後の1勝が得られなかった。
「ARETEとの試合のおかげで目が覚めたよ」と語ったHellraisersは,直後の試合でKazna Kruを5-0で一蹴し,格の違いを見せつけた。
ディフェンディング・チャンピオンであるロシアのNA'VIは,どちらも中国のチームであるELONGとRG.RAZERと同じグループに入るが,予選リーグにおけるNA'VIの戦いは,もはや横綱相撲そのもの。中国勢2チームに対し,まったく試合をさせないまま,悠々と予選を突破した。
それでもアジア勢は,なんとか決勝トーナメントにYATOとELONGの2チームを送り込むことに成功したが,アメリカ勢はさらなる苦戦を強いられ,アメリカから出場したROULETTEとELEVATEは,いずれも予選での脱落を余儀なくされた。
見たところ,新しいトーナメントルールは大変良好に機能しており,試合はとてもスピーディ,かつ戦術性の高い展開が多かった。攻撃にしても防御にしても,機動力が鍵となるため,ほとんどのマップにおいてチームは軽戦車(T-54 Lightweightが一番人気)で固められていたが,重戦車や自走砲が活躍する場面もあり,チーム編成の幅が広がっていることも実感できた。
軽戦車主体のスピーディなゲームになるため,個人の技量が試合を動かすシーンも前回に比べてよく見られるようになった。だがそれはあくまで戦術理解度が等しいチーム間においての話で,戦術の理解で遅れをとったチームはそもそも勝負させてもらえない。
では,そんな格差のハッキリしたチーム同士の試合を見ている観客側として,一方的なマッチがつまらないかといえば,実はそんなことはない。圧倒的な強さというのは分かりやすいものであり,分かりやすい戦いは面白い。
少なくとも,前回大会でしばしば起きたような,何ともいえない微妙な神経戦の末の絶妙な差が勝敗を分ける展開より,見応えがあったことは間違いない。
これについてKislyi氏は「e-Sportsはハイエンドコンテンツに相当する。そう認識したうえで,これを広く楽しめるエンターテイメントにしなくてはならない」と語っている。e-SportsはGamescomやE3などの大規模なゲームイベントにおけるショーとしても大変に有用であるがゆえ,短時間でも面白いことは非常に重要だというわけだ。
「プロプレイヤー」がもたらすもの
実のところ,こうしたe-Sportsイベントに対して割り切れない思いを持つ一般プレイヤーもいる。
多額の優勝賞金が懸けられ,全世界から選手が招待される大イベント。それを運営するためには,賞金はもちろん,選手の交通費に宿泊代,会場のレンタル代や設営費用,スタッフの人件費,各国メディアを招待する費用など,膨大なコストがかかるはずだ。そのコストを,例えばサーバーの増強や,新マップの設計に向けてもらったほうがプレイヤーとして幸福になれるのではないか? ということだ。
この疑問に対しては,ゲーマーからの視点に限っても,明確な答えは存在すると思う。
ゲームを作り,運営していくにあたって最も厄介なことは,ゲームを作ったあとにある。囲碁や将棋,麻雀といった古典的なゲームでさえ,ルールが時代とともに微妙に変化してきたように,ゲームのバランスを調整する作業は,ヘタをすると100年かけても終わらない仕事だ。バランスが壊れたゲームよりは,しっかり調整されたゲームを遊びたいというのは誰でも望むこと。そのうえで,新しいマップや戦車も,どんどん増やしてほしい。
名誉と実利を目指して研鑽を積むプロフェッショナル達(例えば,NA'VIは1日8時間のペースで毎日練習し,健康維持のためにフィジカルトレーニングまでしているという)が,世界のあちこちでゲームを研究し,全力を尽くして戦う――これ以上のプレイテストは考えにくく,e-Sportsが一般プレイヤーにもたらす実際上の利益だ。
現状のe-Sportsにおいて,その齟齬が最も顕著なのはMOBA系のタイトルだろう。これらの作品は,ルールが分かっていて,かつある程度まで遊びこんでいる(最低でも試合に出てくるキャラクターの性能くらいは分かっている)人が観戦しないと,何が面白いのか分かりづらい。
筆者には個人的に何人かのプロゲーマーの知り合いがいるが,彼らでさえ,例えば「League of Legends」のプロ同士が戦う動画を見ながら「イマイチ分からない」と言い出すことが少なくない。ゲーマー中のゲーマーともいえるプロゲーマーをしてこれなのだから,イチゲンさんがMOBA系タイトルの面白さを理解するのは限りなく難しいはずだ。
だからといってこの問題を解決する,つまり,誰が見ても分かりやすく面白い,完全に新しいe-Sports用ルールを作ると,e-Sportsが持つゲームのバランスを調整するという機能がスポイルされる。
「World of Tanks」は,この点において非常に面白い(そして大胆な)決断をしたことになる。一般プレイヤーが楽しんでいるルールを大きく変更したトーナメント用のルールを実装し,しかもそれを使って世界大会をやってしまったのだ。
「前回の『The Grand Finals』が終わった直後から,選手の意見をもとにルールの調整が始まっていた」と語るのは,WargamingでProduct Managerを務めるMaxim Chuvalov氏だ。Chuvalov氏は「修正したルールのフォーカステストをするため,本社のあるミンスクにプロチームを招待して,さまざまな意見を聞いた」と述べる。
つまりWargamingは,e-Sportsを,自分達のゲームをより広めるためというより,自分達のゲームをより面白くするためのチャンスとして,利用しようとしているように思えるのだ。
このことは,Kislyi氏の言葉にも顕著に現れており,彼はプレスカンファレンスで「e-Sportsでも,一般の人に楽しんでもらうのは,とても大事だ。そのために,まず考えるべきは,『よりよいものを作る』ことだと考えている」としている。
そしてこの方針は,ゲームにもフィードバックされており,「World of Tanks」の最新パッチでは,チーム戦の機能が大幅に拡張された。プレイヤーは,トーナメントルールと同じルールでのゲームを手軽に楽しめるようになったのだ。
筆者もこのモードをプレイしてみたが,チームを組む手間は明らかに減っており,いわゆる「野良プレイ」の延長線上で7人対7人のチームバトルが楽しめる。そして,実際に戦うことで,改めてプロプレイヤー達の技量が尋常ではないことを思い知らされた。それはとてもエキサイティングな体験だった。
e-Sportsプロの,キャリアパス
Wargamingは,e-Sportsが持つ別の側面についても大胆に手を入れようとしている。それが,冒頭に書いたキャリアパスの問題だ。
ほかのプロスポーツのように,自分の能力が全盛期にあるうちに引退後に暮らせるほどのカネを稼いでしまうといった人生設計は,現状では相当難しい。タイトルのはやり廃りを考えると「e-Sportsの指導者」になるのも難しいし,ゲーム開発の現場に入っていくのも簡単ではないだろう。
Kislyi氏自身「自分の息子がe-Sportsのプロ選手になりたいと言い出したら,どうするか?」という質問に対して「とてもよい質問だ」と答えたきり,しばし真剣な顔で絶句せざるを得なかったのは印象的だった(最終的に「将来の選択については,息子とよく話し合って,さまざまな選択肢を見せたい。そのうえで彼が何かを選択するなら,その選択に反対することはない」と語った)。
親にとって,息子がe-Sportsの選手になりたいと言い出すことは,そう簡単に答えられない難問になり得るのだ。
「何事にも成功のカギはある。まずは勝つこと,それが大事だ。だが,勝つための秘訣などはない。だから勝てないこともあるが,そこであきらめたら終わりだ。それでもなお続けるのが,我々の仕事であり目的なのだ」と語るRepin氏の言葉からは,覚悟の深ささえ感じられた。e-Sportsに踏みとどまることは,それだけでも困難な事業なのだ。
この問題についてWargamingは,リーグ上位のチームに対して給与を払うという取り組みを開始した。
現在,Wargaming.net Leagueは,「ブロンズ」「シルバー」「ゴールド」の3ランクで構成されている。ブロンズリーグで優秀なチームは,シルバーリーグに所属するようになり,シルバーリーグでさらに勝ち続けるとゴールドリーグに到達する(Grand Finalsに出場するチームは皆このゴールドのチーム)というシンプルなものだ。
このうち,ブロンズリーグに対しては,簡単にチームメンバーを探せるシステムをゲームに導入し,シルバーリーグには,チームのスポンサーを探す手助けをしたり,Wargamingからチームへ働きかけたりといった形でプロへの一歩を後押しするためのプログラムが用意される。
きわめつけはゴールドリーグで,このリーグに所属するチームには,Wargamingから毎月給与が支払われるのだ(ほかのスポンサーからの給料を合わせてもらっても構わない)。支払いはチーム単位だが,例えば8人ほどのチームなら,毎月1500ドル〜2000ドル程度になる見込みだ。
Chuvalov氏は「安定した収入で,プロプレイヤーの不安を取り除きたい」と語っており,e-Sportsの世界にキャリアパスを構築しようという大胆な試みといえそうだ。
ちなみに,上記のような見込額はあるものの,給与は基本的に,そのチームがプロとして(一般プレイヤーに)どのようなコンテンツを提供できるかによって金額が決まるという。
これは,かなり興味深い言葉だ。上記のとおり「The Grand Finals 2015」は,それぞれのチームの戦術理解度が問われる大会となった。ここに大きな差があると,個々の能力差など意味を成さなくなるほどだ。そして,プロとしてどのようなコンテンツを提供できるか,とは,「自分達が深めてきた戦術理解を,どれくらい一般に伝えられるか」と言い換えることが可能だろう。
「World of Tanks」は,アクションゲームであるし,現在のトーナメントルールにおいては,より反射神経が求められるようになった。しかし,戦術研究の重要さもきわめて高いことは間違いない。かつて「Magic: The Gathering」が,インターネットの情報共有によって,戦術を急激に成熟させていったように,戦術を一般に公開するプロが生まれ得ることは興味深いし,今後「World of Tanks」の競技世界を深化させていく可能性があるようにも思う。
波乱,波乱,また波乱の大会2日め
さて,再びトーナメント会場に話を移そう。波乱の,というか,一種の虐殺が行われた1日めが終わり,決勝トーナメントに進む8チームが出揃った。
ここで,思わぬ幸運がELONGに舞い込んだ。ロシアとEUの超強豪チームが,トーナメントツリーの片側に固まってしまったのだ。前回優勝のNA'VI,準優勝のVirtus.PRO,NA'VIとの名勝負を繰り返してきたHellraisers(昨年はUnityという名前で出場)の3チームが,同じツリーにいるではないか。このツリーに入ってしまった中国のYATOとしては,悪夢のような状況ではある。
Hellraisers |
School Bus |
だがもう一方のツリーには,School Bus,Kazna Kru,WP.SC6,そしてELONG。強豪とはいえ,どのチームにも決勝進出の可能性があった。もっともこの段階では,誰もが「School BusかKazna Kru」と考えていたようだが。
第1回戦,NA'VI対Virtus.PROという超豪華マッチは,苦戦しながらも5-3でNA'VIが勝利。「防御は素晴らしいが攻撃は比較的微妙」と言われがちなNA'VIだが,攻撃的なルールの下においても遺憾なくその力を発揮した。
それ以外では,Kanza KruがSchool Busを下し(ちなみにKazna Kruには昨年の「The Grand Finals」に出場したポーランドのチーム「Lemming Train」の選手が参加しており,会場の大きな歓声を集めていた),Hellraisersは5-4と苦しいスコアながらもYATOを下した。一方,「勝てないだろう」と囁かれていたELONGは,5-2でWP.SC6を撃破。ベスト4に駒を進めた。
そして,運命の準決勝が始まった。
最初の試合,ELONG対Kazna Kruは,ほとんど誰もがKazna Kruの一方的な勝利を予想していた。予選の様子を見る限り,それくらいの実力差がある,というのが常識的な判断だったのだ。試合もそのように推移した。最初のマッチを終えて,Kazna Kruは3マッチを取って,スコアを3-1とする。あと2本で決勝戦だ。
だがそこで,何かが起こった。マップが変わって,ELONGは昨日NA'VIに対して見せたようなラッシュを仕掛け,Kazna Kruはこれを順当にさばいているように見えた。そもそもNA'VIには通用しなかったラッシュであるし,そのあたりの研究はぬかりないに違いないが,ELONGのラッシュはそのままKazna Kruを飲み込んでしまった。
意気上がるELONGと,「このルールだと,こんなこともあるさ」という風情のKazna Kru。今回のルールでは,このような背後を顧みないラッシュが突き刺さって意外な1本が取れてしまうという事例が,多くのマッチで起こってきたのだ。
次のマッチも,ELONGは同じ形でのラッシュを仕掛けた。Kazna Kruは今回も,そのラッシュをさばけない。Kazna Kruの選手の顔に困惑の表情が浮かんだ。いわゆる「分からん殺し」をされていることに気づいたという,大変良くない表情だ。
実のところ,このラッシュはELONGの秘密兵器だったようだ。ヨーロッパ勢にとっての定石となるムーブに対して完全にメタを張った,ユーロ殺しのムーブだったのだ。
Kazna Kruは展開を変えるべく前線の構成を変えるが,その変更すら,ELONGのユーロ殺しの範疇にあった。解説者が「信じられない! こんな戦術があったなんて!」を連呼する中,ELONGは続く2本も勝利。Kazna Kruを,完膚なきまでに「分からん殺し」することに成功して決勝戦に進出することになった。
ELONGが披露したユーロ殺しの興奮も冷めやらぬ会場では,続いて,HellRaisersとNA'VIの戦いが始まった。
前半は2-2と,拮抗したスコアで折り返した。HellRaisersは乱戦に大変強く,一気呵成に攻め込まれるとNA'VIが崩れがちになるが,そこで崩し切れないとNA'VIが真綿で首を絞めるようにして勝利を搾り取る。そんな,若さと老獪さが戦うような緊迫したマッチが続いた。
しかし後半に入って,均衡は一気に崩れた。HellRaisersの寄せをNA'VIがさばき切れず,次々にポイントを失う。マップが変わったあとHellRaisersは3マッチを連取し,ついに王者NA'VIに土をつけたのだ。
もし,これが前年と同じルールであったなら,NA'VIが勝っていたかもしれない。だが新ルールは,「ある程度まで戦術レベルが均衡していれば,多少の差は個人技で覆せる」ことを証明した形だ。
王者NA'VIが敗れる。このニュースは,世界中の「World of Tanks」ファンの間を,一瞬で駆け巡った。誰もが,時代が変わったことを強烈に意識したと言えるだろう。
3位決定戦は,Kazna KruとNA'VIの間で行われた。
NA'VIは直前の敗戦から精神的な再建ができていないのか,Kazna Kruの重戦車による狙撃作戦によって,一気に劣勢に追い込まれた。勝って当然のNA'VIにとって,敗北とはかくも重い負荷となっていたのだ。
だがここで,サーバートラブルが発生。戦いは停止され,Kazna Kruが優勢に進めていたマッチは無効になってしまった。
Kazna Kruのメンバーは猛然と抗議するが,ルールはルール。円陣を組み直し,士気を高めて再戦に挑むが,その抗議の間にNA'VIは気持ちの切り替えを終えていた。Kazna Kruの攻めはNA'VIにまるで通じず,終わってみれば5-0でNA'VIが圧勝していた。
決勝戦は,HellRaisersとELONGだったが,これについては,もはや言うまでもないだろう。ELONGの秘策,ユーロ殺しは,すでにHellRaisersに筒抜けになっており,こうなると,NA'VIと互角に戦えるHellRaisersの戦術的機動の前に,ELONGは手も足も出ない。
決勝戦だけは7本先取だが,終わってみればマッチスコアは7-1。
ELONGは乱戦に強いところを何度も見せたが,それでもなおHellRaisersが最後は撃ち勝つという展開を繰り返し,自分達が世界チャンピオンに相応しいことを全世界に向かって示した。
ELONGの選手達 |
HellRaisersの選手 |
「楽しさ」をキーワードとして
新チャンピオンHellRaisersの誕生と共に幕を閉じた「The Grand Finals 2015」だが,実に多くの可能性と変化が花開いた大会だったというのが,素直な感想だ。
しかもこれはプロプレイヤー(あるいはそれを目指すガチ勢)だけでなく,「World of Tanks」のプレイヤーなら誰でも,新しいゲームモードを試してみようか程度の気持ちで手軽に,かつ気楽にプレイできるうえ,とても楽しい。
何かと面倒くさい話になりがちなe-Sportsを,「楽しさ」というキーワードで一貫させたWargamingの方針は,「なんとなくだが,こういうものだろう」という先入観が固定化されつつあったe-Sportsの世界に,大きな変化をもたらし得るように思う。
そしてその変化こそが,e-Sportsの,今のあり方なのだろう。そんなことを強く感じさせられたワルシャワ大会だった。
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