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[TGS 2016]「仁王」はファンの声を聞きながら作ると決めていたーー早矢仕ディレクターに,β体験版の反響を踏まえた今後の展望などを聞いた
その存在が明らかにされてから10年以上の長い年月が経ったが,2016年に入ってからは,α体験版/β体験版の配信が行われたり,各種イベントにプレイアブル出展されたりと,発売日が近づいてきていることをようやく実感できるようになってきた。
2016年9月18日まで幕張で開催されている東京ゲームショウ2016にも,強敵「雪女」と戦える特別なプレイアブルデモが出展されている(関連記事)。
今回4GamerはTGS 2016の会場で,仁王のディレクターを務めるコーエーテクモゲームスの早矢仕洋介氏に話を聞く機会を得た。今後どのように開発を詰めていくかなどの話を聞けたので,ファンはぜひ目を通してほしい。
「仁王」公式サイト
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。先日開催された2016 PlayStation Press Conference in Japanで,ついに仁王の発売日が発表されましたが,反響はいかがでしたか。
早矢仕洋介氏(以下,早矢仕氏):
プレスカンファレンスで発表したときに歓声が上がって,そこまで応援していただけているんだなと,あらためて実感しました。発売日をしっかりと発表したので,あとは開発がそこまで走りきって,ファンの皆様のご期待に添えるものをお届けしなきゃなと思っています。
4Gamer:
α版のフィードバックを踏まえたβ体験版が8月に配信されましたが,プレイヤーからの反応はどのような感じだったのでしょう。
早矢仕氏:
ホームページでアンケート集計結果とともに公開しましたが,いろいろな改善案をいただいています。全体的にα体験版よりも高い評価をいただけましたが,製品版ではもっと良くしなければと,スタッフ一同が開発にあたっています。
4Gamer:
フィードバックの中で,とくに印象に残っているものは何でしょうか。
「逢魔が時」という難しいミッションをβ体験版で入れたのですが,敵をいっぱい出し過ぎてしまったんです。そうしたら,「数の暴力で難しくするのはやめてくれ」というご意見を多数いただいてしまって。
確かにそれはそうだなと思えるところもあったので,1対1でじっくりと戦う手応えを感じてもらおうということで,数で押すのではなく1体の敵を強化するという方向にしました。
4Gamer:
ステージイベントでは,敵がプレイヤーを感知する範囲を調整するという発表がありましたが,それも今の話と関わってくるのでしょうか。
早矢仕氏:
そうですね。仁王では複数の敵に囲まれるとピンチになるので,そうならないように立ちまわってもらおうというデザインでした。仲間が攻撃されているのに気付かないのは不自然だよねということで,一匹を攻撃すると周りの敵も寄ってくるようにしてあったんです。
ただ,やり過ぎると1対1で戦うというバランスが崩れてしまうので,不自然にならないレベルでちゃんと遊びやすくしつつも,油断していると敵に囲まれるよという感じにしました。
4Gamer:
要望は多いけれど,どうしても対応できないというものはありますか。
早矢仕氏:
α版の時はけっこうありました。例えば,気力をなくてほしいといった意見をいただいたんですけど,気力をなくすと駆け引きにならなくなってしまうんですよね。でも,理不尽と感じさせてしまう部分はしっかりと直しています。
β体験版は,システムの根幹部分で指摘を受けたところが少なく,「ベースは良いからあとはここだけ良くしてくれ」という意見のほうが多かったです。今は,そういった細かい部分をなるべく入れていこうという方針です。
仁王は,ファンの声を聞きながら作ると始めから決めていた
4Gamer:
やはりプレイヤーの意見は大きいですか?
仁王のプロジェクトが復活した理由の1つは,ファンの人達から「仁王はまだか」というご意見があったからです。
なので,シブサワ・コウや鯉沼プロデューサーと話して,このタイトルはファンによって生かされているのだから,ちゃんと声を聞きながら作ろうって決めていたんです。
α体験版とβ体験版もその一環なので,これからもプレイヤーの皆さんと一緒に作りたいなと思っています。
4Gamer:
まだ実装されていない要素の中で,「これはやりたい」というものがあったら教えてください。
早矢仕氏:
いろいろありますけど,まずは仁王を完成させて遊んでもらうことが最優先です。ファンの方にもっと遊びたいと思ってもらえたら,僕が溜めている夢を実現して作っていきたいと考えています。
4Gamer:
TGS出展バージョンもそうでしたが,これまでの体験版をプレイしたときから,仁王はかなりハック&スラッシュ要素の強いゲームだなと感じていました。ハック&スラッシュ要素を取り入れることは,開発当初から考えていたんですか。
早矢仕氏:
戦国時代の刀とか鎧ってたくさん種類があるので,それらを付け替えながら進めるというのは,ハック&スラッシュにマッチした遊び方なんですよ。
ミッション制にして,何回も遊びたいって思わせるゲームにしようと開発当初から決めていたので,そこは良い意味でほかの死にゲーとちょっと違う部分だったと思います。その分は,ファンの皆さんにもすごく評価していただけたので,我々も嬉しいです。
4Gamer:
同じシリーズの防具を揃えるとセット効果が発動する,といった要素はありますか。
早矢仕氏:
今はありませんが,そういった要素は我々も考えています。
4Gamer:
「難しくてどうしても進めない」という人に対する救済措置はありますか。
早矢仕氏:
オンラインでほかのプレイヤーを呼んで助けてもらうというのが,その1つだと考えています。
それ以前に仁王はRPGでもあるので,しっかりと装備を整えてレベルを上げていけばクリアはできます。アクションがあまり得意ではない人は,ガチガチに装備を着込んだり,オンラインで仲間を呼んだりして挑んでもらえればと。
アクションゲームが得意な人は,装備を軽くして進んでもらってもいいですし,そういう幅の広さは大切にしています。
4Gamer:
仁王ではそれぞれの武器に「構え」がありますが,1つの構えだけでもクリアできるようになっているのでしょうか。
早矢仕氏:
そうですね。いろいろなクリア方法があっていいと思って作っているので,「自分は上段構え専門です」といったロールプレイでもいけるはずです。ぜひチャレンジしてもらいたいですね。
4Gamer:
仁王にはいろいろな妖怪が出てきますけど,TGS出展バージョンに出てきた一反木綿(いったんもめん)は美女で,自分の中にあるイメージとかけ離れていてびっくりしました。
一反木綿は,仁王に女性要素が足りないよねということで,美女にしてみました(笑)。
妖怪にはそれぞれ伝承として伝わっているものがあります。その枠の中身は壊さないようにしつつ,仁王ならではのアレンジをしようと,CGデザイナーと一緒にいろいろと話し合って決めています。例えば,β体験版に登場する塗壁(ぬりかべ)が,壁に擬態して獲物を待つというのは伝承どおりだと思います。そういう伝承を,PS4世代のクオリティで真面目にアレンジしていく感じですね。
開発陣も良い意味で迷わずに,「こんなことをやったらユーザーも驚いてくれるよね」と,妖怪1つ1つに取り組んで実現させています。
4Gamer:
思い入れのある妖怪はいますか。
早矢仕氏:
妖怪ではありませんが,木霊(こだま)という,ステージに隠れているお椀を被った妖精ですね。
怖い妖怪のほかにも,身近に潜んでいるだけで害がない妖怪もいると思っていて,そういった妖怪の雰囲気を実現したのが木霊なんです。ゲーム内ではステージのあちこちに隠れていて,ダークファンタジーである仁王の世界では癒やし的な存在です。
プレイヤーの皆さんにも話題にしてもらっていますし,今回のTGSでは,試遊版クリア特典のストラップにもしているくらいなので,ぜひ木霊ちゃんを,これからもいっぱい見つけてやってください。
4Gamer:
PlayStation 4 Proに対応する計画はありますか。
例えば,仁王には「画質を落として高フレームレートを維持する」モードがありますよね。PlayStation 4では画質を落とさないとフレームレートを維持できないけど,PlayStation 4 Proなら画質を落とさないで維持できると,暗に示している気がしたんですけど。
早矢仕氏:
鋭いですね。でも,それは続報をお待ちください(笑)。
4Gamer:
楽しみにしています(笑)。
では最後に,仁王の発売を待っているファンにメッセージをお願いします。
早矢仕氏:
2017年に若干ずれ込んでしまいましたが,やっと発売日が発表できました。残された時間を使って,これからも磨きをかけていくつもりですので,発売を楽しみにしていただけたらと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。
「仁王」公式サイト
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