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「マジック:ザ・ギャザリング」のユースアンバサダーに選ばれた女子中学生によるプロツアー「破滅の刻」見学レポート
これは,約300名の応募者から選ばれた5名の10歳〜15歳の子供達が,アメリカのシアトルにあるウィザーズ・オブ・ザ・コースト(以下,ウィザーズ)本社や,Microsoft,Amazonを訪問してマジックを通した交流を行い,帰国後もマジックの論理や教養について学んでいく育成支援プログラムだ。
今回は,このユースアンバサダーに選ばれた女子中学生の石井明日葉さんによる,シアトルツアーに先駆けて行われたプロツアー「破滅の刻」の見学レポートをお届けしよう。なお,企画の趣旨上,4Gamer編集部では最低限の修正のみを行い掲載している。
初めまして。私は石井明日葉,中学1年生です。私はトレーディングカードゲーム(TCG)が大好きで,小学1年生の頃に「デュエル・マスターズ」を始め,小学4年生のときに「マジック:ザ・ギャザリング」を始めました。
また,ゲーミングブランドの「Razer」も好きで,以前,こんな記事にも登場させていただきました。私は今回,ウィザーズ社主催のユースアンバサダープログラムに応募し,300名の中の5名に選ばれました。ユースアンバサダープログラムについては,「こちら」をご覧下さい。
私はこれから約半年間,ユースアンバサダーとして活動することになりましたので,その活動を皆さんにご紹介したいと思います。ユースアンバサダーとしての初の活動は,6年ぶりに日本で開催されたプロツアー「破滅の刻」の見学でした。マジックのプロツアーは,世界各国から選ばれたプロプレイヤー同士が戦う世界最高峰の大会で,私も見るのは初めてです。その様子をレポートします。
プロツアー「破滅の刻」は,2017年7月28日〜30日に京都の「みやこめっせ」で行われました。私は,その初日を見学しました。ほかのユースアンバサダーと一緒に朝8時半に会場に入ったところ,さまざまな国の人が集まっていて,マジックが本当に世界中でプレイされているということを実感しました。
「みやこめっせ」の入り口 |
3階の会場の様子。まだ席に着いている人は少ない |
会場には,スリーブやデッキケース,プレイマットなどの限定サプライを販売しているショップがありました。ほかにも,パーカーやバッグ,Tシャツなどが売られており,こうした限定品を買うプレイヤーも多く見られました。私も,プレイマットとダイス,デッキケース,扇子を買いました。プロツアー「破滅の刻」の限定プレイマットには,京都の清水寺とニコル・ボーラスのイラストが描かれており,とてもかっこいいと思いました。
会場内の特設ショップの様子。限定品などが売られていた |
プロツアー限定の金属製ダイスケースなど |
清水寺のイラストが描かれたデッキケースやストレージボックスも売られていた |
私が購入したプレイマットやダイス,デッキケース,扇子 |
有名プレイヤーのドラフトの様子を間近で見学
9時近くになると,プレイヤーは決められた席に座り,競技開始を静かに待っていました。主催者による開会の挨拶や,ヘッドジャッジによる諸注意のコメントのあと,ドラフトが始まりました。ドラフトでは,8人が1組となって同じ卓につき,配布されたパックを開封し,その中から1枚をピック(選ぶ)し,合図と共に隣のプレイヤーに残りのカードを渡します。これを3パック分繰り返してデッキを作ります。
店舗大会などのカジュアルなドラフトでは,販売されている未開封のパックをその場で開封して使いますが,プロツアーのような競技レベルの高い大会では,あらかじめジャッジがパックを開封し,中身を確認したカードを再び束にして紙テープで封をされたものを使うそうです。私は,ドラフトといえばパックを開けるものだと思っていたので,驚きました。
3パック分のピックが終わったら席を移動して,基本土地を追加し,40枚以上のデッキにします。作成したデッキの内容をデッキリストに記入して,ジャッジに提出します。カードの束からピックする時間は最大でも40秒と限られているので,プレイヤーはすばやくカードを確認し,作りたいデッキに合ったカードを選ぶ必要があります。
ジャッジの合図で一斉にカードを隣の人に回す様子が壮観でした。先週行われた「グランプリ・京都2017」で優勝したウィリアム・ジェンセン選手もいて,注目されていました。また,注目選手が座るフィーチャーテーブルも見ることができました。最初のフィーチャーテーブルには,山本賢太郎選手が座っていました。
席に着き,ドラフト開始を待つプレイヤー |
いよいよドラフト開始。1つ目のパックを開ける |
素早くカードをチェックする |
合図で一斉に隣の人に残りのカードを回す |
席を移動し,マナコストごとにカードを並べデッキを構築する |
グランプリ京都で優勝したウィリアム・ジェンセン選手(右) |
デッキリストに記入しているところ |
対戦中の様子 |
スリーブや基本土地カードが用意されている |
注目選手が座るフィーチャーテーブル |
最初のドラフトでは,フィーチャーテーブルに山本賢太郎選手が座っていた |
真剣な表情の山本賢太郎選手 |
優勝者に贈られるトロフィー |
大会のスケジュール |
ウィザーズ本社のR&Dチームとのミーティング
ドラフトの試合を観戦した後,アメリカシアトルにあるウィザーズ本社でマジックの開発を行っているR&Dチームの方々の話を伺いました。お互いに英語で簡単な自己紹介をしてから,ユースアンバサダーからの質問に答えてもらいました。私は,「カードをデザインする際に,失敗をしたことがありますか」と聞いたところ,「ほとんど毎回失敗しています」と答えてくれました。
そして,みんなで昼食をとり,休憩時間にユースアンバサダーの仲間達とマジックの対戦をしました。ユースアンバサダー5人のうち,3人はこれまでマジックをしたことがなかったのですが,スタッフからティーチングを受け,みるみる上達していきました。
円卓を囲んでR&Dチームとミーティングをしている様子 |
答えにくい質問にも親切に答えてくれた |
スタッフにはランチが支給されていた |
ニコニコ生放送の撮影スタジオ |
ユースアンバサダー皆でマジックの対戦中 |
始めたばかりの子もどんどん上達していた |
憧れの八十岡選手や齋藤選手と話ができて感激
その後,世界トップレベルのプロプレイヤーである八十岡選手からいろいろなお話を伺いました。八十岡選手は,私達ユースアンバサダーからの質問にも親切に答えてくれました。
八十岡選手といえば,コントロールデッキの名手として有名ですが,私もコントロールデッキが好きなので「どうすればコントロールデッキで勝てるようになりますか」と聞いたところ,「とにかくコントロールデッキを長く使い続けることが大切だ」と言っていました。最後に,好きなカードにサインをしてくれ,記念撮影にも応じてくれました。私は,赤青コントロールデッキに入れている<<奔流の機械巨人>>と<<島>>にサインをもらいました。
八十岡選手との交流の様子 |
笑顔で質問に答えてくれる八十岡選手 |
シャッフルの実演を行う八十岡選手 |
カードにサインもしてくれた |
八十岡選手との記念撮影 |
また,日本最大級のマジック専門ショップ「晴れる屋」の創立者であり,有名プロプレイヤーでもある齋藤友晴選手にも話を伺いました。齋藤選手は,高校生の時にスペインで開かれたプロツアーに初めて参加したときの話をしてくれました。
齋藤選手の話の中で,とくに,「英語の勉強は大事だ」「学校の勉強はアドなので,ちゃんと勉強しよう」「挨拶も大事だ」ということが印象に残りました。齋藤選手にもカードにサインをしてもらい(私は<<焼却の機械巨人>>と<<山>>),一緒に記念撮影もしました。サインしてもらったカードは私の宝物になりました。
好きなカードにサインをしてくれた |
齋藤選手との記念撮影 |
齋藤選手にサインをもらったあと,特別に大会運営のバックヤードを見学させてもらいました。残念ながら,バックヤードの写真を撮ることはできませんでしたが,どのように公式動画が配信されているのかということや,どのようにしてカバレージの記事が書かれているのかを知ることができて勉強になりました。
ウィザーズ本社の方とチームを組んでシールド戦に挑戦
それから,R&Dチームをはじめとするウィザーズ本社の方々と一緒に,リミテッド(シールド)のチーム戦を行いました。シールド戦とは,ブースターパックを6パックを開けて,その中のカードと基本土地カードを組み合わせて40枚以上のデッキを作って戦う大会です。
私のチームは,ウィザーズの方が2人,アンバサダーが2人の合計4人,もう一方のチームはウィザーズの方が2人,アンバサダーが3人の合計5人でした。ウィザーズの方からは,「リミテッドでは除去や飛行は強い」や,「マナカーブに気をつけよう」といったデッキの組み方のヒントを教わりました。私も何度かリミテッドの大会に出たことがありますが,なかなか勝てなかったのでとても参考になりました。
シールド戦でパックを開けている様子 |
ウィザーズの方と一緒にデッキを作成していく |
私達のチームは青黒サイクリングデッキを,相手のチームは黒緑デッキを作って対戦しました。1戦しかしてませんが,私達のチームが勝てたので嬉しかったです。また,1人ずつ事務局の人に呼ばれてインタビューを受けました。このインタビューの様子は7月30日のニコニコ生放送で配信されました。
相手チームのデッキ作成の様子 |
対戦中の様子。チーム戦なので助言が可能 |
私のチームが勝利 |
最後に記念撮影 |
8月後半にはアメリカツアーでマジックを通じた国際交流を行う予定
プロツアー「破滅の刻」の見学を通して,マジックが本当にさまざまな国でプレイされているということを実感しました。また,会場内のジャッジのアナウンスや,掲示物の表記はすべて英語なので,英語をもっと勉強しようと思いました。
大会を円滑に運営するために働いている裏方の仕事を見ることができたこともよかったです。私達ユースアンバサダーは,8月後半に,アメリカのシアトルに行き,ウィザーズ本社やマイクロソフト社,アマゾン社といった,有名企業を見学し,さまざまな人とマジックを通じた交流を行う予定になっています。私は,そのツアーをとても楽しみにしています。そのアメリカツアーの様子も,レポートしたいと思っています。
「マジック:ザ・ギャザリング」公式サイト
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