レビュー
DiRTシリーズのスピンオフ作品は,なんでもありのハチャメチャレースが楽しめる
DiRT Showdown
DiRTシリーズから生まれた,「DiRT Showdown」って,どんなゲームなのか
コードマスターズが2012年8月30日の発売を予定しているレースゲーム,「DiRT Showdown」(PlayStation 3/Xbox 360)。本作は「Colin McRae: DiRT 2」「DiRT 3」と続く「DiRT」シリーズの最新作だが,ナンバリングタイトルではなく,スピンオフ作品という位置づけになっている。スピンオフとはいえ,開発を担当しているのは従来作と同じ開発チームなので,いつものようにハイクオリティのグラフィックスが楽しめる。
DiRTシリーズとは,オフロードコースをメインに,往年の名車やオフロードカー,そして最新ラリーカーを駆って,ジムカーナをはじめとしたレースを楽しむゲームだ。しかし,今回のShowdownは,普通のレースでは味わえない,体当たりあり,破壊ありのデストラクションレースなどが楽しめる,レースゲームとしては異色のタイトルになっている。
「破壊」をテーマとする本作は,誰でも手軽にスリルや爽快感,興奮を感じられる内容で,アドレナリン全開の熱いバトルが体験できるのだ。
というわけで,そんな本作をさっそく紹介していこう。ただし今回は,開発バージョンを使用している関係でマルチプレイモードが試せていない。また,製品版との微妙な差異があるかもしれないので,その点についてはご理解いただきたい。
ちなみに,発売が予定されている日本語版では音声がローカライズされる予定だ。日本語での実況が雰囲気を盛り上げるのに一役買ってくれるだろう。
「DiRT Showdown」公式サイト
多彩なモードが用意され,誰でも楽しめるレースゲーム
まずは,ゲームモードから。本作には4つのゲームモードが用意されているが,メインとなるのは「SHOWDOWN TOUR」(ショーダウン・ツアー)で,これは,世界各地で開催されるレースに参戦してスキルを上げ,経験値やキャッシュを稼ぎつつキャリアを積み重ねていくという内容だ。
50種類以上のレースはいくつかのレベルに分けられており,各レベルとも最初は2つのレースにしか挑戦できないが,レースをこなしていくことで新しいレースがアンロックされていくという仕掛け。比較的サクサクとアンロックされていくので,ゲームのテンポは良好だ。
各レベルのレースにはさまざまなタイプがあり,レースごとに使用できるマシンも決められている。数台の選択肢から好みのマシンを選べるレースもあり,そこで得たキャッシュを使ってマシンをアップグレードし,落としたレースに再挑戦することもできる。こうしてキャリアを積み重ねて,最上位レベルを目指すわけだ。
「JOYRIDE」(ジョイライド)というモードには,ジャンプ台,土管,トラック,パワーショベルなど工事現場風のステージ「BATTERSEA COMPOUND」と,横浜港付近の貨物置場をモチーフにしたと思われるステージ「YOKOHAMA DOCKS」の2つが用意され,そこで自由にジムカーナが楽しめる。
また,指定された場所でドリフト,ジャンプ,スラローム,ドーナツターンといったトリックを使うミッションも用意されている。どこでどのトリックを使うかはリストになっており,ステージ上にマーカーが表示されるので,あとはそこでトリックを使うだけだ。
どちらのステージにも多数のミッションが用意されており,すべてのミッションをクリアする頃にはジムカーナの腕も格段に上がっているだろう。また,ステージ内にロゴワッペンが隠されており,それを見つけて回収する「HIDDEN PACKAGES」といったアイテム収集要素もある。
「MULTIPLAYER」(マルチプレイモード)では,オフラインの上下画面分割スクリーンで仲間や家族と対戦を楽しめる「SPLIT SCREEN」(分割スクリーン),インターネット接続を使用して最大8人で対戦できる「ONLINE」がサポートされている。
また,もう一つのマルチプレイモードとして,「CHALLENGE」(チャレンジ)があり,フレンドなどの最高記録に挑んだり,ほかのプレイヤーに挑戦状を出したりできる。このモードも残念ながら今回は試せなかったが,同時走行のレースバトルとは異なる楽み方ができるだろう。
実在の国や地域をモチーフにした,豊富なロケーション
レースの舞台になるのは,一般道を封鎖して作られた周回コースや工場の敷地,特設コースなどで,さまざまな国や地域の名所をモチーフにしている。
ざっと紹介すると,まずはアメリカはロサンゼルスのマリーナ・デル・レイ,ネバダ砂漠,ゴールデンゲートブリッジを臨むサンフランシスコの特設コース,建物やダンプカーの間を縫って走るミシガンの製鉄所,おしゃれなカフェやレストランが建ち並ぶマイアミのオーシャンドライブ地区,人気の高いコロラドの観光スポット,バターミルク・マウンテンの雪上コースなどだ。
上記のように,日本を舞台にしたステージも用意されており,一つは神奈川の横浜港付近の倉庫街をイメージしたと思われるもの。コンテナが積み上がる非常に狭苦しいコースで,トレーラーやドラム缶などを避けながらトリックを決めなければならない。遠くに見える,みなとみらいの景色が見事だが,見とれているとクラッシュは必至だ。もう一つは,ネオンきらめく渋谷駅周辺をモチーフにした,ビルの合間を抜けるテクニカルなコース。ここは,ダート路面もあって非常に面白いものになっている。
このように,すべて実在の場所をモデルにしたコースになっており,特徴的な建物がしっかり再現されるなど雰囲気は抜群だ。また,スタート/フィニッシュラインを通過する際の花火や,コース脇で興奮しちゃってるギャラリーなど,プレイヤーのアドレナリンが吹き出てきそうな演出が随所に施されているのだ。
どんなレースがプレイヤーを待っているのか
本作には,順位を競う一般的な「RACE」,体当たりでライバルを邪魔したり破壊したりするデストラクションレース「DEMOLITION」,そして,正確にマシンをコントロールしてトリックを使わなくてはならない「HOONIGAN」という3つが用意されている。
それぞれのカテゴリごとに必要とされるテクニックがまったく異なるため,走りは得意だけど,ぶつけ合いは苦手なんて人は注意が必要だ。それぞれのカテゴリのレースで良い成績を残さないと次のステップに進めないという場合も少なくないので,とくにキャリアモードではすべてのタイプのレースに対応できる腕が必要になってくる。それぞれの詳細は以下のとおりだ。
■RACE(レース)
周回コースでライバルより速く走ることを目指す「RACE」だが,基本的に当てて良しの本作ではクリーンな走りにこだわる必要はなく,真横からガッツリ当てて追い抜くくらいのアグレッシブさがないと勝てないだろう。
RACEには,トップでゴールを目指す「RACEOFF」(レースオフ),一定時間ごとに最下位が脱落していく「ELIMINATOR」(エリミネーター)と,一周を4つのセクターに区切り,各セクターごとのタイムによってポイントが加算されていく「DOMINATION」(ドミネーション)が用意されている。
どのレースモードもトップを走っていればだいたい大丈夫だが,本作は破壊がテーマになっているだけあって,ライバルの体当たりには常に注意しておかなければならない。トップだったのに体当たりを食らってスピン,結果,順位を大きく落とすなんてザラなのだ。もちろん,こちらがスピンさせて大逆転ということも考えられるので,可能ならガンガン当てていこう。
■DEMOLITION
ライバル達に体当たりしてポイントを稼いで行く「DEMOLITION」では,抜きつ抜かれつのレースとはまったく異なるテクニックが必要になる。体当たりすると自分もダメージを食うことと,止まったら絶対に狙われること,この2つを忘れてはならない。いかにライバルにダメージを与え,自分のダメージを最小限にできるかがキモだが,ときにダメージ覚悟で突進することも必要になるので,こりゃ熱いぜ!
ルールとしては,狭いスタジアムで制限時間内にライバルに多くのダメージを与え,それで得た累積ポイントで競う「RAMPAGE」(ランページ),土俵のようなステージでライバルに体当たりをしたり場外に押し出したりすることで得られるポイントを競う「KNOCKOUT」(ノックアウト),8の字レイアウトの狭いコースを走り,交差点での接触に注意しながらトップフィニッシュを目指す「8BALL」(エイトボール),ハンターとなったライバルカーから逃げ回って,できるだけ長い時間,破壊されずに生き残ることを目指す「HARD TARGET」(ハードターゲット)が用意されている。
RAMPAGEやKNOCKOUTは途中で破壊されても復活できるが,HARD TARGETは破壊された時点で終了になる。こうしたルールをしっかり覚えておかないと,ダメージを気にせず体当たりしていたら終わっちゃったなんてことになるかも。
■HOONIGAN
「HOONIGAN」は,オープンスペースでスタントやトリックを決めたり,決められたスポンジバリアを破壊しながらゴールを目指すといったものだ。使用するマシンも,ハイパワーでトルクは太く,それでいてコントロールしやすいジムカーナ専用のものだ。
内容的には,ライバルと2台でスタートし,規定トリックを決めつつ,ライバルよりも先にフィニッシュする「HEAD 2 HEAD」(ヘッド・トゥ・ヘッド),オープンスペースで多くのスタントやトリックを決めて,得られるポイントを競う「TRICK RUSH」(トリックラッシュ),ルート上に並べられたカラフルなスポンジバリアを,指定された順番に破壊するタイムレース「SMASH HUNTER」(スマッシュハンター)が用意されている。
ジムカーナということもあって,シビアなマシンコントロールが要求されるが,慣れてくれば思うようにトリックが決まって気持ちいい。どのルートを通れば次のトリックにつなげやすいか,どの方向にスピンターンするとロスタイムが少ないかなど,突き詰めていくとさらに面白さは増すだろう。派手なドリフトやスピンターン,ジャンプなど,美しくトリックが決まったときの快感がたまらなくて,狙いどおりのトリックを繰り出してフィニッシュラインを通り過ぎたときなど,自画自賛のあまり思わずステキなポーズを取ってしまうこともある。
ゲームオリジナルのほか,実在のマシンも登場
最後に,本作の主役でもあるマシンを見ていこう。ほとんどがゲームのオリジナルだが,有名なラリードライバーであり,ジムカーナのプロモーションビデオなどでも知られるケン・ブロック氏が監修していることもあって,日本車を含めた実在のマシンも登場する。
Jackson Adventurer |
Beliveau Meteor |
Zenden Cup |
Larock Sprinte |
Ford Fiesta H.F.H.V.(フィエスタをベースにしたケン・ブロックモデルのジムカーナ仕様のモンスターマシン) |
Subaru Impreza WRX STI GD(「DiRT 3」に登場した,ジムカーナ仕様のインプレッサ) |
レースカー風のものやバギータイプのマシンもあるが,やはりコントロールしていて楽しいのがHOONIGANのマシンで,ジムカーナ用にカスタマイズされたFord Fiesta H.F.H.V.やSubaru Impreza WRX STI GRなどに乗れば,たとえジムカーナのトリックはうまくいかなくても,走っているだけで面白い。
それぞれのマシンごとに,パワー,強度,操作性などのパラメータが決められており,HOONIGAN以外で登場するマシンであれば,キャッシュによるアップグレードが可能だ。良い記録を生み出すためにアップグレードは欠かせないが,それなりのキャッシュが必要になるため,常に最高額のキャッシュ獲得を目指してレースに励もう。
また,製品版には「VIP PASS CODE」というコード番号が印字されたカードが封入されており,そのコードを入力することで2台のマシンがアンロックされる。
アンロックされる代表的なマシン
RACE
Jackson Adventurer
Beliveau Meteor
Zenden Cup
Larock Sprinter
DEMOLITION
Robson Avenger
Jupiter Del Rio
Burton Beachcomber
Onyx Runner
HOONIGAN
Subaru Impreza WRX STI GD
Ford Fiesta H.F.H.V.
Toyota Scion tC
Subaru Impreza WRX STI GR
アドレナリン全開で突っ走れる,DiRTシリーズの新しい形
開発者が,「ライバルを打ち負かすためなら,なんでもありのゲームを作った」というように,これまでのDiRTシリーズとはまったく異なるコンセプトで作られた本作。コンマ数秒を争うストイックなレースではなく,相手をつぶしながら展開する豪快なものばかりで,一人でプレイしていても,思わず声をあげてしまうほど興奮する。まさにアドレナリン全開で楽しめるのだ。
シリーズ従来作とゲームの方向性は異なるものの,キャリアモードではレースを終えるごとに新たなレースやマシンがアンロックされ,ついつい時間を忘れて次のレースに挑みたくなってくるところなど,DiRTシリーズの雰囲気は濃厚だ。自分の腕前に合わせて難度を設定すれば,誰でも熱いレースが楽しめるし,今回はプレイできなかったマルチプレイモードでのバトルにも期待が持てる。従来のDiRTシリーズとはひと味違う,パンチの効いたレースを遊んでみたい人は,発売を楽しみに待とう。
「DiRT Showdown」公式サイト
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(C) 2011 The Codemasters Software Company Limited ("Codemasters"). All rights reserved. "Codemasters"(R), “EGO”(R), the Codemasters logo and “DiRT”(R) are registered trademarks owned by Codemasters. “Showdown”TM is a trademark of Codemasters. All other copyrights or trademarks are the property of their respective owners and are being used under license. Developed and published by Codemasters.
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