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印刷2012/05/15 14:02

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無料で始められると噂の新作TCG「Z/X」を「カードゲーム感謝祭 2012 春」の会場で実際に遊んでみた

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 「アクエリアンエイジ」や「リセ」といったトレーディングカードゲームが一堂に会するイベント「カードゲーム感謝祭 2012 春」が,ブロッコリーとユーモットの共催で5月13日に東京・池袋で開催された。

 各カードゲームの大会に加えて,新作TCG「Z/X(ゼクス) Zillions of enemy X」(以下,ゼクス)の初心者向け体験会も開かれていたので,今回は実際に触れてみた感想も交えつつ,ゼクスがどんな作品なのかを紹介していこう。

 なお,会場ではゼクスのプロデューサーを務める久保田俊介氏に話を聞くこともできた。自身もさまざまなTCGをプレイしてきたという久保田氏は,ゼクスをどのように成長させていこうと考えているのか。

体験会で配られたゼクスセットは50枚の構築済みデッキと,プレイシート。無料で始められるというのは本当だった
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戦略と運,どちらか一方では勝てない

「楽しく悩ましい」バランス


 ゼクスでは,3×3マスの専用フィールド上に,二人のプレイヤーがカードを出し合って攻防を行う。フィールドの中央上部と中央下部にはプレイヤースクエアと呼ばれるマスがあり,ここにはプレイヤーの分身となるプレイヤーカードが置かれている。そして,このプレイヤーカードに攻撃を1回加えるたびに,ダメージを受けたプレイヤーのライフが1点減る。ライフは合計4点で,これが先になくなったプレイヤーが負け,というわけだ。

ゼクスのプレイシート(左)とプレイヤーカード(右),実際はプレイヤーカードなしでもプレイできるのだが,キャラクターが描かれたカードを置くことで,世界観に浸りながら対戦が楽しめる
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ゼクスカード。左上の(6)がコスト。左下の6000がパワー
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 プレイヤーにダメージを与えるためのゼクスカードは,一般的なカードゲームのモンスターやクリーチャーに相当するもの。呼び出すためには,出したいゼクスカードと同じ“色”(勢力)を含む,コスト分のリソースカードが必要になる。

 リソースカードは専用カードではなく,手札のゼクスカードや単発で効果を発揮するイベントカードから任意のものを,1ターンに1枚だけフィールドに出して,リソースとして活用する。強力なカードを使うためには多数のリソースを必要とするのだが,このあたりのルールは,TCGのグローバルスタンダードにほぼ則っていると言っていいだろう。

 一方で,攻防や捨て札の処理はかなり特殊だ。
 まず,ゼクスカードは相手プレイヤーのプレイヤーカードおよびゼクスカードの上でなければ,3×3マスのどこに置いてもよい。基本的にゼクスカードは置かれたマスに隣接するマス上しか攻撃できず,移動も不可能だ。よって,プレイヤーに攻撃するためには,プレイヤーカードに隣接する3マスのいずれかにゼクスカードを置く必要がある。逆に,この3マスに相手のカードを置かせなければ,それだけ防御が厚くなることを意味する。

自分のプレイヤーカードの上にゼクスカードを置いて,壁として使うこともできる
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 攻防はターン制だが,攻撃判定は攻撃側にのみ発生する。攻撃するゼクスカードが,攻撃されるゼクスカードのパワーを上回っていれば撃破,そうでなければとくに何も起こらない。防御側はゼクスカードによる能動的な防御はできず,自分のターンに布陣を固めつつ,相手のターンでも使用できるイベントカードを利用して,攻撃を防いでいくことになる。

デッキは50枚で構築するが,ドロー(山札からカードを引いて手札に加える行動)は1ターンに2枚。カードの消費はかなり激しい。山札がなくなった場合はトラッシュ(捨て札)をシャッフルして山札にするのだが,このときにプレイヤーはライフを1点失う
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 この3×3マスの攻防はゼクスの特徴といってもいいが,さらに「イグニッション」という要素が,本作のランダム性とデッキ構築の難しさに大きく影響している。

名前の左にある銀色のマークがイグニッションアイコン
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 ゼクスカードの中には,名前の横にイグニッションアイコンと呼ばれるマークが表記されているものがある。このカードは通常のゼクスカードとしてフィールドに出すこともできるが,リソースを置くリソースフェイズと,実際に攻防を行うメインフェイズの間にある,イグニッションフェイズで真価を発揮するカードだ。

 攻防によって撃破されたゼクスカードは,そのままトラッシュにはいかず「チャージ」と呼ばれるエリアに最大4枚まで置かれる。イグニッションフェイズでは,このチャージにあるカードの回数だけ,山札の1番上からカードを公開するイグニッションを行えるのだが,このとき,公開されたカードにイグニッションアイコンがあると,なんとそのカードはコストを払うことなくそのままフィールドに置くことができる

 あらゆるゼクスカードはフィールドに置いたターンから行動できるため,たとえば4回イグニッションを行い,運良く4枚のイグニッションアイコンのついたカードを引くことができれば,たとえピンチでも,その後のメインフェイズで一挙に形勢を逆転できるかもしれないのである。

 イグニッションフェイズを有効活用できるかどうかは,本作において非常に重要になってくる。同じデッキを使えば,イグニッションの“引きの強さ”によっては,初級者でも上級者に勝てる可能性が出てくるわけだ。

攻撃側は,複数のゼクスカードで1体のゼクスカードを攻撃することもできる。たとえばパワー2000のカードAとパワー3000のカードBで,相手のパワー5000のゼクスカードを撃破してもいい。これにより,圧倒的な力を持ったゼクスカードがずっとフィールドに存在し続けるのが難しく,テンポの早い流動的な対戦が楽しめる。また,4点のライフはデッキからランダムでひいた4枚のカードを裏返して使用する。ライフが削られたときにはこの中の1枚をめくるのだが,このときに効果を発揮するタイプのゼクスカードもある
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 こういった,実力だけではどうにもならないランダム性を,比較的強めにゲームへと反映したのは,ゼクスが今の市場にあるカードゲームの“中間”を目指す作品だからだという。

 「最近はあまり考えることなく運の要素で勝敗を決するTCGが流行で,そうではないTCGはといえば,今度は逆に非常に難しいコアゲーマー向けのものばかり」と話すプロデューサーの久保田氏は,ゼクスのバランスを「楽しく,悩ましい」と表現する。

 「アクエリアンエイジ」や「ディメンション・ゼロ」などで培ったノウハウを元に,ゼクスでは初級者でも楽しめるけれど,天井はそこそこ高いといった,絶妙なバランスを心がけているようだ。


フリーミアムとメディアミックスで

TCGの垣根を低くする施策


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 さて,ゼクスは体験会会場で構築済みデッキを配ったり,公式サイトで公開されているカードを印刷して遊べたりと,無料で始められるTCGという比較的珍しい取り組みを行っている。

 これは,ソーシャルゲームのフリーミアムモデル(基本プレイ無料)を参考にしたもので,構築済みデッキだけでも十分楽しめるが,より高い機能を求める人は有料のブースターパックなどを混ぜて遊ぶことができるという試みだ。

 製品の発表から約1か月,ゴールデンウィークから始まった体験会の参加者は1000人を越えたとのことで,この取り組みの第1段階は成功しているようだ。実際,本稿でゼクスのルール説明はほとんど終えているので,あとは公式サイトにあるフリーカードをダウンロードすれば,今すぐにでもゲームを始められる。ほかのカードゲームにはないとっつきやすさである。

ゼクスのプロデューサーを務める久保田俊介氏
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 今後は,体験会だけでなく,北は北海道,南は九州まで全国各地でイベントを行う予定だという。このイベントも勢力によって分けられた地域ごとに行う予定で,久保田氏は,勢力ごとの対立を描いて,プレイヤー達に地域を背負って戦うような熱い気持ちでゲームを楽しんでほしいと語った。

 さらに久保田氏は,ゲーム化やメディアミックスに関してもコメントする。日本一ソフトウェアが開発するコンシューマゲーム版,ガマニアデジタルエンターテインメントが開発するオンラインゲーム版共に,共通の世界観は持つが,システムは各社の特徴を活かしたものになる可能性が高いという。すでに決定しているコミカライズも,そんなゼクスの世界観を広めるための施策だ。

 「カードゲームの界隈だけでは狭い」という久保田氏は,ゲームやコミックをとおしてゼクスの世界に触れたプレイヤーには,同じ世界観を持つカードゲームにも手を伸ばしてほしいと話す。

 このほかにも,ニコニコ動画やTwitterとの連動キャンペーンを多数行うゼクスは,プレイヤーと開発者の距離が比較的近い作品だ。話の最後に久保田氏は「面白かったというコメントから,自分が打ち砕かれるような批判まで,どんなものでも構いませんので,感想や意見をいただけると嬉しいです」と笑いながら話していた。


「Z/X(ゼクス)Zillions of enemy X」公式サイト

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    Z/X -Zillions of enemy X-

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