プレイレポート
本日稼動の「beatmania IIDX 20 tricoro」ファーストステップガイドを掲載。トップランカー,TANMEN氏も納得の最新作を徹底解説
前作「beatmania IIDX 19 Lincle」から,約1年ぶりの新作となる本作は,シリーズで初めてHD解像度に対応したほか,システム面も大幅にブラッシュアップ。もちろん人気BEMANIアーティスト達による新楽曲も多数追加されている。
そこで4Gamerでは,読者にそのプレイフィールをお伝えするべく,KONAMIにお邪魔して稼働直前の本作をプレイさせてもらった。稼働初日の掲載となる本稿では,そのスタートアップガイドとしてゲームモードの紹介や前作からの変更点などを中心に,最新作の魅力に迫っていく。取材に同席してもらった本シリーズのトップランカーの1人,TANMEN氏へのミニインタビューもあるので,そちらもお楽しみに。
※バージョンアップ版は9月25日より順次稼働の予定
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「beatmaniaIIDX 20 tricoro」公式サイト
初心者はより手軽に,上級者はよりディープに。
HD解像度に対応し進化を遂げたtricoro
トリコロールをテーマとし,赤・黄・青のロゴで装いも新たに生まれ変わったシリーズ最新作「beatmaniaIIDX 20 tricoro」。まずは前作からの変更点について述べていこう。
注目ポイントの一つ目は,なんといってもHD解像度に対応したグラフィックスだ。新曲のみならず過去の楽曲のムービーもブラッシュアップされ,美しい画面でプレイできる。楽曲についても過去最大の曲数を収録し,20作という節目に相応しいボリュームとなっている。
■新楽曲ラインナップ(一部)
- Liberation(ジャンル:TRANCE / アーティスト:dj TAKA)
- 狂イ咲ケ焔ノ華(ジャンル:Hi-GOTH / アーティスト:覚醒ノPrim)
- POINT ZERO(ジャンル:DRUM'N'BASS / アーティスト:猫叉Master+)
- Devilz Staircase(ジャンル:SYMPHONIC BREAK BEATS / アーティスト:OSTER project)
- LUV CAN SAVE U(ジャンル:NEO 80's EURO ELECTRO / アーティスト:HIDEKI NAGANUMA)
また初心者に向けた機能の充実も,本作では見逃せないポイントだ。後述の「STEP UP」モードや「ビギナーオプション」の追加など,初めて本作に触れる人でも遊びやすい仕掛けが多数用意されている。
さらに上級者向けには「floating HIGH-SPEED」など,より詳細なオプション設定が用意され,プレイフィールが格段に向上している。
赤・黄・青で配色された本作のロゴ。“tricoro”にはイベントによって内容がコロコロ変わるという意味もあるそうだ。なおイベント第1弾は10月上旬に予定されている |
「e-AMUSEMENT PASS」を利用すれば,プレイ前にプレイデータやライバルリストが表示される。プレイ後には,更新された箇所もチェック可能 |
(コラム)「beatmania」シリーズとは?
「beatmania」シリーズは,楽曲のリズムに沿って落ちてくる流れる「ノーツ(notes)」=音符に合わせ,筐体に用意されたボタン(鍵盤)とターンテーブルを操作し,音楽を演奏していくリズムゲーム。ノーツを正確に叩いていくことで画面下方にあるグルーブゲージが上昇し,楽曲終了時に80%以上を維持していればクリアとなる。もちろん正確であればあるほど高得点が得られる。
ノーツが赤いラインに重なったときにボタンを押そう。タイミングは5段階(PERFECT GREAT>GREAT>GOOD>BAD>POOR)で判定され,正確かつ連続で成功するほど得点が高い
最新作である「beatmania IIDX 20 tricoro」でも,この辺りの基本ルールはもちろん変わっていない。では何が違うのかといえば,例えば1998年に一世を風靡した「beatmania 2ndMIX」あたりからの進化を考えると,以下の点が挙げられるだろう。
- 5鍵盤から7鍵盤になった
beatmania 2ndMIXでは5つだった鍵盤が,7鍵盤となった(beatmania IIDX シリーズ共通)。操作する鍵盤が増えたことで難度は若干あがり,歯ごたえのあるプレイが楽しめるだろう。ちなみに5鍵盤とは違い,7鍵盤では1P側と2P側でターンテーブルの位置が異なる(1Pは左側,2Pは右側)ので注意。
- 収録楽曲数が膨大に増えた
beatmania 2nd MIXの収録楽曲数は全21曲。最新作「tricoro」では,合計700曲以上が収録されている。5鍵盤時代の楽曲も収録されており,例えば「GENOM SCREAMS」などは,最新作である「tricoro」でもプレイ可能だ。
- オリジナルキャラも登場するハイクオリティな映像
BEMANIシリーズのウリといえば,音楽はもちろんプレイ中に流れる映像のクオリティも見逃せない。「beatmania IIDX」シリーズでは,メインデザイナーのGOLI氏らの手によるキャラクター,アニメーション,3Dグラフィックス,実写などを駆使した映像が,プレイシーンを盛り上げてくれる。HD解像度になった「tricoro」なら,その感動も倍増だ。
- ゲームオプションが大幅に追加
5鍵盤時代にはなかったゲームオプションが多数搭載され,初心者も快適に遊べるようになった。例えば5鍵盤時代は1ミスに対するゲージの減少量が多かったが,今はそれを緩和するオプション「EASY」が用意されている。レーンにシャッターを下ろすことで視野を好みにカスタマイズできる「SUDDEN+」などは,中・上級者の定番オプションにもなっている。
5鍵盤に慣れた人が7鍵盤に移行する際は,1P側と2P側で異なるターンテーブルの位置に注意。はじめは1P側,2P側双方でプレイして,自分に合ったほうを選択しよう(※画像の筐体は開発中のものです)
「tricoro」新入生に送る,ゲームモード指南
「tricoro」に用意されたゲームモードは「STEP UP」「STANDARD」「段位認定」「FREE」「PREMIUM FREE」「HAZARD」と,2人プレイ専用の「FREE PLUS」の計7種類。ここでは本作がシリーズ初プレイという人に向け,それぞれのモードがどういったゲーム内容になっているのか,簡単に説明していこう。
- STEP UP
スキルアップを目的としたチュートリアルモード。楽曲クリアの成否に関わらず,必ず3曲遊べるのがポイント。
STEP UPモード
- STANDARD
本作のメインモード。ステージ毎に楽曲を選曲してクリアすれば3曲までプレイ可能。また3ステージ目に一定条件を満たしてクリアすれば,さらにもう一曲選曲できるEXTRAステージに進める。
STANDARDモード
- 段位認定
決められた楽曲について,特定の条件でのクリアを目指す実力判定モード。RANDOMやEASYなど,一部のオプションは使用できない。
- FREE
全難易度の楽曲を自由に選択できるモード。クリアの成否に関わらず,必ず2曲遊べる仕様となっている。
- FREE PLUS(2人プレイ専用)
2人プレイ専用のFREEモード。必ず遊べる曲数が2曲から3曲に増加している。
- HAZARD
プレイ中に一度でもミスをするとステージ終了になってしまう上級者専用モード。クリアの可否を問わず,必ず4曲遊ぶことができる。「FREE」or「FREE PLUS」モードで,黒鍵盤をすべて同時押しすることで切り替わる。
- PREMIUM FREE
KONAMI専用電子マネー「PASELI」を使い,一定時間貸し切りで遊べるモード。貸切時間内は全難易度の楽曲を自由に選択でき,クリアの可否を問わず,時間内であれば何曲でも選曲可能。
PREMIUM FREEモード
■「STEP UP」モードで基礎を学ぼう
数あるモードの中でも初心者プレイヤーにオススメなのが,ゲームのチュートリアルも兼ねて遊べるSTEP UPモードだ。
前作では東海道五十三次をモチーフとしたチュートリアルが用意されていたが,今作では「弐寺高等学校」を舞台に,本作の基礎を学ぶことができる。定期試験イベントで決められた楽曲をクリアしていければ,実力アップは間違いなし。3年の卒業までたどり着けば,さらなる高みを目指せるようになるハズだ。
またSTEP UPモードである程度ゲームに慣れたら,STANDARDモードや段位認定モードで腕試しをするのもいい。もし難度の壁にぶつかってしまったときは,再びSTEP UPモードに戻り,更なるスキルアップを目指そう。
ゲームをより遊びやすくする新システムを徹底解説
システムに改良が加えられ,プレイヤーのレベルに合わせた豊富なオプションが選べるようになった「tricoro」。オプション画面も「ビギナーオプション」と「通常オプション」「詳細オプション」の3種類に分けて表示されるようになり,より使いやすくなっている。
なおオプションは,選曲画面で[start]ボタンを押すことで呼び出せる。まずビギナーオプションが開くので,そこでさらに[effect]ボタンを押せば,通常オプションへ切り替えられる。
オプションには,本作を遊ぶうえで便利な機能が豊富に用意されている。以下に本作での変更点を中心に解説していくので,シリーズファンはぜひ活用してほしい。
■ビギナーオプション,通常オプションの違い
ビギナーオプションは,主に初心者に向けた作りになっていて,必要最低限の設定がシンプルにまとまっている。ゲームを始めて間もないというなら,ミスをしてもグルーブゲージが減りにくくなるEASYオプションを付けておくと心強い。
通常オプションには,従来どおりの項目が並んでいる。今まで遊んでいたプレイヤーはこちらをメインに使うといいだろう。前作からの変更点としては,「HI-SPEED」※に関する設定項目がなくなったこと。HI-SPEEDの設定は,楽曲選択後に調整する形になった(後述)。
※HI-SPEED……譜面の縦間隔を調整し,ノーツの落下速度を変更する設定項目。あくまでレーン上での設定であるため,打鍵するタイミング自体は変わらない。主にノーツの密度が濃い楽曲において,視認性を向上させるために使用される。
■詳細オプション
詳細オプションは,今作から追加されたオプション画面だ。通常オプション画面で[VEFX]ボタンを押すことで,この画面に移行できる。
「ゴーストスコア表示位置」「判定タイミング表示位置」「判定数」などは,この詳細オプションにまとめられており,さらに新機能として「判定タイミング調整」が追加された。この新機能は,とくに上級者にとってはうれしいものだろう。
■HI-SPEED設定について
また今作から,速度基準が実際のHI-SPEED倍率で表示されるようになり,1.0倍が前作まででいう等速の位置づけとなっている。この仕様変更により,速度の単位も「X.25倍」と「X.75倍」が追加されている。
そして今作からは,ここに「floating HI-SPEED」の設定が加わった。floating HI-SPEEDは,ノーツ表示時間※に合わせてHI-SPEEDを調整するオプションで,より細かいHI-SPEEDの調整が可能となっている。実際の利用に当たっては,「SUDDEN+」と「HIDDEN+」※の有無で操作方法が異なるので,覚えておこう。
※ノーツ表示時間……ノーツがレーンの上部から現れて判定ラインに落ちてくるまでの表示時間を表した数値。SUDDEN+における,いわゆる緑の数値を指す。
※「SUDDEN+」&「HIDDEN+」……レーンの上下を隠す設定項目。白い数字がカバーの位置,緑の数値が実際にノーツが画面に表示される時間を示している。
○「SUDDEN+」&「HIDDEN+」なしの場合
鍵盤でHI-SPEEDを0.5ずつ変更。ターンテーブルでハイスピードを小数点刻みで調整できる。
○「SUDDEN+」&「HIDDEN+」ありの場合
鍵盤でHI-SPEEDを0.5ずつ変更。ノーツ表示時間を固定したまま,ターンテーブルでSUDDEN+,もしくはHIDDEN+の長さを変更できる。
いずれの場合もHI-SPEEDをかなり細かく設定できる点は優秀だが,BPM(Beats Per Minute)変化のある楽曲には対応していないので,そこは注意が必要だ。なお「floating HIGH-SPEED」は,一度設定しておけば「e-AMUSEMENT PASS」に保存され,別の曲を選んだ場合も適用されるとのことだ。
(コラム)「クプロ」をカスタマイズして,プレーをさらに楽しく
前作から導入されたゲームアバター「クプロ」は今作も健在。ゲーム中のさまざまな場面に登場し,プレイヤーを楽しませてくれる。
クプロは公式サイトの特設ページでカスタマイズが可能で,さまざまなパーツをつけることで,プレイヤーオリジナルのクプロを作成できる。なおクプロのカスタマイズには,KONAMIのアーケード用ICカード「e-AMUSEMENT PASS」と公式サイトにログインするための「KONAMI ID」が必要だ。本作をプレイするときには,ぜひ用意しておこう。
カスタマイズパーツは,楽曲をクリアするごとにもらえる「デラー」で交換する。なおSTEP UPモードを進めていくことでもらえるパーツもあるとのこと
楽曲終了後のリザルト画面では,店舗内TOPのクプロが表示されるようになった。新しく追加されたクプロの細かい動きにも注目だ STEP UPモードでは,学園の周りにライバルのクプロが表示される
クプロのカスタマイズ用デラー稼ぎには,今作から追加された新要素「トランメダル」を活用するのがオススメだ。トランメダルはゲーム中に様々な条件を満たすことで取得でき,取得するとボーナスデラーがもらえる。銅/銀/金の3ランクがあり,その取得条件は100種類以上とのこと。いろいろな楽曲をプレイして,メダル獲得を目指そう
トップランカーTANMEN氏による
「tricoro」ファーストインプレッション
4Gamer:
「tricoro」初プレイ,いかがでしたか?
TANMEN氏:
floating_HI-SPEEDに注目ですね。癖のあるBPMでもSUDDEN+を合わせやすくなるので,使いこなせるとスコアアタックがはかどりそうです。
あと判定タイミング調整機能は自分も含め,周りのプレイヤーにとっても一番影響があるオプションじゃないでしょうか。
4Gamer:
というと?
TANMEN氏:
「beatmania IIDX」シリーズはディスプレイの種類が数種類あって,ゲームセンターによって判定のタイミングが若干違うことがあるんですよ。この機能を使えば,ホーム以外の店でも微調整できるので,すごく助かります。
4Gamer:
なるほど。プレイがより快適になって,ライバルとのスコア対決も激化しそうですね。では新楽曲についてはいかがでしょう。
TANMEN氏:
Yuko Takahashiさんの「Präludium」は,難しすぎず気持ちよく叩けるピアノ曲なので,個人的にお気に入りです。あとはDJ GENKIさんの「Shining World」ですね。ポップな楽曲でスコアも取りやすく,指慣らしとか判定合わせで選ぶことが多くなりそう。
彼とは「DJ TROOPERS」の頃に知り合ったんだけど,プレイヤーだった彼が今では楽曲を提供する側になるなんて,どこか遠い存在になってしまった気がして寂しい(笑)。
4Gamer:
有名プレイヤーが楽曲を提供する側に回るなんて,凄い時代になりましたね。では最後に,10月から予選がスタートする「KONAMI Arcade Championship 2012」への意気込みなどをお願いします。
TANMEN氏:
今回の新システム追加でゲームがより快適に遊べるようになることが本当に大きいですね。イベントも豊富に用意されていると聞いたので,今まで以上に稼動が楽しみなタイトルになっています。これから始まるKONAMI Arcade Championshipも含めて,全国の皆さんに負けないよう頑張りたいと思います。
4Gamer:
ありがとうございます。新作稼動後とKONAMI Arcade Championshipでの活躍を期待しています。
開発陣営も自信アリ。「beatmania IIDX」の楽しさを凝縮した会心の一作
稼働直前にKONAMIにお邪魔し,本作をじっくりプレイさせていただいた今回のプレイ取材。もちろん筆者も数回プレイしたが,新オプション周りを含め,予想以上のできに思わずニヤけてしまうほどだった。上級者にとっては痒いところに手が届き,初心者に向けては充実したチュートリアルなど,ハードルを下げる試みが随所に見られる。よりたくさんの人に長く遊んでもらいたいという,開発スタッフの思いがしっかり感じられるタイトルである。
「beatmania IIDX」シリーズといえば,リズムゲームの中でも難しいという印象を持たれがちだ。それはあながち間違いとは言い切れないのだが,それゆえに面白さもまた格別である。
ナンバリング20作目という大きな節目を迎え,新システムとともに歩みを踏み出す「beatmania IIDX 20 tricoro」は,本日より全国のアミューズメント施設にて稼動を開始する。スタッフいわく,最後までイベントで楽しませるボリュームを用意しているとのことなので,今後の展開にもぜひ期待しておこう。
「beatmania IIDX 20 tricoro」公式サイト
- 関連タイトル:
beatmania IIDX
- この記事のURL:
(C)Konami Digital Entertainment