インタビュー
「Momoiro☆Billionaire!-ぱいろんmeets大富豪-」は大人が本気で作った悪ふざけ? 「ぱいろん」キャラも登場する本作の魅力を制作陣に聞いてみた
今回は,本作品のナビゲーターキャラである天分帆立(てんぶほたて)役の声優,田野アサミさんの収録現場にお邪魔し,キャラクターデザインを担当したふーかでぃあさん,そして「桃色大戦ぱいろん+(ぷらす)」(以下,ぱいろん)シリーズのプロデューサーとしてもおなじみのエクストリーム白川 龍氏,本作のディレクター 伊達 麻衣氏に,対談形式で本作品の魅力を語ってもらった。
エクストリーム コンテンツプロパティ事業本部 プロデューサー 白川 龍氏 |
エクストリーム コンテンツプロパティ事業本部 ディレクター 伊達 麻衣氏 |
天分帆立役 田野アサミさん |
天分帆立&ピグー キャラデザイン担当 ふーかでぃあさん |
「Momoiro☆Billionaire!-ぱいろんmeets大富豪-」公式サイト
「桃色大戦ぱいろん+(ぷらす)」公式サイト
「桃色大戦ぱいろん」が大富豪と出会ってしまった。その理由とは?
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。そもそも,なぜ「Momoiro☆Billionaire!」のジャンルは,大富豪になったのでしょうか。
もともと「桃色大戦ぱいろん」からのスピンオフということで,テーブルゲームを取り上げることは確定していたんですよ。でも,誰でも分かるテーブルゲームは意外と少ないんです。例えば,(伊達さんは)将棋は打てる?
伊達氏:
分からないです(苦笑)。
白川氏:
ということで,将棋も囲碁も打てるという人は,日本人でもあまり多くはないのかなと。かといって,ルール説明がほとんど必要ない神経衰弱などは,なかなか面白いゲームにしづらいんです。そういうことをいろいろ考えた結果,誰でもできて,かつ,戦略性があって,ローカルルールが多くて,長く遊ばれているテーブルゲーム……大富豪かな,と。
4Gamer:
企画はけっこう前から暖められていたというか,前々からスピンオフで何かやりたいというお話は出ていましたよね(関連記事)。
白川氏:
「ぱいろん」というコンテンツをこの先もずっと続けていくにあたって,とにかく裾野を広げていきたいという意図がありました。麻雀以外でも何かやりたいと。
4Gamer:
さきほどローカルルールという単語が出ましたが,大富豪はローカルルールが多いですよね。そんななかで「Momoiro☆Billionaire!」ならではのルールというのもあるのでしょうか。
白川氏:
せっかくの「ぱいろん」シリーズなので,シリーズらしいルールをふたつ,取り入れています。これはどこの大富豪ゲームにもない完全オリジナルです。まずひとつめは「ぱいろん」にちなんで「8」「A(1)」「6」の3枚を出すことで強制的に場を流すことができる「ぱいろんスマッシュ」。田野さんにもこのセリフ収録してもらいましたよね。
田野氏:
はい,しましたね!
白川氏:
大富豪において,「6」のあたりって本来は中途半端なカードです。早く手札からなくしてしまいたいはずの6を残しておくかどうか。しかも今後のアップデートで実装予定なのですが,同じスートで出すと「ロイヤルスマッシュ」になって強くなります(笑)。
田野氏:
「ロイヤル」が付くともっとスゴイので,「なんかこう勢いのある感じで!」って言われました。力強く演技しましたね(笑)。
白川氏:
ということで「Momoiro☆Billionaire!」をプレイする際は「8」と「A」と「6」に注目して取っておくといいかもしれません。
田野氏:
「ぱ(8)」と「い(A)」と「ろん(6)」ね。覚えておこう!
白川氏:
もうひとつのオリジナルルール。これはキャラクターゲームならではのものなんですが,属性ルールというものがあります。大富豪では,例えばハートなど,同じスートが続くとそのスートしか出せなくなったりしますが,これがキャラクターの属性にも適用されます。
4Gamer:
属性とは?
白川氏:
たとえば,場にケモノ耳がついた娘のカードを出すと,次もケモノ耳がついている娘しか出せなくなるんです。
伊達氏:
「ケモ耳縛り」ですね。
4Gamer:
ああ,なるほど。そっちの「属性」ですね(笑)
白川氏:
あとは「アホ毛縛り」とか,あんまり大きな声では言えませんが「貧乳縛り」とか「巨乳縛り」とか。
田野氏:
ええー!(笑)
白川氏:
キャラカードにはそういった属性が振られていて,自分のトランプセット(デッキ)を好きなキャラで,自由に構成できるんです。自分のデッキをほとんど巨乳キャラにしておいて,その中に1枚だけ貧乳キャラを入れておくと,その1枚を手にしたプレイヤーはなかなか場に出せなくなってしまう。そういった戦略を練ることもできます。
もちろん,マニア向けに,自分の好きなキャラでデッキを埋めるということもできます。属性縛りがないルールで対戦することもできるので,お好みで楽しんでください。
4Gamer:
ところで,多様に存在するローカルルールから,どれを採用するか迷われたのでは?
白川氏:
迷いましたね。弊社の社員にアンケートしてみたら,聞いたことのないローカルルールがザクザク出てきました(笑)。極端な話,遊んでいた地方というより,学校単位で違ったりするんですよ。
4Gamer:
なんとなく分かりますね。
白川氏:
でも,逆にそこが大富豪のいいところでもあるのかなと。みんなそれぞれのルールに思い入れがあるので,ローカルルールに関してはサービス開始後もどんどん追加していきたいと考えています。ただ,サービス開始当初はさきほど述べたオリジナルルールとオーソドックスな基本ルールでやっていこうと思います。
今のところ,追加を予定しているのは「11バック」「スペ3」「階段縛り」あたりを考えています。
田野氏:
あ,そのセリフも収録しましたよ。
4Gamer:
ええと,そのルール全部知らないです(笑)。
白川氏:
えっ,知りませんか。ふーかでぃあさんも知らない?
ふーかでぃあ氏:
知らないです。田野さんの収録を見学させてもらっているときにも「いれぶんばっく? すぺさん? なんだそれ!?」という感じで聞いていましたよ(笑)。
伊達氏:
「11バック」は11のカードを出すと,その時点からカードの数字の強さが逆になり,10,9,8……と逆に出していかなければならなくなります。
白川氏:
僕,スタッフに「何言ってるんですか白川さん,普通にありますよ! 11バック」って言われましたよ。「知らねぇよ,そんなの!」って返しましたけど(笑)。
伊達氏:
でも今回,知っている人の多かったローカルルールを採用しているんですよ。
4Gamer:
先ほどから,セリフに関して田野さんが反応していますけど,そういったルールだったり,ぱいろんスマッシュなどの技(?)だったりでボイスが楽しめるようになっているんですか?
白川氏:
ええ。たとえば8を切ったときには「やぎりっ!」みたいな感じで,革命が起きたときにも……。
田野氏:
「革命発生っ!」
白川氏:
というような感じで,ほたてちゃんが賑やかに盛り上げてくれるんですよ。
4Gamer:
なるほど。トランプゲームというと淡々と進めるのかなと思っていましたが,そうではないんですね。
白川氏:
賑やかと言えば今回は音楽も賑やかなんですよ。ゲームミュージック界では超有名な古代祐三さんに音楽をお願いしているんです。これがまたすごくカッコイイんですよ。
4Gamer:
テーブルゲームで流れる古代さんの曲……って,あまり想像できないですね(笑)。
白川氏:
実は,ビクビクしながら依頼しました(笑)。普通ブラウザゲーム,それも大富豪で古代さんの音楽を使おうなんて,考えないんじゃないですか。だからこそ,プレイヤーを驚かせる要素のひとつとしてご参加いただけますか,とお願いにうかがったら,快諾していただけたんです。
そんなカッコイイ音楽をバックに,ほたてとピグーがわいわいやっているなかで,ゲーム内マネーを稼いでいくんですが……ええと,ネア(ゲーム内マネー)のケタ,どこまで収録したっけ。
田野氏:
万,億,兆,京(ケイ)まで収録しましたよ。
4Gamer:
えっ,京まで?
白川氏:
そう。ケタ数がアホみたいなことになってるんですよ。そのへんが荒稼ぎ感を出していて,プレイしていて非常に楽しいと思います。ガチャを1回まわすのに“50億ネア”使ったりして。場代として100億ネアとか1兆ネアを賭けて友達と大富豪を遊ぶというヒリヒリ感をぜひ楽しんでほしいです(笑)。
フィーリングはバッチリ? 田野アサミさんもお気に入りのナビゲーションキャラ「天分帆立」とは
そういったいろいろな要素を仕込んでいくなかで,オリジナルキャラを作ろうということでお願いしたのが,ふーかでぃあさんなんですよ。
ふーかでぃあ氏:
いろいろ無茶振りされました(笑)。
4Gamer:
ちなみに,ふーかでぃあさんにお願いしたのは,どういった経緯からなのでしょう?
白川氏:
最初はPixivがきっかけでした。今回の企画に合う絵師さんは誰なのかということでずっと探していたんですが……僕,普段からPixivはよくチェックしているんですが,今回の絵師探しのときは本当にもうずっと張り付いて探していたんですよ。
伊達氏:
ほんと,連日ずっと見てましたよね(笑)。
白川氏:
そこで,ふーかでぃあさんの絵を見つけたときに「コレだ!」って感じまして。丸っこさとシャープな感じが共存しているタッチ,これが欲しい! と。
ふーかでぃあ氏:
実は,白川さんから最初にメールをいただいたときは,てっきり麻雀の「ぱいろん」のキャラを描くのかなと思っていたんです。でも,なんだか話がどんどん大きくなっていて,途中から自分のことだと思えなくなっていったんですよ。最近はコラボ企画などの話もうかがうようになって,「す,すごいことになってしまった」と。
白川氏:
ほたてがどんどん遠くに行ってしまう……みたいな?
田野氏:
ほたてはもう私のものですよ!
一同:(笑)
ふーかでぃあ氏:
あ,わかりました。どうぞ差し上げます(笑)。
白川氏:
田野さんに気に入ってもらえたならよかったです。どんどん広めていってもらえれば嬉しいですね。
田野氏:
もー,お気に入りですよ!
4Gamer:
そんな,田野さんお気に入りのほたてですが,今回,この役の声優として田野さんが抜擢された理由を教えてください。
白川氏:
キャスティングをしてくれた方が,田野さんをオススメしてくれたんですよ。先に声だけ聴かせていただいたのですが,すごく元気な感じがいいなと。
田野氏:
嬉しいです(笑)。
どのキャラでもそうですが,台本を書くときに頭の中ではその声が聴こえているんです。で,収録の際,スタジオで田野さんの声を直接聴いて,「あ,これだわ」と。まさにピッタリなキャスティングだったと思っています。ピグー役の小山剛志さんも含めてね。
ふーかでぃあ氏:
小山さんは自分が想像していたよりも100倍くらい渋かったですよ。渋い声だとは聞いていたんですが,想像を上回る渋さで驚きました。
4Gamer:
ふーかでぃあさんのイメージだと,もっと可愛い感じだったとか?
ふーかでぃあ氏:
そうですね。
白川氏:
でもギャップがあるじゃないですか。ピグーもふーかでぃあさんにいろんな表情を描いていただいてますが,おっしゃるとおり女性声優さんに少年っぽい声で演じてもらっても,しっくりくるキャラなんですよ。
伊達氏:
そう,そのギャップを味わってほしくて,ずっと渋めの声で行こうと思ってたんです。
白川氏:
むしろ,絶対に小山さんにやってもらおうと心に決めてましたね(笑)。だって,第一声でプレイヤーを笑わせたいじゃないですか。ゲームを開始すると,小山さんのボイスで「(そこのあなた……私の声が……聴こえますか)」と呼びかけてくるんですよ。
ふーかでぃあ氏:
「こいつ,直接脳内にっ!?」的な。
田野氏:
シュールですよね(笑)。
白川氏:
完全に出オチです。その出オチ感を一番増幅してくれるのは誰かと考えたときに,小山さんだと思ったんです。
田野氏:
ほたてとの温度差が,かなりありますよね(笑)。
白川氏:
そうそう。ほたてがキャーキャーと騒ぐのに対して,渋い声で「はっはっは」と笑うし。
4Gamer:
では,田野さんがほたてを見たときの印象はどうでしたか。
パッと見た瞬間から,自分の中でほたてのしゃべり方が想像できて,「この娘は私しかいないだろ!」と思いました。小さなことですが,八重歯が一緒とかそういう共通点もあったりして。
ほたてちゃんは,勢いで動いちゃったり,天真爛漫なところがあるんですが,私自身も「いつも元気だよね」と,言われるくらいなので,演じるときに迷いは一切ありませんでした。ほたてちゃんは,私が命を吹き込んで背負っていくんだって自然に思えて,フィーリングもバッチリ。セリフ収録のときに,ぽろっと出た言葉が採用されたりしました。
白川氏:
けっこうアドリブを効かせてくれましたよね。
田野氏:
私なりの提案というか,こういうのはどうだろうと思ったことをやり取りさせていただいたんですよ。私ひとりで声を吹き込んだというよりも,みんなで考えながら育てていったところがありますね。いろんな要素が重なり合って,ほたてが出来あがったんだと感じています。
4Gamer:
なるほど。ほたてには,田野さんの色もかなり反映されているんですね。
白川氏:
実は収録のときに初めてお会いしたんですが,田野さんってすごくアグレッシブな方なんですよ。
田野氏:
あははは。
白川氏:
納得がいかなければ全然違う演技で攻めてきてくれて,収録していて本当に楽しかったんです。
伊達氏:
ほたてが上から目線で言うセリフがあったんですけど,収録中に聞いているときにも絵を想像して「そのセリフ,本当にイラっとするなぁ!」って(笑)。
白川氏:
そういうイラっとくるセリフも多いですが,田野さんの声とふーかでぃあさんのイラストでさらにイラっとしていただければと思います。
田野氏:
そのへんのセリフは,普段言わないような言葉ばかりだったので,すごく気持ちよく言わせていただきました。
白川氏:
大富豪で1位になると,ほたてに「札束でぶって!」って言われる予定になので,そういった優越感を感じていただきつつ……。
田野氏:
一方で「負け犬!」とか言ったりしますから。
伊達氏:
貧乏なほたてに蔑まされます(笑)。
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