インタビュー
「アラド戦記」の生みの親が手がける新作オンラインアクションRPG「HERO WARZ」とは,どんなゲームなのか。韓国A.STORMの担当者にズバリ聞いた
「アラド戦記」といえば,韓国や中国において非常に高い人気を誇っており,日本でも熱心なプレイヤーが多いオンラインアクションRPGだ。それだけにKim氏の最新作となる「HERO WARZ」がどんなゲームなのか,そして日本でサービスを展開するのかどうかは気になるところだろう。
今回4Gamerでは,来日していたA.STORMで事業統括を担当しているSpike Seo氏に話を伺う機会を得た。そこで「HERO WARZ」を紹介してもらうとともに,現在の韓国向けOBTの状況や日本での展開予定などを直接聞いてみたので,ぜひご覧いただきたい。
「HERO WARZ」公式サイト
元Neopleの精鋭集団 A.STORMが目指すのは,オンラインアクションゲームの職人
本日はよろしくお願いします。まずは,A.STORMについて紹介していただけますか。
Spike Seo氏:
A.STORMは2010年夏に設立したデベロッパで,現在は「HERO WARZ」を開発中です。このタイトルは,韓国で2014年9月下旬から約1年間にわたってOBTを実施しています(関連記事)。
4Gamer:
「HERO WARZ」のほかには,どのようなタイトルを開発されたのでしょうか。
Spike Seo氏:
A.STORMとして手がけているタイトルは「HERO WARZ」が初となります。ただ,中心となるスタッフは,Neopleで「アラド戦記」や「Cyphers」の開発に初期から携わっていたメンバーです。
4Gamer:
では,A.STORMはアクション性の高いオンラインゲームの開発に長けたデベロッパなんですね。
Spike Seo氏:
そのとおりです。私達はオンラインアクションゲームの職人を目指しています。
4Gamer:
ちなみに現在,A.STORMには何名のスタッフが在籍しているのでしょうか。
Spike Seo氏:
開発が約80名,運営などのスタッフが約30名なので全体で110名程度ですね。そのうち,約40名が元Neopleのスタッフです。
“夢”の世界を舞台に,個性的なキャラクターが一騎当千アクションを繰り広げる
4Gamer:
続いて,「HERO WARZ」がどのようなゲームなのかを教えてください。
Spike Seo氏:
簡単に説明するならば,クォータービューを採用した一騎当千スタイルのアクションRPGとなります。マウスまたはゲームパッドを使ったシンプルな操作で,爽快なアクションを繰り出せることに重点を置いています。
「アラド戦記」の開発時に得られたノウハウをいかに活用するか,それを念頭に踏まえて企画・開発を進めているところです。
4Gamer:
ノウハウですか?
Spike Seo氏:
たとえば,「アラド戦記」は横スクロール型のアクションゲームなので,縦軸をうまく合わせないと敵に攻撃が当たらないケースが生じます。そこで「HERO WARZ」ではクォータービューを採用して,プレイヤーキャラクターと敵との位置関係を把握しやすくしました。
また,爽快感を増幅するために,より多くの敵を一度になぎ倒せる一騎当千スタイルを取り入れています。さらに,マウスの左右クリックとホイールの組み合わせのみというシンプルな操作によって,ほとんどのスキルを発動でき,これを応用したスキルコンボを繰り出すことも可能です。
こうした特徴は,「HERO WARZ」ならではのものといえます。
4Gamer:
なるほど。
それでは,ゲームの基本的な流れについて説明をお願いします。
基本的には,ミッションを任意に選択し,フィールドに移行して遂行していくという流れになっています。ダンジョンで狩りをする部分などは,「アラド戦記」とあまり変わりません。
その過程で,プレイヤーはモンスターとのバトルを通じて,キャラクターを成長させるのですが,「HERO WARZ」では複数の個性的なキャラクターを育成しつつ,ゲームの局面に応じて使い分けることを想定したバランス調整を施しています。
4Gamer:
たとえば,どのようなキャラクターが用意されているのでしょうか。
Spike Seo氏:
面白いところでは女性の野球選手がいますし,花札や水鉄砲を使って攻撃するキャラクターなども登場します。キャラクターの表現において,私達はリアルなアクションにこだわっています。ボールや花札を投げる動作,水鉄砲を撃つときの感覚を独自のモーションで再現しているんです。
こうしたキャラクターを韓国でのOBT開始時には6人用意し,その後は1〜2か月に1人のペースで追加してきました。現在,PvEモードで使用できるキャラクターは全部で15人になりました。
4Gamer:
キャラクター数が豊富ですね。
Spike Seo氏:
フィールドも豊富で,それぞれにテーマを持っています。砂漠やスラム街,あるいはポップなイメージだったり水墨画風だったりと,多彩なバリエーションがあります。
4Gamer:
キャラクターやフィールドが豊富ということで,ゲーム全体の雰囲気やストーリーも賑やかなイメージがあります。
Spike Seo氏:
ストーリーの設計においては“拡張性”を重視していますので,確かに賑やかという印象を与えるかもしれません。
4Gamer:
拡張性のあるストーリーについて,もう少し詳しく教えてください。
Spike Seo氏:
「HERO WARZ」のストーリーは「マヤ」という少女を中心に展開するのですが,彼女には“夢”を現実にする能力があります。つまり,マヤが見るさまざまな夢がそのままゲーム内のフィールドとして具現化されるという設定になっています。
こうしたストーリーや設定は,A.STORMの代表であるKim Yoon Jongが手がけています。「アラド戦記」や「Cyphers」のストーリーや世界設定を生み出したのも彼ですが,より多くのキャラクターやフィールドをゲームに登場させるためにはどうすればいいかと考え,その結果,夢をモチーフにしたという経緯があるんです。
韓国でのサービスインは2015年内か。日本を含むグローバル展開は2016年以降の予定
4Gamer:
さらに具体的なゲームの仕様についてお聞きします。
まず,PvEモードにおけるパーティは何人編成でしょうか。
Spike Seo氏:
パーティは最大4人のキャラクターで編成されます。
ちなみに「HERO WARZ」ではオートマッチングシステムを用意していますので,プレイヤーが能動的にパーティメンバーを探す必要はありません。
4Gamer:
PvPモードはいかがでしょうか。
Spike Seo氏:
4人vs.4人のMOBAスタイルで戦うPvPモードを搭載しています。このモードでは,プレイヤーがPvEモードで獲得したPvPモード専用のキャラクターを使うことになります。
また,最大8人vs.8人でチームデスマッチのようなバトルを楽しめるPvPモードも近日中に実装予定です。こちらのモードは,PvEモードで育成したキャラクターをそのまま使えます。やはりプレイヤーとしては,自分で育てたキャラクターを使って戦いたいですよね。
4Gamer:
確かにそう思います。
それでは,韓国における「HERO WARZ」の状況を教えてください。
Spike Seo氏:
先ほどお話したとおり,1年近くOBTを実施しているところで,テスターの意見を反映しつつ,週1回のペースでアップデートを行っています。これは「アラド戦記」がアップデートを重ねていく中で,徐々にプレイヤーの信頼を獲得していったという経験に基づく施策です。
4Gamer:
なるほど。
テスター数はどうでしょうか。
Spike Seo氏:
登録テスター数は80万人を記録しており,そのうち実際にプレイされたのは60万人前後です。
4Gamer:
注目度の高さがうかがえる数字です。そのOBTですが,いつまで実施する予定ですか。
Spike Seo氏:
実は現在,大型アップデートの準備を進めており,その実施とタイミングを合わせて韓国でのサービスインを実現したいと考えています。
4Gamer:
あまり遠くはなさそうですね。遅くとも2015年内には?
そうなれば嬉しいですね。ただ,アップデートの内容が挑戦的なものを予定していて,日々試行錯誤を重ねている段階です。まだ具体的なことは何とも言いがたいです。
4Gamer:
分かりました。
最後に,日本を含む「HERO WARZ」のグローバル展開についての予定を教えてください。
Spike Seo氏:
韓国でのサービスインが順調に進めば,2016年から大々的にグローバル展開を始める予定です。A.STORMは,なかでも日本を重要な市場と捉えていますから,ぜひサービスを展開したいと考えています。とくに「HERO WARZ」のようなアクションRPGは,日本のゲーマーに強くアピールできるのではないでしょうか。
私達は,子どもの頃から日本のゲームに親しんできました。日本のゲームに対するロマンとリスペクトをモチベーションとして,「HERO WARZ」の開発に取り組んでいますので,この機会にお伝えしておきたいと思います。
4Gamer:
ありがとうございました。「HERO WARZ」の日本展開に関するニュースが届く日を楽しみにしています。
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