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小説「TERRA BATTLE 英雄失格」発売記念トークショーが開催。著者の波多野 大氏が坂口博信氏とともに裏話を披露
「英雄失格」の著者で,「TERRA BATTLE」のシナリオも手がける波多野 大氏と,「TERRA BATTLE」のプロデューサーである坂口博信氏が登場し,裏話などを披露した会場の模様をレポートしよう。
「TERRA BATTLE」では,ダウンロード数に応じて,新たなモードが追加されたり,著名アーティストが開発に参加したりする企画「Download Starter」が行われているが,「英雄失格」の刊行は,Download Starterにおける210万ダウンロード達成時の“公約”として掲げられていたもの。
それが実現したことについて,波多野氏は「今でも信じられないです」とまず率直な感想を述べ,完成にこぎつけた時は感極まって泣いてしまったと振り返った。執筆中はとても楽しかったが,最後の1か月は,出版元の集英社に缶詰状態になっていたそうだ。
坂口氏も同じ想いだったようで「周りのサポートがあってこそ出版できたものですし,さまざまな方に読んでいただけるのは本当に嬉しいこと」と笑顔で話していた。
波多野氏は,「TERRA BATTLE」を小説化するうえで,ゲームのプレイヤーが思わずニヤリとしてしまうネタや場面を盛り込むことに気を使ったとのこと。加えて,読んだあとに「TERRA BATTLE」のシナリオが違って見えるような内容にしたかったとのことだ。
ここで話題は,坂口氏と波多野氏の出会いに移った。波多野氏が専門学校生だった頃,就活のため派遣会社に登録していところ,運良く坂口氏手がけるWii用RPG「THE LAST STORY」のチームに参加できたという。シナリオやイベント演出を担当し,マスターアップは未だに思い出深いと話していた。
続いては,「THE LAST STORY」と「TERRA BATTLE」の,開発における違いについて。基本部分は同じという波多野氏に付け加える形で坂口氏が,スマホならではのシステムを絡めつつ,ゲーム体験としてグッとくるものにしたかったとコメント。シナリオやキャラクターを非常に重視しているという。
とはいえ開発当時は,「スマートフォンゲームにストーリーはいらない」などという風潮があったからか,坂口氏はプレイヤーが「TERRA BATTLE」のシナリオやキャラクタープロフィールを読んでくれるのか,不安もあったという。しかし,わずかでも読んでくれる人がいるならぜひ入れるべきだし,そこから何かを感じ取ってくれたら嬉しいと思っていたそうだ。結果的にTERRA BATTLEのシナリオはプレイヤーから支持され,坂口氏も「入れてよかった」と話した。
また,スマートフォン向けゲームには,同じキャラクター同士を合成させて強くさせていくというシステムを採用するものが多いが,キャラクター設定に力を入れる「TERRA BATTLE」では,キャラクターはその世界に1人だけの存在にし,メニュー画面に同じキャラクターが並ばないようにしたそうだ。
ちなみに本作には,DNA再構築というキャラクター強化システムがあるが,そこから生まれるキャラクターは,見た目こそ似ているもの,実質的には別人で,性格や考え方も異なるという。
続いては,TERRA BATTLEの今後のストーリーはどうなっていくのか,という気になる話題。現在32章まで配信されている同作だが,波多野氏いわく,現在,33章と34章はある程度仕上がっているとのこと。
坂口氏は,今後トカゲの星,ケモノの星など,キャラクターの故郷の星の話にスポットを当てられたら楽しいのでは,と話した。キャラクターのルーツを探るという意味でも,気になるところだ。
ちなみに英雄失格では,パルパとペペロペにスポットが当てられているが,その理由は,ゲーム中でその辺りのことを説明すると冗長になってしまうからとのこと。TERRA BATTLEの小説化には,キャラクター1人1人のストーリーを綴る短編集という構想もあったようだが,キャラクターにはプレイヤーそれぞれのイメージがあるため,押し付けがましくなってはまずいということで,全員が同じような思いを持っているであろうパルパとペペロペの話を中心に描いたのだという。
ここで来場者からの質問コーナーに。波多野氏お気に入りのキャラクターは? という最初の質問に,同氏は悩んだ末ヤップカーと回答した。
波多野氏は,当初ヤップカーのプロフィールがまったく思いつかなかった頃,子供に絵本を読み聞かせているときに「そういえば,絵本が好きなキャラクターはいなかったな」と閃いたというエピソードを披露。またヤップカーといえば,一緒にいる少女が目を引くが,波多野氏によるとあの少女は,ヤップカーの理想のお姫様像なのだそうだ。
一方,坂口氏のお気に入りキャラクターは,最初から一貫してアマゾン(ということになっているとのこと)。
続いては,バッグナーやパルパのように,契約なしで仲間になるキャラクターは今後出てくるのか,という質問。坂口氏は,仲間になる条件が簡単すぎても難しすぎても良くないので,そのあたりの調整が難しいとコメント。未定なところではあるが,気持ちとしては作りたいと話していた。
ここで,波多野氏から坂口氏へ「テラバトルは何章までやるのか」という質問が投げかけられた。坂口氏は,まだ描くべき部分は残っているので,それがあるうちは続けていくとコメント。ただ,3年,4年という長期間にわたってサービスを継続するタイトルもある今のスマートフォンゲーム市場で,それとは逆のことをやってみたい気持ちもあると,坂口氏らしい発言も飛び出した。
トークが大いに盛り上がる中,あっというまに終了時間となった。最後に波多野氏は,執筆中,TERRA BATTLEの戦闘を,別のカメラで撮ったらどう見えるのかということを考えていたというエピソードを披露し,小説を読んでその答えが出たら嬉しいと語って,イベントを締めくくった。
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