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ハロー!Steam広場 第93回:金に汚いグレムリン達が,スチームパンクな街で火花を散らすデジタルボードゲーム「Gremlins, Inc.」
「すちーむ」ってなぁに?というよい子のみんな集まれー! 「ハロー! Steam 広場」は,PCゲームのダウンロード販売サイトSteamでリリースされた気になるタイトルやニュースを,筆者が独断と偏見でピックアップして紹介する,とっても有意義なコーナーだ。毎週欠かさずチェックすれば,HUDがなくても銃の残弾数を覚えている上級Steamerにジョブチェンジできるかも。
ハロー!Steam広場 第93回は,デジタルボードゲーム「Gremlins, Inc.」をメインに紹介しよう。本作は,資本主義の世界に生きるグレムリン達が,金や権力を懸けて戦う作品だ。個性豊かな164枚のカードが核となっており,スチームパンクとかけた絵柄が見ていて面白い。このほか,弱肉強食の海を生き抜く「FEED AND GROW: FISH」もあるので,お見逃しなく。
あらゆる要素が164枚のカードに集約された,スチームパンクなデジタルボードゲーム「Gremlins, Inc.」
アーリーアクセスとは,開発途中のゲームを購入して,デバッガー兼プレイヤーとして参加できる,Steamの販売形態の1つだ。今回はリトアニアのゲームデベロッパ,Charlie Oscar Lima Tangoが手掛ける「Gremlins, Inc.」を紹介しよう。
本作は,産業革命を思わせるような近代都市を舞台に,最大6人のプレイヤーが“金と権力と名誉”を懸けて戦う,デジタルボードゲームだ。UIからBGMに至るまでスチームパンクを前面に押し出した作りになっており,刺さる人ならゲームを立ち上げた瞬間から心を鷲掴みにされるはずだ。
ゲームのルールは,ボードを駆け巡って指定された数の歯車を先に集めたプレイヤーの勝利というもの。戦いの舞台となるボード上には,さまざまなアイコンが描かれたマスが,ぐるっと一周するような形で配置されており,誰かが歯車を集め終わるまで,戦い続けることになる。
ゲームを開始すると各プレイヤーには,164枚あるというカードのうち120枚からなるデッキが配られ,プレイヤーは常に手札を6枚にした状態でゲームを進行していく。それぞれのカードには,使用することで移動できるマスの数や,得られるリソースが表記されており,歯車もそのリソースの1つとなっている。
プレイヤーは,各ターンの初めに必ず移動しなければならないので,まず1枚の手札をここで使用することになるのだが,移動に使ったカードからはリソースが得られない。したがって,歯車がたくさんもらえるような強力なカードは,なるべく温存するように心がけたいところ。ちなみに,手札は使用した瞬間に新しいカードが補充される仕組みだ。
移動を終えると,止まったマスのイベント処理が始まるのだが,このときマスと同じアイコンのカードを持っていた場合,それを使用することで,カードに表記されているリソースを得たり,特殊効果を発動させたりできる。
たとえば,「Perpetuum Mobile」というカードは,歯車のマスに止まった時に使用すると,歯車が15個も手に入る。また,もう1ターンプレイできるという特殊効果もあり,非常に強力だ。ちなみに,カード名の意味は「永久機関」。歯車の中に閉じ込められたグレムリンが,目の前に吊るされたお金が欲しくてひたすら走り続ける様子が描かれており,スチームパンクな世界観とマッチしていて実に面白い。
ちなみに,リソースは歯車のほかにも,お金(Money),名声(Votes),悪名(Malice)の3つが存在する。結果的には歯車を集めるゲームなので,歯車が手に入るカードだけ使っていればいいようにも思えるが,現実はそこまで甘くはない。
先ほど紹介した「Perpetuum Mobile」は,歯車が15個もらえるという効果を持っているわけだが,これを発動させるためには同じアイコンのマスに止まったうえ,さらに1000マネー支払う必要があるのだ。
これに限らず,歯車がもらえるほとんどのカードには,コストとしてお金が必要になる。ただ,ゲーム内にはお金を集める手段がたくさん用意されているので,お金の回収自体はそこまで難しい話でもない。例えば,収入マスを通過するだけでもお金は増えていくし,歯車がリソースとして表記されていないカードならば,コスト無しで使えるので,お金が得られるカードを使って貯金を増やしていくことも可能だ。
要するに,本作で一番重要なことは,どれだけお金を稼ぐことができるかというところにある。お金がたくさんあれば,それだけ歯車を手に入れる機会が巡ってくるわけだ。ただ,歯車やお金をたくさん持っていると,ほかのプレイヤーに狙われる機会も多くなることにも留意しておきたい。
本作には,この手のボードゲームではお約束ともいえる,不幸イベントやお邪魔カードが存在する。不幸イベントはドクロのマスに止まると発生し,大抵の場合はリソースを失うことになるわけだが,それはマスに止まったプレイヤーに降りかかるものなので,気にかけても仕方がない。問題はお邪魔カードのほうで,こちらは好きなプレイヤーを指名して発動できるぶん,たちが悪い。
例えば,「A Set-up」というカードは,警察マスに止まっている時に40マネーを支払うことで,指定したプレイヤーを牢屋に送ることができる。牢屋に入れられたプレイヤーは一定のターンが経過するまで動けなくなり,ほかのプレイヤーとの差がどんどん開いていく羽目に。
ほかにも,歯車を奪ったり,ドクロのマスに飛ばしたりなど,お邪魔カードの効果は非常に強力だ。そしてこれまたお約束なのが,そういった効果の対象になるのは,たいていトップにいるプレイヤーだということ。これがリアルのボードゲームだと,そのまま現実の乱闘に発展してリアルで牢屋に入ることになったりもするのだが,幸い本作にはオンラインモードが用意されているので,その心配はなさそうだ。
本作は,あらゆる要素がカードに集約されているので,手札にあるカードをどれだけ有効に使えるかが,勝利のカギを握る。ダイスやルーレットの出目に命運が左右されがちな従来のボードゲームと違い,こちらは進むマスや発動させるイベントなどをコントロールする余地があるので,戦略性がより高くなるという印象だ。
テキストがすべて英語なので,若干人を選ぶところはあるものの,将来的には日本語にも対応するとのことなので,興味のある人は今のうちにウィッシュリストに投げ込んでおくといいだろう。ただ,カードのテキストはそこまで長くないので,辞書を片手でも十分遊べるはず。ボードゲーム好きにお勧めしたい一本だ。
「Gremlins, Inc.」Steamページ(1300円)
一匹の肉食魚として,海の中に広がる弱肉強食の世界を生き抜くアクションゲーム「FEED AND GROW: FISH」
「こんなゲームをリリースしたい」という開発者に対して,ユーザーが賛成か反対かを投票できるサービスがGREENLIGHTだ。今回は,スロバキア在住の兄弟によって制作されている「FEED AND GROW: FISH」を紹介しよう。
本作は,海の中に広がる弱肉強食の世界を舞台にしたアクションゲームだ。プレイヤーは肉食魚になって,ほかの魚を食べながら自身のレベルを上げていく。
操作できる肉食魚は,ピラニアのような小魚からサメのような大型の魚まで複数存在し,魚を食べると手に入るコインを使って,リスポーン時にアンロックできるようだ。いずれも,鋭い牙でバラバラにした魚をバキュームのように吸い込んで食べるという,少し変わった生態を持つようだ。
海中には,ただ逃げまわるだけの魚もいれば,プレイヤーを餌とする魚も存在し,一方を追いかけつつ,一方から逃げるという,まさに弱肉強食なサバイバルを体験できる。たくさんコインを集めればサメにも変身できるが,大きい魚は小魚の集団に狙われやすいので,サメになれば有利かといえば,そうでもないらしい。
開発の進捗は明らかにされていないが,シングルプレイを収録したデモ版が公式サイトで公開されており,ゲームの雰囲気などが確認できる。なお,開発者によると,12月中にはマルチプレイも実装したいとのこと。縦横無尽に泳いで戦えるのは戦えるのは海中ならではのフィーチャーなので,興味のある人は“いいね”を押しておこう。
「Feed and Grow: Fish」GREENLIGHTページ
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