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「DARK SOULS」シリーズの区切りに抱いた想い,そしてフロム・ソフトウェアがこれから向かう先とは。宮崎英高氏にインタビュー
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印刷2016/06/13 00:00

インタビュー

「DARK SOULS」シリーズの区切りに抱いた想い,そしてフロム・ソフトウェアがこれから向かう先とは。宮崎英高氏にインタビュー

画像集 No.014のサムネイル画像 / 「DARK SOULS」シリーズの区切りに抱いた想い,そしてフロム・ソフトウェアがこれから向かう先とは。宮崎英高氏にインタビュー
 全世界累計出荷本数が300万本を突破した,フロム・ソフトウェアの「DARK SOULS III」PC/PS4/Xbox One)。同時にシリーズとしての累計出荷本数が1300万本に達したとの発表も行われており,今や「DARK SOULS」はアクションRPGの世界的なIPとして押しも押されぬ存在となっている。

 しかしその一方で,DARK SOULS IIIはシリーズの大きな区切りとして企画・開発が進められたタイトルでもある。それゆえに,シリーズ最高と言える内容に仕上がったわけだが,そこには開発者のどんな想いが込められているのだろうか。
 また,看板タイトルに成長したDARK SOULSシリーズに区切りを付けたフロム・ソフトウェアの次なる展開とはどのようなものだろうか。フロム・ソフトウェアの取締役社長であり,またDARK SOULS IIIのディレクターでもある宮崎英高氏に聞いてみた。


シリーズの好評な部分を受け継ぎ,しっかりした続編を目指したDARK SOULS III


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。
 DARK SOULS IIIは,シリーズの集大成とも言える内容で,ファンとして心から楽しめました。

宮崎英高氏。30歳の手前で異業種からフロム・ソフトウェアに入社し,「アーマード・コア ラストレイヴン」のプランナーに。「アーマード・コア4」の途中からはディレクターを務め,その後「Demon's Souls」や「DARK SOULS」を手掛ける。2014年5月に,同社の取締役社長に就任した
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宮崎英高氏(以下,宮崎氏)
 ありがとうございます。そう言っていただけると,開発チームの皆も喜ぶと思います。

4Gamer:
 ではDARK SOULS IIIの開発にあたって,宮崎さんはどんなことを考えていたのでしょう。

宮崎氏:
 今作については,最初からDARK SOULSシリーズの大きな区切りとして考えていました。また,「アーマード・コア フォーアンサー」以来,久しぶりの続編のディレクションでしたので,続編らしい続編として作ってみよう,とも思っていました。

4Gamer:
 宮崎さんはDARK SOULS IIのとき,一歩引いた形で携わっていましたよね。そもそも,どういった経緯で再びディレクターを務めることになったのでしょう。

宮崎氏:
 そうですね……。本作について言えば,私は最初から関わっていたわけではありません。

4Gamer:
 あれ,そうだったんですか。

宮崎氏:
 はい。ですが,本作の最初期はあまりうまくいっておらず,当時の社長だった神(神 直利氏)の方から直接依頼があった,という流れですね。確かプロトタイプの中盤くらいでしたから,「Bloodborne」のディレクターを務めていた時期と重なっています。

4Gamer:
 なるほど。

宮崎氏:
 その依頼を受けたのは,いくつか理由があります。Bloodborneの開発を通して,ソウルシリーズなり,ダークファンタジーなりの魅力を再確認できた,ということもありますし,ほかのディレクターと協働する形の開発を試してみたかった,ということもあります。
 実際に本作では,岡野(岡野 勇氏)と谷村(谷村 唯氏)がCOディレクターとして参加してくれています。彼らとの協働は刺激的で,多くの面で助けられましたし,マルチプレイ関連やアップデートなど,いくつかの側面は任せることもできました。今後のためにも,必要な経験だったと思っています。

4Gamer:
 今の宮崎さんには,社長としての仕事もありますからね。

宮崎氏:
 はい。サボり気味ではありますけどね(笑)。

4Gamer:
 結果的に,シリーズの区切りとなる今作で再びディレクターに戻ったのは成功だったのではないでしょうか。発売から1か月ほど(※インタビューは5月12日に行っている)経ちましたが,プレイヤーからの評価も高いようですし。

宮崎氏:
 うーん,そういって頂けるのは嬉しいのですが,実際のところ,成否の話は両面あると認識しています。

4Gamer:
 そうなんですか? 宮崎さんが考えるDARK SOULS IIIのうまくいった部分と,そうでない部分というのはどこでしょう。

宮崎氏:
 今後もレギュレーション調整を含むアップデート,そしてDLCがありますので,断定的な話はしたくないのですが,例えばマップ設計についても,成否の両面があったと思っています。
 今作では,各マップのサイズがかなり大きくなり,立体的な構造もあり,探索しがいのあるマップが多いと思いますが,一方でマップ毎のつながりという点では弱い部分もあったかなと。

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4Gamer:
 マップと言えば,今回は地形や配置の妙で「うまくプレイヤーを殺しにくるな」という印象があり,DARK SOULSならではの部分が強かったように思うのですが,これは宮崎さんの好みなのでしょうか。

宮崎氏:
 まず,地形や配置を含めての脅威の方が,純粋なアクションに依存しない,学習や工夫による攻略がしやすい,という狙いがあります。そこから先は好みというか,私の癖ですね。

4Gamer:
 個人的には,本作の探索はこれまでのシリーズ以上に完成度が高かったと思うんです。入り組んだマップを歩き回るだけでも楽しいですし,戦闘もメリハリがありましたし。シリーズで積み上げてきた部分が,しっかり活かされていたので,ここが集大成感みたいなもにつながっているのかなと。

宮崎氏:
 ありがとうございます。バトルと探索を楽しんでいただけていれば,本当に嬉しいですね。DARK SOULSシリーズでは常にそうですが,やはり今作でも苦労したところですから。

4Gamer:
 今後,DLCの配信などは行われるんですか?

宮崎氏:
 はい。今のところ2本で考えていて,1本目が2016年秋,2本目が2017年初頭の予定です。内容としては過去作準拠で,新しいマップ,敵,武器防具,そしてストーリーが含まれています。ある小さな,隔絶した世界をめぐる物語を想定しているのですが,本編とは,また少し違ったDARK SOULS IIIをお見せできると思います。
 ちょうど1本目の開発がはじまったところですね。

4Gamer:
 楽しみにしています。でもDLCは多くの場合,発売後の盛り上がりを維持するためのプロモーションとして展開されますよね。フロム・ソフトウェアさんの場合,ゲーム本編の開発を終えてから,あらためてガッツリしたものを作り始めるので,商売っ気みたいなものが感じられないのですが(笑)。

宮崎氏:
 そうですね,仰ることは分かります。というか,パブリッシュの側からは,よくお叱りを受けるところです(笑)。
 ただ,今の我々は,本編制作と並行してDLCを制作する体制ができていないので,しっかりとしたDLCを出そうとすると,どうしても本編から時間が開いてしまうんです。ユーザーさんをお待たせしてしまって申し訳ないのですが。

4Gamer:
 どのぐらいのボリュームになる予定ですか?

宮崎氏:
 2本のDLCを合わせて3マップ分くらいですかね。基本的にシリーズ過去作と同様のボリュームになると思います。



DARK SOULS IIIのあともダークファンタジーやアクションRPGは作る


4Gamer:
 DARK SOULS IIIは世界累計出荷本数が300万本,シリーズ累計では1300万本を突破したという発表がありましたよね。今やフロム・ソフトウェアの看板タイトル,大きなIPに成長したわけですが,それに本作でいったん区切りを付けるというのは,会社として相当大きな判断ではないでしょうか。

宮崎氏:
 まず,誤解のないよう言っておきたいのですが,私は,必ずしも続編を作り続けることが悪だとは考えていません。継続は洗練につながると思いますし,そこから新しい何かが生まれることもあると思います。そして実際,世の中には,継続の先にしか存在し得なかった素晴らしいタイトルもあると思います。
 ただ今の我々は,DARK SOULSを作り続けるよりも,それを作ってきた経験を活かして新しいタイトルを作りたい,という思いが強かったのです。
 フロム・ソフトウェアは元々作りたいものを作る会社ですから,そうした思いには素直であった方がよいだろう,ということですね。

4Gamer:
 会社のためにも,区切りをつけたほうが良いと考えたわけですね。

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宮崎氏:
 格好をつけるとそうなりますかね(笑)。

4Gamer:
 ところで,“最終作”ではなく“区切り”ということは,どこかで復活する可能性もあるんですか?

宮崎氏:
 はい。シリーズが完全に終わりだと明言するつもりはありません。何というか,可能性を潰すような発言はあまり好きではないんです。
 DARK SOULSについて言えば,現状私の中では,続編なりスピンオフなり,そういった展開は一切考えていないのですが,例えば,もし将来誰かが「新しい技術で俺なりのDARK SOULSを作りたいんだ!」と言い出したとして,それが十分に魅力的なものであれば,あえて否定しようとは思いませんし,私自身にしても,将来「引退作としてもう一回作りたいなあ……」という気分になる可能性は,ゼロではありませんから。
 そうなったときに「嘘つき!」と罵られたくないんですよ(笑)。

4Gamer:
 喜ぶファンはいるでしょうけど,責める人はいないと思いますよ(笑)。

宮崎氏:
 そこはあまり自信がありませんが,ともあれ,DARK SOULSは今作で大きな区切りです。フロム・ソフトウェアがDARK SOULSだけの会社だと思われるのも,決して本意ではありませんからね。これは,私のみならず,会社全体で共有している部分かと思います。
 ただし,海外のインタビューでも誤解があったところなのですが,この話は,いわゆるリマスターの類を否定するものではありません。私や,我々フロム・ソフトウェアが,それらを開発することは無いと思いますが,DARK SOULSシリーズについてはバンダイナムコエンターテンメントさんの,デモンズソウルやBloodborneについてはソニー・インタラクティブエンタテインメントさんのIPです。リマスターなり,また別の展開なりの判断は,彼らによってなされるものですし,我々以外の開発会社さんによるリマスターなども,当然あり得ると思います。

4Gamer:
 しかし,DARK SOULSに今回で区切りがつくとなると,今後フロム・ソフトウェアさんからどういったタイトルが出てくるのかが気になります。宮崎さんは,アクションRPG自体は今後も作っていくんですか?

宮崎氏:
 ジャンルとしてのアクションRPG,あるいは世界観としてのダークファンタジーは,DARK SOULSでなくてもあり得ると思いますし,何らかのアプローチは続けていくと思います。私自身,どちらもとても好きですからね。

4Gamer:
 それは安心しました。これからも高難度のアクションRPGは遊びたいですし。

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宮崎氏:
 ありがとうございます。時々誤解されてしまうのですが,我々が従来のようなゲーム作りを止めるということはありませんよ。ただそれが,DARK SOULSシリーズでは無くなるだけです。
 今後の方向性は,大きく3つですかね。1つは,今お話しした,アクションRPGなりダークファンタジーなりを,DARK SOULSとは違う切り口で表現しようとするもの。
 もう1つは,我々が過去手がけてきたタイトルのリブートや,そこを手掛かりとした新しいゲーム。
 最後の1つは,そうした我々の過去の方向性とは少し毛色が違ったもの。おそらくはちょっと変なもの,ですね。

4Gamer:
 その3つは,どれもすでにプロジェクトとして動いているんですか?

宮崎氏:
 はい。段階に差はありますが,どれも具体的に動いています。弊社内の話で恐縮なのですが,私が社長になる前から動いていたタイトルは,DARK SOULS IIIで最後なんです。そういう意味でも本作は大きな区切りだったわけですが,その本編開発もなんとか終わり,新しいタイトルの開発が既にはじまっています。

4Gamer:
 フロム・ソフトウェアさんの開発ラインって,どのぐらい同時に動いているのでしょう。

宮崎氏:
 開発タイミングの重なりにもよりますが,大体2.5〜3.5ラインですね。直近で世に出ているのは,DARK SOULS IIIと「機動戦士ガンダム U.C.カードビルダー」の2つですから,先ほどの新しいタイトルの中には,少し前から開発が進んでいるものもあります。

4Gamer:
 何が出てくるのか,楽しみですね。
 実際に動いているかは別として,ディレクターの宮崎さんとしては,今作ってみたいと思っているジャンルはありますか?

宮崎氏:
 うーん,難しい。何かを言うとネタバレに繋がりそうなことが多いですね(笑)。
 あ,でも,現状で悔しいことに実現性が低いところで言うと,ファンタジー+メカのタイトルは作ってみたいですね。TRPGの「ワースブレイド」とか「天空のエスカフローネ」みたいなやつです。

4Gamer:
 それはすごく見てみたいのですが!

宮崎氏:
 私も作りたいです。でも「やめた方がいい」と言われることが多くて(笑)。
 ですから,できればユーザーさんに「それって面白そうじゃない?」って話題にしてもらえると嬉しいですね。そうした様を怪しげな企画書に貼り付けて,「ファンタジーメカいけますよ!」とアピールできますから。
 フロム・ソフトウェアでも,過去に「フレームグライド」というタイトルをドリームキャスト向けに出していますし,完全に無理筋ではないと思っています。


「DARK SOULS」のボードゲームには,宮崎氏も期待


4Gamer:
 そういえば,KickstarterでDARK SOULSのボードゲームを制作するという話が出ていましたよね。宮崎さんはアナログゲームがお好きだったと思うんですが,この企画には関わっているんですか?

宮崎氏:
 いいえ。あの企画には,私もフロム・ソフトウェアも,まったく関わっていません。私自身,ネットのニュースサイトで存在を知ったくらいですからね(笑)。

4Gamer:
 あのボードゲームは,Kickstarterで資金集めをしたらあっという間に目標達成したということで,かなり注目を集めていますけれども。

宮崎氏:
 原作の制作者の1人としては嬉しいことですね。どんなゲームになるのか,とても楽しみにしています。
 個人的には,最近よくプレイする「アーカムホラー」や「マンションオブマッドネス」あるいは「ディセント」のようなデザインを期待していますね。

4Gamer:
 高難度であることやコンポーネントを見ていると,ディセントを彷彿とさせて面白そうですよね。
 リリースされた後,フロム・ソフトウェアさんのほうでローカライズして日本語版を発売したりはできないのでしょうか。

宮崎氏:
 権利者ではないので断言はできないのですが,我々が手掛けるかどうかは別にして,何らかの形で日本語ローカライズできればと思っていますし,そうした働きかけもしていきたいと思います。
 でも,少し話がずれますが,ああいったクラウドファンディングの仕組みは、ゲーム制作に限っても興味深いですよね。というのも,ゲーム制作に先だって,その面白さや価値をプレゼンテーションし,クライアントに理解してもらうのは,とても難しいことなんですよ。それ故に,プレゼンテーションの相手が固定化されると,企画内容自体がその相手に向けたものに偏っていく傾向もあると思うのですが,クラウドファンディングであれば,従来とは違った相手に,ゲームの面白さや価値をプレゼンテーションすることができると思うんです。
 そうしたやり方でしか始められないものだってあると思いますし,ゲームが多様化する一助になると思うんですね。

4Gamer:
 Kickstarterでなくても,宮崎さん自身は,アナログゲームを手がけてみたいと考えていないんですか?

宮崎氏:
 それは,夢みたいな話ですねえ……。
 ボードゲームやカードゲームもそうですけど,できれば,TRPGを作ってみたい。まあでも,今は周囲から止められています。私がそのプロジェクトに夢中になりすぎ,ほかに何もやらなくなることが目に見えているからでしょうね(笑)。

4Gamer:
 それは困りますけど,宮崎さんが作るTRPGというのも遊んでみたいですね。バタバタ死人が出るバランスで(笑)。

宮崎氏:
 「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のレベル1くらいのバランスですね(笑)。「D&Dがよくわかる本」を思い出します。

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話題のVRやスマホゲームへのアプローチ,そしてアーマード・コアの今後


4Gamer:
 まったく話が変わりますけれども,2016年のゲーム業界のトレンドというとVRかと思います。フロム・ソフトウェアとしては,どのようなアプローチを考えているのでしょうか。

宮崎氏:
 当然ですが,すごく興味はあります。単純に体験として新しく,刺激的ですからね。
 ビジネス面がどうなっていくのか見えにくいところもありますが,それも含めた未踏の面白さがあると思っていますし,何らかの形で関わっていければと考えています。

4Gamer:
 それではスマートフォンゲームはどうでしょう。今や,ほとんどのゲーム関連企業が何らかの形でスマホゲームに関わっていますけれども。

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宮崎氏:
 そこは誤解されがちなのですが,我々は,とくにスマートフォンと距離を置くつもりはありません。
 元々フロム・ソフトウェアにはモバイル向けの部署があり,過去にはモバイル向けの「アーマード・コア」もありましたし,今も取り組んでいるメタバース「meet-me」のスマートフォン版などもリリースされていますからね。

4Gamer:
 なるほど。

宮崎氏:
 ただ,我々はマネタイズから発想するゲーム制作が苦手なんですよね。ゲーム制作がビジネスであることは当然ですから,マネタイズ自体が悪いという話ではないのですが,それがゲーム制作のモチベーションになり難いと言いますか。

4Gamer:
 興味がないのに作ったとしても,良い作品は生まれにくいでしょうしね。

宮崎氏:
 はい。そのせいでなかなか形にならず,結果として我々がスマートフォンに積極的でないように見えているのかもしれません。
 ただ,スマートフォンというデバイスは,ゲームプラットフォームしてとても面白いと思っています。個人的にも「Hearthstone」など遊んでいますし,よい機会というか,座組みを含めて模索しているところですね。

4Gamer:
 今のところフロム・ソフトウェアとしては,スマホゲームよりもコンシューマゲームのほうに作りたいアイデアが溜まっているという感じでしょうか。

宮崎氏:
 はい。それはそうですね。
 それに私は,いわゆるハイエンドゲームを自由に作れる現状自体を,非常に貴重なものと捉えていますから,その機会がある内に,後々後悔しないように,あるいは現状を続けていけるように,今は全力でハイエンドゲームを作っていきたいと思っています。
 何より、それはとても楽しいことですからね。

4Gamer:
 フロム・ソフトウェアの今後という点で,最近新作の出ていないアーマード・コアシリーズがどうなるのかも気になっています。シリーズ自体はこれからも続いていくのでしょうか。

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宮崎氏:
 もちろんです。
 「ARMORED CORE VERDICT DAY」から時間が経ってしまっていますし,一時シリーズに難しい状況があったことは事実ですが,アーマード・コアのシリーズを終わらせるつもりはありません。

4Gamer:
 安心しました。比較的短いスパンでリリースされてきたシリーズですが,パッタリ出なくなってしまっていたので……。

宮崎氏:
 はい。とくに,お待たせしてしまっているユーザーさんには申し訳なく思っています。ですが,アーマード・コアのコンセプトは,現状でも十分に魅力的で,面白く価値あるゲームに再昇華できると思っていますし,社内に「作りたい」という優秀なスタッフも多くいます。であれば,新作を作らないという手はありませんよ。
 個人的にも,ゲーム制作者としてのキャリアをはじめた,思い入れの深いタイトルでもありますしね。

4Gamer:
 新しいアーマード・コアを楽しみにしています。


新作は2017年度を予定

新体制となったフロム・ソフトウェアから何が飛び出すのか


4Gamer:
 宮崎さんが社長になって以降,新体制となったフロム・ソフトウェアのタイトルは,これから出てくるということですが,いつ頃遊べるのでしょうか?

宮崎氏:
 まずはDARK SOULS IIIのDLCに集中します。先ほどもお話ししたように,2016年秋から2017年初頭のリリース予定です。その後は早ければ2017年度内に,小規模なものですが,何らかの形で触って頂ける可能性がありますね。

4Gamer:
 こういう言い方は嫌がられるかもしれませんが……宮崎さんには,このご時世にゲーム機用の難度の高いアクションRPG,しかも日本産のタイトルの面白さを,世界に再認識させた実績があるわけじゃないですか。その宮崎さんが次に出してくるタイトルがどういったものになるのか,注目されているのでは?

宮崎氏:
 それは多分に買い被りだと思いますよ(笑)。
 でも,どうあれ注目していただいていること自体は,開発者としても開発会社としても幸せなことですし,なんとか期待に応えたいとも思っています。結局は,面白く価値あるものを作り続けるしかないわけですから。
 そうでないと,呆気なく評価は覆り,新作に注目も期待もしてもらえなくなるでしょう。

4Gamer:
 かなり厳しめの認識なんですね。

宮崎氏:
 うーん,厳しめというのは少し違いますかね。変な言い方ですし,あくまで私個人の意見ですが,「手のひらはすぐに返るものだ」という意識は,色々とありかなあと。
 例えば良い状態にあるとして,それが盤石で覆らないとすれば,人であれ集団であれ色々と腐りやすいものと思いますし,例えば悪い状態にあるとして,手のひらがすぐに返るのであれば,それを希望に頑張ることができますからね。

4Gamer:
 良い状態でも悪い状態でも,結果的に得だと。

宮崎氏:
 はい。都合のよいことは受け容れる主義なんです(笑)。
 まあでも、我々がこれからも、面白く価値あるものを作り続けていきたい,というのは真剣な思いです。
 まずはDARK SOULS IIIのDLCが2016年秋からリリースされますので,楽しみにしていただければ幸いですね。今後とも,フロム・ソフトウェアをよろしくお願いします。

4Gamer:
 今後の展開に期待しています。本日はありがとうございました。

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 DARK SOULSという看板IPに区切りを付け,新たなスタートを切るフロム・ソフトウェア。宮崎氏が社長に就任し,新体制となって登場するゲームがどのようなものになるのか,今から非常に気になるところだ。最近新作が出ていなかったアーマード・コアについても,今後も続けていくというコメントが得られ,シリーズファンも安心できたのではないだろうか。
 宮崎氏によれば,新体制のタイトルが出てくるのは,2017年度内になるという。その内容は予想もつかないが,Demon's Soulsが世に出てきた時のように,驚きを与えてくれるタイトルになることを期待したい。

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