プレイレポート
「ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ」のプレイレポート。サンドボックスの自由度と,DQ伝統の遊びやすさが融合した良作だ
「ブロックメイクRPG」を謳う本作は,物を作り出す能力を持つ「ビルダー」となったプレイヤーが,荒廃した世界の復興を目指すという内容で,既存のドラゴンクエストシリーズとは大きく異なるシステムとなっている。
そんな本作のPS4版を発売前にプレイする機会を得たので,気になるゲームシステムやプレイフィールなどをお伝えしよう。
本作の舞台は,初代「ドラゴンクエスト」(以下,DQI)などにも登場した「アレフガルド」だが,主人公が目を覚ました世界は,まるで異なっている。
闇の王,竜王の「わしの味方になれば世界の半分をお前にやろう」という問いかけに,世界を救うべき勇者が「はい」と答えてしまったため,この地は闇に覆われてしまい,そのうえ人々は「物を作る」ということを忘れ,世界は荒廃してしまっているのだ。
本作のアレフガルドは,スクリーンショットを見れば分かるとおり,フィールドがブロックで構成されているのが特徴的だ。30年前にファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されたDQIのタイル状マップを3D化したような感じで,オールドファンなら[OPTIONS]ボタンで見られるトップビュー画面に,懐かしさを覚えるはず。
この世界で目覚めた主人公は,精霊ルビスの導きにより,自らモノを作り出せる「ビルダー」として,アレフガルドの復興と竜王の討伐を目指す。最初の目的は,荒れ果てた街「メルキド」をある程度復興させること。その後,メルキドを拠点としてアレフガルド各地を旅することになる。
街の復興には,住人を集めて,彼らの「こんなアイテムが欲しい」「こんな施設が欲しい」といった希望をかなえることが必要だ。
ビルダーは,ひらめいた「レシピ」をもとに,必要な素材を集めてアイテムを作ったり,作ったアイテムを条件に合わせて配置して建物や施設を作ったりしていく。
手持ちの武器でフィールドのブロックを壊すと,素材が出現する |
メルキドに残されている「石の作業台」を使って,さまざまなアイテムを作り出す |
レシピは素材の入手時や,町に集まってきた人との会話によってひらめく |
建物や施設を作ると,その街の繁栄度を表す「キャンプゲージ」が上がり,これがいっぱいになると街がレベルアップする。本作の主人公は勇者ではないため,いくらモンスターを倒しても成長しない。街を繁栄させ,より強い武器や便利な道具のレシピをひらめくことが,強さへとつながるのだ。
ブロック状の素材を配置するには,方向キーで置きたいものを選んでから[△]ボタンを押せばいい。[L1][R1]と併用すれば,自分がいる位置の一段上や下にも配置可能だ |
土のブロックはすぐ手に入るが壊れやすく,モンスターの攻撃で壊されてしまうこともある。しっかりと守りを固めたいなら「石垣」などを使いたいところだ |
2段分の壁で囲まれたスペースに,扉と明かりを設置すれば「空き部屋」の完成。ここへさらに「わらのベッド」を配置すれば「わらベッドの寝屋」,「料理用たき火」を作れば「たき火の台所」といったように部屋の種類が変化し,キャンプゲージが増加する |
ここまでの紹介でお分かりいただけたと思うが,本作は「Minecraft」や「テラリア」といった,いわゆる「サンドボックス型」タイトルに近いゲームシステムとなっている。しかし,既存のサンドボックス型タイトルが,その自由度の高さ故に,プレイヤーによっては「何をしたらいいのか分からない」という状況に陥りがちなのに対し,本作はドラゴンクエストという世界観を生かして,ストーリーやプレイヤーの目的をしっかりと設定し,ゲームに入りやすくしている点がユニークだ。
主人公が作り出せるアイテムや,そのレシピは当然ドラゴンクエストの世界観にリンクしている。「くすりの葉」が3枚あれば「やくそう」が作れて,「キメラのつばさ」を作るためには,キメラを倒して得られる「キメラのはね」が5枚必要,という感じだ。
モノを作りながらの冒険という,これまでのシリーズにはなかったゲームシステムが,ドラゴンクエストの世界観にしっかりと落とし込まれているゲームデザインはさすがといったところだ。
街に「大倉庫」を設置すれば,保管しているアイテムを出先でも取り出せるようになる。遠征には必須の施設だ |
モンスターとの戦闘はアクションRPG風で,装備している武器を[□]ボタンでモンスターにヒットさせ,HPを0にすれば倒せるというシンプルなもの。しっかりと装備を強化してさえいれば,効率よくモンスターを倒せる適度なバランスに設定されているので,アクションが苦手な人でも苦労することはないはずだ。
戦闘の基本はヒット&アウェイ。攻撃しては一歩下がる,という戦い方をすれば,受けるダメージは最小限で済むはず |
武器は複数を同時に装備でき,方向キーの上下でいつでも切り替え可能。素材入手用と攻撃用を使い分けるといいだろう |
そもそも前述のとおり,モンスターを倒しても経験値は入らないので,特定の素材が必要でないなら相手にしないほうがいい。モンスターにも好戦的なものとそうでないものがいるので,それを把握しておけば戦闘は最低限で済ませられるだろう。
装備品には消耗度が設定されていて,使いすぎるとなくなってしまう。予備は常に携帯しておきたい |
そうやって可能な限り戦闘を回避したいところではあるが,モンスターの軍勢が街を破壊しようと押し寄せてくるイベント的な戦闘がしばしば発生する。
こちらは主人公の強さだけでなく,モンスターを撃退できる街の設備や,住人の協力などによって戦況が変わるという,タワーディフェンス的な面白さを持ち合わせている。街の発展でモンスターを撃退するというプレイ感は,本作ならではの味わいだ。
ちなみに主人公が倒れてしまったときは,手持ちの道具を全てその場に落とすペナルティがあるだけとなっている。道具はその場に戻れば回収も可能だ。
住人がモンスターを撃退してくれることもある。街の施設を充実させれば住人も強くなるのだ |
襲撃時のBGMは懐かしいDQIの戦闘曲。一定数のモンスターを倒し,最後に現れるボスを倒せば勝利となる |
プレイヤーの攻撃力や防御力は装備品によって決まる。HP上限はイベントなどで入手できる「いのちのきのみ」を食べて上げていく |
本作で主人公が倒れてしまう一番の原因は「高所からの落下」だろう。山岳地帯などでうっかり足を滑らせると大ダメージだ |
ここ数年,主に若年層に人気で,ジャンルとして確立された感のあるサンドボックスのシステムがドラゴンクエストと融合したことにより,「ドラゴンクエストの世界を作り出す」という,新しい感動を味わえる本作。
DQIの世界観がベースになっていて,筆者のようなオールドゲーマーが入っていきやすいのも非常に嬉しいところだ。当時を知っている人はぜひそのあたりも楽しんでほしい。
前述のとおり,ほかのサンドボックス型タイトルよりストーリー主導の色が強い本作だが,自由度の高さもしっかりと確保されている。今回はプレイできなかったが,ゲーム中のとある島では,より自由なもの作りが楽しめ,作った建物をほかのプレイヤーと共有できる「フリービルドモード」も用意されているとのことなので,クラフト派の期待にも応えてくれそうだ。
大画面で細部から遠くまでを確認しやすい環境でプレイできるPS4 / PS3版にするか,外出中のちょっとした時間を利用して街作りを楽しめるPS Vita版にするかは悩みどころ(クロスセーブに対応していないのは残念)だが,どちらを選ぶにしろ,自分だけのアレフガルド作りを存分に楽しんでほしい。
「ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ」公式サイト
- 関連タイトル:
ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ
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ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ
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(C)2015 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
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