連載
結のほえほえゲーム演説:第18回「女優がゲームや人狼の番組で活動することになった理由」
昨日(2016年9月2日),ニコニコ動画に公式チャンネル「結チャンネル」を開設いたしました。
私がゲームや人狼にまつわる番組に出演させていただく日々の中で,「こんな番組があったらいいのになぁ……」と考えていたことを実現するためのチャンネルです。
番組の企画から台本,構成,出演,BGMやSE集めなどなど。諸々を担当しています。こりゃあたいへんなことを始めてしまったぞ……と,正直ちょっと怖じ気づきそうになります。
しかし,普段の仕事は,映画作品や番組内容を「受けて」から「どんなことをしよう?」と考えるものなので,ゼロから何かを作り出すのはとても久しぶりで楽しいです。
番組作りではたくさんの方にご協力をいただけて,フリーランスで常に孤軍奮闘の自分にも,仲間がいたんだなぁ……。なんてガラにもなく感動したので,良い番組になるよう頑張らなければ! と気合いを入れております。
実は結チャンネルのコンセプトは,私が「結」として活動しているコンセプトと同じです。そこで今日は,そのコンセプトについてのお話ができたらと思います。
誰にも理解されなかった感情を受け止めてもらえた
私が初めて,ゲームの番組に出演したのは2012年のことです。
「人狼ゲーム〜牢獄の悪夢〜」(iOS / Android)がリリースされたとき,開発者の鈴木教久さんにお声をかけていただき,ニコ生にゲスト出演しました。仕事のない新人時代に人狼漬けの日々を過ごしていた私は,「よもや人前で人狼をやる日がくるとはな〜」と,たいそう驚いたものです。
このゲスト出演がきっかけとなり,2013年にゲームの番組で,作家,渡辺浩弐さんのアシスタントをやらせていただくことに。
「今までの人生で誰とも共有できなかった話題」が,ニコ生の視聴者さんにことごとく通じることに衝撃を受けました。PC-98,ピピンアットマーク,アタリジャガー,ゲーム音楽,美少女ゲームなど……。こんな話題を誰かと分かち合える日が来るなんて。
かつてモデル時代に所属していた事務所では,マネージャーから「結ちゃんは絶対にしゃべらせちゃダメ! ヲタクと根暗がバレるから!」とキツく言われていたので,「人前で大好きなことを好きなだけしゃべっても許される!」ということが,心から嬉しかったのです(もちろん今も,日々そう感じています)。
もう一つ嬉しかったのは,ゲームクリエイターさんに「このゲームが好きです」と伝えると,笑顔で「ありがとうございます」と喜んでくださること。モデル時代は,ファッション系のオーディションや衣装合わせでは「ツーン! としていたほうが良い」という風習があり(今はどうか分かりませんが),「このブランドの服が好きです」とデザイナーさんに伝えても,素っ気ない反応が返ってくるばかりで,笑顔で応対してもらえることなんて,ほとんどなかったのです。
「〜が好き」と言って,表に出ること
番組を見た別のスタッフから問い合わせがきて……を繰り返し,2014年には初めて番組メインMCのオファーをいただきました。それは,アクションゲームが苦手な私が「ソウル・サクリファイス デルタ」をひたすら練習するという企画でした。
このとき,私は考えました。情熱と愛情は,メディアを通して,一体どのくらい伝わるんだろうか? と。
「○○大好き芸人です!」「○○知らないんですか〜?」なんて具合に,それを知らない人に作中ネタを披露することだけが,作品を愛する気持ちの表し方なんだろうか? いや,そんなわけはない!
私の場合,そういう人を見るたびに,「本当に好きなのかな?」と思ってしまいがちでした。きっと私が「ゲームが好きだ!」と言って表に出る姿を見ても,「本当かな?」と思う方はいるはずです。
それならばと,「私が100やりきったぐらいでは,そのまま100は伝わらないかもしれないけど,150やれば80くらいは伝わるんじゃ……伝わったらいいな……」という願いをこめて,その企画に挑戦しました。
プライベートの時間のほぼすべてをゲームのプレイ時間にあて,「本当はマネージャーにやらせてるんじゃない?」なんて疑う人の度肝を必ず抜いてやる! ぐらいの勢いで取り組みました。
あの企画で,自分の情熱を信じてくれたプレイヤーさんがいてくれた。だからこそ,このやり方をずっと続けていこうと心に決めました。
ゲームのお仕事において,私のゲームに対する情熱を信じてくれた人がいるおかげで,私はその場にいることができているんだと思います。
けれど,私が何百時間とプレイしたゲームでも,もっともっとたくさんの時間を費やしている方が,視聴者の中には必ず存在するはずなんです。
私はたまたま運良くその場にいた「いちゲームファンである」ということを,絶対に忘れたくありません。
自分が心惹かれたものを伝えていくうちに,「結が面白いと言ってるんだから見てみようかな」と思ってもらえたら,信じてもらえたら,こんなに嬉しいことはないです。
「結」と「結チャンネル」のコンセプト
その映画館に,私のことを「俳優業以外のしゃべるお仕事」で知ったというアイドル好きの二人組が訪れてくれたことがあります。彼らは普段アイドルのライブ以外,なかなか一緒に出掛けないと言って,嬉しそうに映画の感想を話してくれました。
そのとき私は,「結」という存在をきっかけに,ジャンルの垣根を飛び越えて,私の愛する文化に興味を持ってもらえたことを,とても嬉しく思いました。
そう。私が「結」として活動するコンセプトであり,結チャンネルのコンセプトでもあるのは,まさにこういうことです。「結」も結チャンネルも,誰かが新しい何かに触れるきっかけとして存在したいのです。
さて,結チャンネルの第1回生放送は9月10日19:00から,人狼の企画をお届けする予定です。
人狼は,ここのところ急速にルールが浸透していますが,観戦,参戦を含め「〜が〜より強い」「あの人が戦犯だ」など,ゲームの中でプレイヤー個人を意識する風潮もあり,少し懸念を抱いています。こうしたことから,人狼を嫌いになってしまう人もいるんじゃないかと思うと,私は悲しいのです。
人狼はチーム戦であり,コミュニケーションツールであることに,その良さがあると思っています。
人狼は一人で遊べるゲームではありません。いつか私と一緒に遊べるかもしれない人が減ってしまうのはイヤです。
「人狼界を盛り上げてやる!」なんてことは言いたくありません。人狼の良さに触れて,いつの日か私と遊べる(かもしれない)人が一人でも増えたらいいな,と。そんなことを思っています。
※次回掲載は編集部側の都合上,9月24日となります。ご了承ください
最近プレイしているゲーム(2016/8/6)
PlayStation 4:「THE KING OF FIGHTERS XIV」
PlayStation 4:「No Man's Sky」
PlayStation 4:「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」
PlayStation 4:「アイドルマスター プラチナスターズ」
PlayStation Vita:「喧嘩番長 乙女」
ニンテンドー3DS:「カルドセプト リボルト」
ニンテンドー3DS:「世界樹の迷宮V 長き神話の果て」
iOS:「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」
iOS:「Pokémon GO」
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- 関連タイトル:
人狼ゲーム 〜牢獄の悪夢〜
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人狼ゲーム 〜牢獄の悪夢〜
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(C)KAZUHISA SUZUKI
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