プレイレポート
「Farming Simulator 17」のプレイレポート。忠実に再現された農業や酪農,そして林業を心ゆくまで体験。もちろん,カッコイイ農業機械も乗り回せるのだ
「Farming Simulator 17」公式サイト
これまで,「ファーミング シミュレーター 2009 〜大地へ挑もう! ぼくらの農業生活〜 日本語版」「ファーミング シミュレーター 2011 〜ミルクや作物を生産しよう! ぼくらの農場生活〜 日本語版」,そして日本ではコンシューマ版が発売された「ファーミングシミュレーター 15」などを取り上げてきた4Gamerは農業が好きな,まるでTOKIOみたいなメディアだが,ご存じのように海外,とくにヨーロッパでこのシリーズの人気は非常に高い。世界累計のセールスは,実に600万本というから,ファンの多さに驚いてもいいと思う。
そんなシリーズの最新作「Farming Simulator 17」は,海外ではPC,Mac,PlayStation 4,そしてXbox One版が発売されており,今回プレイしたのはSteamで配信されているPC版だ。従来作と同様,日本語もしっかりサポートされているので,日本語しか分からない,いや,日本語さえ怪しい,という筆者のようなピュアジャパニーズも安心してプレイできる。
オープンワールドの中を走り回って,レッツ,NO-GYO!
舞台となるマップには,「GOLDCREST VALLEY」と「SOSNOVKA」の2つがあり,どちらかを選択してプレイを開始しよう。いずれも広大なオープンワールドに道路が張り巡らされ,徒歩や自動車,そして農業機械でそこを自由に移動できる。「Grand Theft Auto」シリーズのように,道路には一般車が走り,歩道を人々が歩いているが,ほかの車と接触してもペナルティはないし,人々には当たり判定さえないので,雰囲気作りのためオブジェクトだ。そのへんの人を殴ってお金を奪ったりはできないので,注意してほしい。
マップの中には,30か所以上の農地のほか,自分の活動拠点となるサイロなどの施設やガレージ,畜産施設などがある。さらに,農機具や農業機械を購入するショップや燃料補給ができるガソリンスタンド,収穫した作物を出荷できる製粉所,さらにパン屋,野菜倉庫などの施設が点在しており,働く環境はバッチリだ。
自動車や農業機械などに乗った場合は,それぞれの施設へは実際に走って向かわなければならないが,徒歩の場合はワープが可能という仕様になっている。もっとも,時間に追われるようなゲームではないので,マップのあちこちを走り回るのは楽しい。
シングルプレイの「キャリアモード」では,難度をイージー,ノーマル,ハードの3種類から選択でき,セーブデータは3つまで持てる。つまり,それぞれの難度で並行プレイも可能だ。
なお,イージーでは,作物は枯れず,比較的良い価格で販売できるので気軽にチャレンジできるが,ノーマルとハードでは,銀行に多額の借金があり,販売価格も低くなるので,本気のプレイが求められる。
お手軽プレイが好きな筆者はイージーをメインでプレイしているが,どの難度でもゲームオーバーはないし,最終的な目標なども用意されていない。要するに,難度の違いはどこまでこだわるかの違いに過ぎず,遊び方は完全にプレイヤーの裁量に任される。本作は純粋な農業(と酪農と林業)シミュレータなのだ。
一段とシミュレーション性が高まった耕作,畜産,林業
を体験しよう
収穫できる作物としては,小麦,大麦,キャノーラ,トウモロコシ,ジャガイモ,テンサイ,ヒマワリ,大豆,ポプラ,そしてハツカダイコンがある。ハツカダイコンは後述のように,緑肥用だ。
さあ,トラクターにさまざまな農業機械を取り付けて作業開始だ。耕作の流れはシンプルで,カルチベーター(耕耘機)で農地を耕し,播種機(種まき機)を使って種をまき,作物が育ったらコンバインで収穫し,収穫した作物をコンバインからトレーラーに移し,トレーラーで運搬してサイロに入れて保管したり,販売施設に運んだりする。しかるのち,収穫が済んだ農地を再び耕して……というサイクルの繰り返しだ。
本作では現実同様,きちんと肥料散布を行うことによって,より多くの収穫が得られるようになった。収穫後,再び耕して種まきをしてもいいのだが,プラウで土壌を反転させてからカルチベーターで耕せば,土壌の養分が増える。そして,ここで肥料散布を行えば,最大限の収穫を確保できる。ちなみに本作の場合,収穫までの肥料散布は3回となっている。
藁を集めて堆肥を作ったり,家畜から発生するスラリー(泥漿)を使ったりすれば,肥料代が倹約できる。さらに,ハツカダイコンを育てて収穫せず,ハツカダイコンごと土地を耕せば,栄養分の高い土壌になるし,草刈り機で除草することで,作物に多くの養分を与えられる。
だんだん,ゲームの記事を書いているのかなんなのか分からなくなってきたが,本作はこうしたところもしっかり再現されており,手間をかけて作物を育てることで,より大きな収穫のヨロコビを味わえるのだ。
畜産では,前作までの牛,羊,鶏のほか,新たに豚が追加された。牛,羊,豚については,給水や清潔度などが追加されており,肥育にはこれまで以上に手間がかかるようになった。豚は雑食なのでトウモロコシ,キャノーラ,大豆,小麦,大麦,ジャガイモなど何でも食べるが,バランス良く与えることが重要だ。
また,本作では繁殖要素が追加されており,栄養価の高い餌や水をしっかり与え,藁を入れ替えたり飼育スペースの清潔度を高めておくことで頭数が増える。栄養価の高い混同肥料はショップで購入できるが,高価なので,ミキサーに必要な材料を入れて自分で作成することも可能だ。繁殖して数が増えたら出荷できるので,畜産にも力を入れたい。
林業では,そのへんにある木をチェーンソーで切り倒し,貯木場に放り込んでおこう。小さめにカットした木材なら手持ちで運べるようになったため,クレーンや運搬機械を使う必要がなくなった。木材を切り出したらすぐに貯木場やウッドチッパーに入れることができるのは,大変ありがたい。
とことんリアルに再現された農業機械を操作しよう
本作の大きな魅力の1つが,実在する農業機械がメーカーのライセンスを取得したうえでゲームに出てくることだ。農業機械のトップメーカーAGCO Corporationの人気ブランド,Challenger,Fendt,Valtra,そしてMassey Fergusonなどは,知っている人も多いはず。75社以上の有名農業機械メーカーのトラクター,コンバイン,カルチベーター,カッター,肥料&堆肥散布機,トレーラー,トラック,ホイールローダーがゲームに収録されており,その数は250種類以上にのぼる。
さらに,GIANTS Softwareが制作したものを含めて,多数のMODがすでに公開されており,これらをダウンロードすることで,新たな農業機械が追加されたりする。
とにかくリアルに再現されたデフォルトの農業機械は,そこまでするかと思えるぐらい細かく忠実に再現されており,筆者はあれこれと視点を変え,くまなく眺め回してはニンマリしている。うらやましいですか?
また,本作では一部の農業機械において,フロントローダー取付具の有無やエンジン,タイヤ,そしてカラーリングなどをカスタマイズできるようになった。うーん,タイヤはやっぱりナロータイヤで……いや,ダブルタイヤもいいな。それとも思い切ってトリプルタイヤか,みたいなことを考えるのは,ああ楽しい。
このように魅力的な農業機械だが,経営者として頭を痛めなくてはならない側面もある。農業機械には劣化要素があり,稼働時間が長くなると故障が増え,維持費が増加し,売却価格が下がるのだ。長い間使っていると,維持費だけでもバカにならなくなるので,早めの交換を検討する必要も出てくる。上記のレンタルを使ってみるという手もあるので,使い続けるか売却するか,購入かレンタルか,経営者としては悩ましいところだ。
臨場感あるオープンワールドの中での農作業で
癒やされよう
本作では,最初に用意された農地だけが自由に使用でき,それ以外の農地は,地主であるAIキャラクターが所有している。事業が拡大し,彼らの農地を使いたくなった場合,購入する必要がある。
ちなみに,それぞれの農地の地主の農作業を手伝うというアルバイトのミッションが用意されており,制限時間内に作業を終わらせたりすることで報酬が得られるという,珍しくゲーム的な要素が用意されている。無事に作業を終わらせると,地主の好感度が上昇し,農地を購入する際に安くなったりするので,積極的にバイトに励みたい。
ミッションは,難度によって制限時間が厳しくなり,ハードともなると,時間的余裕がほとんどなくて泣きそうになる。とはいえ,基本報酬のほかにタイムボーナスもあり,繰り返しプレイすると非常に儲かるので,新しい農業機械が欲しいときなど,筆者はついついやってしまう。そのため,自分の農地は雇用者に任せ,自分は他人の土地でバイトしているという不思議な状況になるのだが,これはやはり,国の農業政策に問題アリと言うべきかもしれない。我ながら意味が分からないが,言ってみたかっただけ。
本作のマルチプレイ要素は,このアルバイト先がAIではなく,ネットでつながった世界中のほかのプレイヤーだというもの。もちろん,ほかのプレイヤーに自分の農場の仕事を手伝ってもらうのもアリで,最大8人のプレイヤーが共同作業を行える。
チャットで日本語は使えないが,「あっちの畑を刈ってくれ」「トラクターを横付けしてくれ」というような感じでみんなで仕事すれば,土の暮らしもますます楽しくなるというものだ。
実際の作業を忠実に再現するプレイしてもいいし,農地を買い占めて大農場を目指してもいい。苦労して手に入れた高価な農業機械を,見せびらかしてもいい。どう遊ぶかはプレイヤーの自由だ。グラフィックスも進歩して,没入感も高くなったため,筆者は農業機械の心地よい作動音を聞きつつ,大自然の中でゆったりと農作業に勤しんでいる。このシリーズをプレイした人なら分かってもらえると思うが,ゲームはそれなりに忙しいものの,やっていると本当に癒やされるのだ。
本作をプレイすると,目まぐるしい現代社会の流れから,ほんの半歩ぐらい身を引いてみるのも時には悪くないような気がしてくる。内容が内容だけに,どうしてもプレイヤーを選んでしまうが,興味のある人はぜひどうぞ。
「Farming Simulator 17」公式サイト
- 関連タイトル:
Farming Simulator 17
- 関連タイトル:
Farming Simulator 17
- 関連タイトル:
ファーミングシミュレーター17
- 関連タイトル:
Farming Simulator 17
- この記事のURL:
キーワード
(C)GIANTS Software GmbH All Rights Reserved. All other trademarks are properties of their respective owners.
Farming Simulator 17 (C)2017 GIANTS Software GmbH. Published and distributed by Focus Home Interactive under license of Giants Software. Developed by GIANTS Software GmbH. Farming Simulator, Giants Software and its logos are trademarks or registered trademarks of Giants Software. Focus, Focus Home Interactive and its logos are trademarks or registered trademarks of Focus Home Interactive. All manufacturers, agricultural machinery, agricultural equipment, names, brands and associated imagery featured in this game in some cases include trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners. All rights reserved. The agricultural machines and equipment in this game may be different from the actual machines in shapes, colours and performance. Challenger(R)is a registered trademark of Caterpillar Inc. and is used under licence by AGCO. Challenger(R), Fendt(R), Valtra(R) and Massey Ferguson(R) are worldwide brands of AGCO. All Rights Reserved. Licensed and published in Japan by Intergrow Inc.