プレイレポート
「シヴィライゼーション VI」の拡張パック「文明の興亡」が本日リリース。「黄金時代」「暗黒時代」などの新要素で,ゲームはさらにダイナミックに
「シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI」公式サイト
ランダム生成される世界で
自分の文明を発展させるのだ
偉大なる指導者となり,自分の文明(国)を発展させていくターン制のシミュレーションゲーム,Civ6。プレイヤーはランダムに生成されるマップに降り立ち,ほかの文明と手を結んだり戦ったりしつつ,領土を広げていく。文明の曙から宇宙時代まで,文明の興亡が体験できるスケールの大きさと,やり始めると止まらない中毒性の高さが特徴だ。
登場する文明は,DLCと拡張パックを含めると30種類以上になった。それぞれに特有のユニットや施設を擁しており,採るべき戦略が変化する。例えば,日本なら,通常の工場よりも高い効果を発揮する「エレクトロニクス工場」が建てられ,施設を密集させるとボーナスが得られる「明治維新」の特性を持つ。そのため,しっかり計画を立てたうえでのコンパクトな都市作りが有効だ。
また,ロシアの場合,都市の周囲にツンドラがあるとボーナスがつくため,寒冷地で強さを発揮する。このように,文明の能力は実際の歴史がモチーフとなっており,詳しい人なら感情移入しつつ楽しめるが,とくに事前の知識が要求されるわけでもない。
都市を築き,「食料」を確保して人口を増やし,「科学力」を上げてテクノロジーを発展させ,「文化力」で社会制度を研究し,自文明を豊かにしていくという流れは,誰でも簡単に理解できるはずだ。
本作における勝利は,戦争に勝つことばかりではなく,「自文明で創始した宗教を広める」「科学を発展させて火星に到達する」「偉人に傑作を書かせたり,国立公園を作るなどして観光力を高める」といった手段でも勝てるところが面白い。文明の発展は武力に頼るばかりではないのだ。
3つの時代が
新たな盛り上がりとモチベーションをもたらす
「文明の興亡」のテストプレイは,150ターンまで体験できるプレビュー版を使用しているが,Civでの150ターンというのは序盤からせいぜい中盤といったところ。歴史のすべてを体感できたわけではなく,新システムに対する印象や評価もあくまでプレビュー版のモノであることをあらかじめご了承いただきたい。
シヴィライゼーションシリーズの従来作における開発は,開発したいものを決めて一定期間待つという形だった。Civ6もそれを踏襲しているが,特定条件を満たすと開発期間が短縮される「ブースト」システムが加わり,ゲーム展開に思いもよらない変化を与えている。
例えば,「占星術」を開発すれば,「神殿」や「聖地」を作れるようになり,宗教での勝利に一歩近づくことになる。最初はとくに宗教勝利を意識していなかったが,たまたまマップにあった「自然遺産」を見つけて占星術にブーストがかかり,宗教にも注力するようになった……といった方針転換が起こり得る。また「弓術」は,「投石兵で敵を3体倒す」ことがブーストの発動条件になっているので,狙ってブーストを起こして発展を加速できる場合もある。ランダム生成されるマップや周囲の状況により,発動するブーストの種類も変わり,それによってプレイヤーの意思決定や展開が変化し得るわけだ。
ここに新たなモチベーションと方向付けを与えるのが,拡張パックの新システム「黄金時代」「暗黒時代」「英雄時代」,そして「時代スコア」だ(本稿では,これらをまとめて「時代システム」と呼ぶことにする)。
ざっくりと内容を説明するなら,「時代ごとにプレイヤーが中期的な目標を決め,その達成度合いに応じて,次の時代の繁栄や没落が決まる」という仕掛けだ。
新たな時代に入るたび,プレイヤーはこれからの中期的な目標となる「公約」を決めなければならない。公約には,「科学を重視し,関連したブーストを起こし,建物を造る」「文化の発展やブーストに努め,傑作を収蔵する建物を造る」「都市に新たな区域を造る」「都市を自分の宗教に改宗させる」の4種類が存在し,それぞれの条件を達成すると時代スコアと呼ばれる値が増えていく。そして,次の時代が訪れたとき,時代スコアが高いと黄金時代になり,低ければ暗黒時代になるのだ。
黄金時代では,都市の「忠誠心」がいつも以上に増加する。忠誠心は本作の新要素で,低くなると衛星都市が離脱してしまったりするため,常に高めに保っておきたいところ。また,科学力や文化力がより多く得られたり,労働者を安く雇用できたり,「伝道師」「使徒」といった宗教ユニットの移動力が上がったりなどのボーナスを選択できる。まさに黄金時代であり,大いなる躍進が期待できる。
黄金時代はシリーズ従来作にもあった要素だが,発動条件が現代風にアレンジされており,「公約どおりの行動を取れば黄金時代が来て文明が発展する」という分かりやすいものになっている。とくにゲームの序盤から中盤,何をしていいか分からなくなってしまいがちなビギナーにとって嬉しいシステムだ。時代スコアは公約だけではなく,「偉人を初めて採用する」「蛮族を初めて滅ぼす」「文明固有のユニットを初めて作る」といったことをしても増えていく。
つまり,ゲームで「良い行動」と思うようなことをすると,細かく評価される仕組みだと言えるだろう。最近は,プレイ中に特定条件を満たしたことに「実績」を与えて,プレイヤーのモチベーションを上げるシステムが普通になったが,これをシヴィライゼーション的にアレンジしたのがブーストや時代システムだと思う。もう,モチベーション,上がりまくり。
光あるところに影があるように,時代スコアを十分に稼げないと暗黒時代がやってきてしまう。忠誠心にペナルティがかかり,ほかの都市の影響を受けやすくなったりするのだが,必ずしもデメリットばかりではなく,暗黒時代専用の政策を使うことが可能になる。
政策とは政府のスロットに差し込むことでさまざまな補助効果を得られるカードのことで,暗黒時代専用の政策は強烈な効果と副作用を合わせ持っているのがポイントだ。例えば,戦闘力が上がる代わりに領土の外では回復ができなくなる「黄昏の武勇」や,「聖地」がある都市の科学力が2倍になる代わりにすべての都市の文化力が減少する「修道院制度」,さらに,宗教ユニットがパワーアップする代わりに都市の科学力が下がる「審問」など,ユニークなものが揃っている。
暗黒時代という言葉には,物事が停滞,低迷する時代というイメージがあり,こんな時代を遊んで面白いのか? という疑問もあったものの,実際にプレイしてみると専用政策が面白く,人によっては暗黒時代のほうがチャレンジのし甲斐があると感じるかもしれない。
メリットとデメリットを合わせ持つ暗黒時代のあとに,黄金時代をしのぐチャンスが訪れるというわけだ。あえてプレイスタイルに合わない公約を選んで暗黒時代に突入し,専用政策に加えて英雄時代のボーナスで大躍進を狙うという展開も,アリなのかもしれない。ターンが進んでワイルドカードの枠が多い政府ができたとき,専用政策をフル活用するとどんなプレイになるのか興味深い。
新たなスペシャリスト「総督」がプレイヤーを助ける
新要素として印象的なのが,「総督」だろう。総督は,都市に駐留させることでボーナスを得られるキャラクター達で,それぞれが軍事や経済といった得意分野と,独自のスキルツリーを持っている。
例えば,蛮族に攻められている都市に軍事型のビクターを派遣すれば,守備隊の戦闘力がアップし,大学や劇場などを建てた文化型都市にピンガラを置けば,科学力と文化力のボーナスを得られる。これにより,新たな戦略が生まれるわけだ。
特定の社会制度を開発すると,総督用のポイント(総督の称号)を入手できる。これを使って新たな総督を手に入れてもいいし,既存総督のスキルツリーを伸ばして固有施設や強力なボーナスを狙うのもいい。都市や文明に加えて,育てる対象が1つ増えたわけで,総督の育成と配置を楽しく悩みつつプレイできるという印象だ。
時代スコアによって目指すべき方向が分かりやすくなるのに加え,黄金時代や暗黒時代,そして英雄時代が訪れることでプレイにメリハリとモチベーションが生まれるという印象の最新拡張パック「文明の興亡」。すべての新要素を試すことはできなかったが,Civ6のプレイヤーなら,ぜひ試してほしいと感じた。
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