プレイレポート
「FlatOut 4: Total Insanity」の日本語版が本日リリース。過激なレースやドライバーを射出する「スタント」が楽しめる本作のインプレッションをお届け
ラリーシミュレーション「Rally Trophy」などを手がけたBugbear Entertainmentが2005年にリリースした初代「FlatOut」は,コテコテのラリーシムで培われた技術を使い,コース上の障害物をぶっ壊したり,ライバルをコース外に弾き出したり,急ブレーキでドライバーを発射して飛距離を競ったりなど,文字どおりカオスなレースが楽しめるゲームとして,発売されるやいなや,爆発的な人気を得た(関連記事)。
「FlatOut 4: Total Insanity」公式サイト
前作となる「FlatOut 3: Chaos & Destruction」については,2011年12月26日に掲載した記事でもインプレッションをお伝えしたが,前作から6年ぶりのナンバリングタイトルとなる本作。開発はBugbearではなく「WRCシリーズ」で知られるフランスのKylotonn Gamesが行っており,果たしてシリーズ最新作はどのようなゲームに仕上がったのか気になるところだ。さっそく,プレイレポートをお届けしよう。
ぶつけてナンボのゲームだけに,クリーンなレース展開は期待しないほうがいい |
これぞFlatOutシリーズ! 加速した車からドライバーを射出してさまざまなスタントを楽しもう |
普通のレースとは次元が違う過激なレースに挑め!
本作のメインとなるのが,「キャリアモード」だ。このモードには,「ダービー」「クラシック」「オールスター」という3つのクラスが用意されており,それぞれで使用できる車が異なる。
各クラスには,「ダービー・イニシエイトシリーズ」「ダービー・インターミディエイトシリーズ」「ダービー・インビテーショナル」という3つのシリーズが用意されており,それぞれのシリーズは,レースの順位によって得られるポイントの合計を競う「チャンピオンシップ」,ニトロ使用不可での一周のラップタイムを競う「タイムトライアル」,そして,車同士をぶつけ合い,生き残りをかける「サバイバー」で構成されている。
チャンピオンシップには,抜きつ抜かれつのレースのほか,ライバルをアイテムで攻撃して走りをジャマする「アサルトモード」が用意されている。アサルトモードには,自分の周囲に衝撃波を発生させて吹き飛ばす「ショックウェーブ」,磁石式の爆弾をコース上に置いて,ライバルが近くを通るとくっついて爆発する「マグネティックボム」,爆発する巨大な球を前方に発射する「ボール」,自車の後方に車止めとなる杭を設置する「ボラード」といったアイテムが利用でき,レースゲームの記事を書いているのか,SFアクションゲームの記事を書いているのか,分からなくなってくる。
もちろん,自分だけでなくライバルも同じようなアイテムを使用してくるので,トップを走っていたのに大爆発,一気にビリまで転落,なんてことがしょっちゅう起きるから憎い。
プレイを始めた当初は,ダービー・イニシエイトシリーズのダービー・ルーキーカップのみプレイできるが,入賞することで賞金と成績に応じてゴールド,シルバー,ブロンズのトロフィーが獲得でき,ブロンズを手に入れれば次のシリーズがアンロックされるという仕掛けだ。アンロックされたシリーズは何度でも挑戦できるので,繰り返し挑戦して賞金を獲得し,いろいろな車を手に入れるという流れがベリーグッドだと思う。
舞台となるコースは,20種類のレーストラックと4種類のアリーナが用意されている。工業地帯を再現した「石油化学工場」,埃っぽい砂漠地帯の「バル・ベルデ」,山岳地帯にある材木の伐採場を駆け抜ける「ロバート&サンズ製材所」,滑るアイスバーンもある雪上コース「AKワールドエンド」など,それぞれ個性的なロケーションになっていて,さらに時間帯や天候の変化,リバースコースも用意されているので,ボリュームは十分だ。
路面状況による挙動の違いも再現されている。アイスバーンでコントロールを失うと,立て直すのに一苦労する |
コースから見える景色は,どれもかなりキレイだ。そんな余裕はないと思うが,美しい景色を楽しもう |
使用できる車は各クラス9種類で,筆者の必死の計算によると合計27種類となる。これらは,キャリアの進行によってアンロックされ,プレイで得られるキャッシュで購入できる。
どの車も架空のものだが,それぞれに挙動特性が異なり,トップスピード,加速,ハンドリング,ニトロ,耐久性,強度といったパラメータがある。また,シャーシ,エキゾースト,ギアボックス,エンジン,ホイール&ブレーキの各項目をキャッシュを使ってアップグレードし,車の性能アップを図ることが可能だ。ただし,アップグレードはできてもダウングレードはできないので,「前のほうが良かった」などということにならないよう注意が必要だが,注意してどうなるものでもない気もする。車のセッティングもできないが,そういう面倒なものは必要ないタイプのゲームであることは,言うまでもない。
キャリアモードのほかには「FLATOUTモード」が用意されている。使用できる車は固定されており,ロケーションや天候が異なるバリエーションに富んだ42種類の「イベント」が用意されている。
このモードも最初は一部のイベントのみプレイできるが,イベントをこなしてポイントを獲得していくことで新たなイベントがアンロックされるという流れだ。アンロックされたイベントは自由にプレイできるが,キャリアモードのように繰り返し挑戦してポイントを溜めるといったことはできず,一番高いポイントだけがスコアに加算される仕組み。トライアル&エラーを繰り返して高いポイントを狙っていくスタイルになる。
アリーナでは,ライバルがすみっこに集まっているところにニトロを使って突っ込むと,高得点のチャンス |
左下のレーダーでライバルの位置を把握しておけば,急に突っ込まれたときに慌てなくてすむ |
用意されているイベントは,一般的なレースゲームからはかけ離れたものばかりで,ライバルとレースをするものの,スピードではなく,いかに相手にダメージを与えたかを競う「カーネイジ」,爆弾のタイマーがゼロになる前にチェックポイントを通過しながらできる限り遠くまで走る「ビート・ザ・ボム」,そして封鎖されたアリーナでライバル達と車をぶつけ合ってポイントを稼ぐ「デスマッチ」,ライバル達を破壊して生き残る「サバイバー」,フラッグを保持して逃げ回る「キープ・ザ・フラッグ」が用意されている。
アリーナでは,所定の時間だけニトロが使い放題になったり,与えるダメージや耐久性を上げるアイテムがアリーナに出現したりする。こうしたものをうまく使って,戦いを有利に進めよう。
ドライバーを射出しまくるスタントに挑め!
初代「FlatOut」を一躍スターダムに押し上げて以来,続いているのが,車からドライバーを放り出す「スタント」だ。高速で走行して急ブレーキを踏むと,フロントグラスを突き破ってドライバーが前方にスローモーションで飛んでいくので,この現象を利用してさまざまなスタントに挑戦するというもの。なすすべもなく無表情で空中を飛翔するドライバーのシュールさが秀逸すぎる。
スタントには,ドライバーを積み木にぶつける「トータルデストラクション」,ドライバーをカップに入れる「ゴルフ」,上昇気流を作り出すファンを使ってドライバーをできるだけ遠くへ飛ばす「ロングジャンプ」,キーパーをかわしてドライバーをゴールの端に投げ込む「サッカー」,ドライバーをバットに当てて飛距離を狙う「ベースボール」,金網のできるだけ高い位置にドライバーを貼り付ける「ハイジャンプ」など12種類が用意されており,いずれも現実ではとてもあり得ない,本作ならではのプレイが楽しめる。
いずれも,思わず吹き出してしまうようなビジュアルが展開し,よく考えたなあと思う。しかも,妙に熱中してしまう魅力があり,ふと我に返って,オレは今,何をやっているのだ,という気持ちになることもある。
ルールが単純なのでミニゲームとして遊べるし,操作も簡単だ。具体的には,加速した車からドライバーを発射する角度を調整し,さらにドライバーの身体をくねらせるというもの。このくねりが大切なのだが,意外なほど奥が深く,最初はたぶんうまくいかないはずだ。何度もトライを繰り返してコツをつかむと,いきなり面白くなってくる。
燃える要素としては,それぞれのスタントの結果が自動的にサーバーにアップロードされるので,世界中のプレイヤーとスコアを競えることが挙げられる。ランキング上位を狙って,プレイを繰り返してしまうのだ。「ドライバーを金網に貼り付かせたら世界一」という称号にどれだけ意味があるのかは分からないが,ぜひ世界一になりたい。
ライバルに激突し,オブジェクトを破壊すべし!
本作の面白さは,ライバルにぶつけたり,コース上のさまざまなオブジェクトを破壊したりしながら突っ走る爽快感にある。そのために必要なのが,皆様おなじみのニトロだ。
知らない人に説明すると,ニトロとはニトロゲージを消費して爆発的な加速&スピードが得られるというシロモノで,本作のニトロゲージは,ライバルにぶつけたりオブジェクトを破壊することでチャージされるため,自然に普通のレースゲームとは違う走り方になっていく。
しかし,ニトロを溜めるのはそう簡単ではない。ライバルに突進しても,避けられてコースアウトしたり,オブジェクトを破壊しようとしたら破壊不能なオブジェクトに当たって走行不能になったりなど,ニトロを狙って逆にタイムロスや余計なダメージを蓄積することも少なくないのだ。
ニトロを使う場所も重要で,しっかりコースレイアウトを把握していないと,ニトロを使ったばかりにかえってタイムロスや走行不能になったりすることもあるという諸刃の剣なのだ。
接触の程度によって,レース終了後に報酬が入るのだから,目の前に当てられそうなライバルがいれば突っ込みに行くし,トロトロしていたら突っ込まれる。追突されてスピンし,真横を向いたところにさらに突っ込まれて横転し,結局ビリなんてことは当たり前のように起こる。
余談ながら筆者は最近,目の前に車がいるとたまらなく突っ込みたくなってきたので,ゲームをプレイしたあとでマイカーの運転をするときには注意している。冗談だけど。
また,車にはダメージゲージがあり,接触などを繰り返すとゲージが減り,完全になくなるとリタイヤになる。ダメージゲージはレース中には回復しないので,これを気にしながらのレース運びが必要だ。
最後に,マルチプレイについて触れておこう。世界中のプレイヤーと対戦できるオンラインマルチプレイでは,自分がホストになってレースを立ち上げたり,ほかの人のレースを検索して参戦したりできる。また,これはオフラインのマルチプレイだが,最大8人でスタントが楽しめるパーティーモードが用意されている。1つのコントローラを使って交代でプレイするもので,複数のスタントイベントを組み合わせて遊べる。友達を呼んで一緒にプレイすれば,盛り上がること間違いない。
「FlatOut 4: Total Insanity」公式サイト
上に掲載したプレイムービーを見もらえれば分かるように,普通のレースゲームとはかなり趣の異なる本作。FlatOutシリーズファンなら当然プレイ。そうでなくても,面倒なことは考えずに破壊や爆発などのハチャメチャレースを楽しみたい人にはオススメだ。ぜひ試してほしい。
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FlatOut 4: Total Insanity
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