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「ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン」のファンミーティングレポート。発売から半年が経過した今だから話せる秘話を,開発陣が語る
ポケモンは,ゲームフリークの開発者による「ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン」ファンミーティングを,本日(2018年5月12日),東京池袋のポケモンセンターメガトウキョーで開催した。会場に集まった約200人のファンが開発陣のトークを楽しんだ,このイベントの模様をお届けしたい。
「ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン」公式サイト
ファンミーティングに登壇したのは,ゲームフリークのプロデューサー増田順一氏と大森 滋氏,ディレクター岩尾和昌氏の3人。大森氏と岩尾氏は「ポケットモンスター ウルトラサン・ウルトラムーン」で初めてプロデューサーとディレクターに就任(前作「ポケットモンスター サン・ムーン」では,大森氏はディレクター,岩尾氏はバトルディレクター)したと述べた。
開発では常に,タイトルにある「ウルトラ」という言葉を意識していたという。
増田氏は大森氏より上のプロデューサーという立場だったが,ゲームの「マンタインサーフ」では,実際にサーフィンの協会に話を聞いてから企画を立てたという。また,本作ではプロデューサーだけでなく作曲も手がけており,伝説のポケモン,「ネクロズマ」戦のBGMを制作したという裏話を語った。BGMのテーマは「未完成」で,未完成の不安定さを強調するためにバスドラムを重ね,かつてない速さと音量の楽曲になったという。
増田氏の作った楽曲に,同じゲームフリークの一之瀬 剛氏がアレンジを加えたのが「ウルトラネクロズマ」戦のBGMだ。こちらは神をイメージして,主旋律をパイプオルガン風の音でまとめている。
このウルトラネクロズマを,「ものすごい存在」として見せたいというのが開発の考えで,プレイヤーがウルトラネクロズマと出会うまでの過程を盛り上げるため,前作の2倍以上というボリュームのシナリオが必要だったと岩尾氏は語る。
ぬしポケモンの上をいく,史上最強のポケモンとされる圧倒的なウルトラネクロズマだが,冒険で出会ったポケモンの個性を使えば必ず勝てる強さに設定されているという。
デザインについて岩尾氏は,「とにかく直球で格好いいデザインのポケモンにしたい」と考え,頭の中にあった「かっこいいポケモンとは,ドラゴンタイプ」を基本に,エスパータイプとドラゴンタイプを合わせた姿に仕上げた。とはいえ,実は体のパーツは「ポケットモンスター サン・ムーン」のネクロズマと変わらず,ウルトラネクロズマはそれらのパーツを組み替えて作っているそうだ。
トークは,本作のある意味主役とも言える「レインボーロケット団」の話題に移った。
過去シリーズのボス7人が集結した,レインボーロケット団。もともとバトルエージェントのボスとして各ボスが登場する予定だったが,ホログラムだけでは彼らの個性が活かしきれない。ということで作られたのが,レインボーロケット団だという。
彼らは主人公(プレイヤー)が存在しない,あるいは主人公が負けてしまったパラレルワールドからやってきているので,それぞれが伝説のポケモンを持っているというバックストーリーも設定されている。中心的な存在はサカキだが,ほかのボス達は必ずしも彼に従っているわけではない。それぞれの考え方がサカキの悪のオーラに同調したことで,このような組織が結成されたのだ。
彼らの登場が,過去シリーズに興味を持つプレイヤーが増えるきっかけにもなったそうで,これについて開発陣は大いに喜んでいるという。
続いて,来場者が事前に提出した質問に登壇者が答えるというコーナーがスタートした。いくつかの質問と答えをピックアップして,紹介しよう。
まず,「Zワザのアイデアはどのように生まれたのですか」という質問に大森氏は,「メガシンカが限られたポケモンしかできないので,どんなポケモンでも活躍できるように,Zワザを入れました」と回答。Zワザを出すときのポーズは,アローラがハワイをモチーフとした舞台だったこともあり,「アロハ」のポーズに似たものをスタッフが1つ1つ考えていったという。社内では,「Zワザポーズ会議」も開かれたそうだ。
「新作の予定はありますか」という質問に対し増田氏は,「ありますが……」と言いよどみ,来場者に「Nintendo Switchを持っている人!」と問いかけた。そして「持っていない人は買ってください」と意味深に続けた。
大森氏と岩尾氏には「増田さんの好きなところはどこですか」という質問が寄せらえれた。
大森氏は少し考えて「増田さんの言うことは,フワッとしていることが多い」と笑いながら前置きし,「そのあと,増田さんと話せば話すほど,そのフワッとした物言いに深い意味が込められていて,全体像が分かってくる。噛むほど味が出るスルメみたいなところが好きです」と語った。
増田氏は頭の中にある程度完成したアイデアを持っているが,すべてをなかなか開発陣に伝えきれないという。大森氏や岩尾氏は,そんな増田氏の話を「だいたい理解できる」間柄になっているそうだ。
増田氏のゲーム作りには,例えば操作では1/30秒まで徹底して調整するというこだわりがあるという。とくにポケモンは,1つのシーンでバックグラウンドで次のデータを読み込んでいることが多く,それがプレイヤーのストレスを生まないように徹底して作り込むという。バトルでも,エフェクトやポケモンが咆哮するシーンをうまいタイミングで挟み込み,データ読み込みで生じる遅延に対処している。
増田氏によれば,「グラフィックスが素晴らしくなるほど読み込みに時間がかかるから,とにかく作業が大変」とのことで,ドット絵で動いていたゲームボーイアドバンスの頃は作りやすかったと振り返った。
また「人生のいい思い出は」という質問に岩尾氏は,「先日結婚しました」と電撃発表し,会場は温かい拍手に包まれた。
※5月14日追記 :初出時に,「増田氏」となっていたため,修正しました。
最後に,本作について増田氏が「ニンテンドー3DSの魅力を引き出すことができたタイトルです。発売から半年が経ちますが,さらに深く遊んでください。あと皆さん気になるのは,“ゼラオラ”ですよね。今年の映画にも登場するので,楽しみにお待ちください」と語り,イベントを締めくくった。
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(C)2017 Pokémon. (C)1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc
ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
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