プレイレポート
「MONSTER OF THE DEEP: FINAL FANTASY XV」プレイレポート。一見キワモノだが,釣りへのこだわりはかなりのもの
「FINAL FANTASY XV」(PS4 / Xbox One。以下,FFXV)本編でも楽しめた釣りがさらにパワーアップし,凶暴なモンスターである「シガイ」との戦いまで展開する本作は,VRタイトルらしく,FFXVの世界に入り込めるのも魅力。本編では主人公のノクトを操作したが,本作では自分自身のアバターを作って,ノクトたちとの出会いも楽しめるのだ。
本稿ではそんなMONSTER OF THE DEEPのプレイレポートをお届けしよう。なお,本作はPlayStation Moveでも操作可能だが,今回はDUALSHOCK 4でプレイした。
プレイヤーはメルダシオ協会に所属する「ハンター」の1人となって,各地の釣り場に現れるシガイを討伐していく。ゲームは主に一人称視点で進行するので,プレイ中に自分の姿を見ることはほとんどないのだが,アバターは細かい設定が可能だ。
そうしてゲームを開始すると,まず小雨が降る静かなスポットでの釣りが始まるのだが,水中から突如現れた魚型のシガイに襲われて,主人公(プレイヤーキャラクター)は気を失ってしまう。そこをFFXV本編でもお馴染みのシドニーに救われてホーム(自宅)に送り届けられ,再びシガイ討伐へ挑む……というのがプロローグだ。
ゲームモードにはここから続く「ストーリー」と,アンロックされたロケーションで自由に釣りを楽しむ「フリー」,依頼された魚を釣り上げて報酬を稼ぐ「討伐依頼」,オンライン/オフラインのプレイヤーと釣果を競う「大会」などが用意されている。最初はストーリーモードしか選べず,ゲームを進めていくとほかのモードが開放される仕組みだ。
釣り場はいずれもFFXV本編に登場したもの。どこもVRで体験するにふさわしい景観で,思わず見入ってしまう美しさがある。魚がいそうな雰囲気もばっちりで,世界のどこかに実在する釣り場のようでありながら,ゴブリンやカトブレパスなどのモンスターがFFXVの世界であることを主張しているという演出だ。
手元に見えるロッドやリール,あるいは釣った魚のアゴを掴んで取り込むフィッシュグリップなどのタックル(道具)一式は,意外と言っては失礼だが,リアルに描かれていて驚かされた。
実を言うと筆者の趣味はルアーフィッシング。この手のゲームをプレイするときは,まずタックルのデザインでギャップを感じることが多いのだが,本作は近年のスタイリッシュなタックルをしっかり再現していると感じた。それらをVRで間近に眺められるのも嬉しいところだ。
細かく説明すると,リールは大物や引く力の強い魚に向いたベイトキャスティングリールで,ロッドはそれに合わせたベイトロッド。やや扱いが難しく,中級者以上が使うタックルなので,これらを使いこなしているノクト達は,釣りをやり込んでいると想像できる。
ルアーはチョコボやモンスターなどをデザインしたもので,実際のルアーと同じように「ポッパー」「ミノー」「バイブレーション」といった種類が用意されている。もちろん対象の魚に合わせたものを使うと釣りやすくなるシステムだ。
引いているときの挙動や音もなかなかリアルで,ルアーの種類を知っていれば,より楽しくなるのは間違いない。
プレイヤーはタックルに加えてソナーを持っており,これを起動することで魚がいる場所を見つけられる。“見えない水中の魚を探す”というストレスになりうる行為を省いてしまう,ゲームらしい仕様だ。
魚の場所が分かったらキャスティングだが,ゲーム中のロッドとリールの操作には「カジュアル」と「スタンダード」の2タイプがある。カジュアルはロッドを振るだけでルアーが飛んでいき,スタンダードはキャスト時にルアーを放す動作やサミング(ラインが出ていくのを指で止める動作)をボタンで行う,現実に近いスタイルだ(操作タイプはゲーム中の切り替えが可能)。
スタンダードは横や下からのキャスティングもできるので,慣れてしまえばポイントを狙いやすくなるのだが,操作タイプよりも重要になるのは,ロッドを振るときの力加減だと感じた。
ただ,本作では水面や水中のストラクチャー(障害物)にルアーが引っかかるようなことはないので,狙った場所に届かなかったらやり直せばいい。あまり気にする必要はないだろう。
ソナーを使って水面に表示されたポイントにキャストし,ルアーを引いているとアタリの矢印が表示されるので,そこでロッドを上げると魚がヒット。魚が向かう方向にロッドを倒しながらラインを巻き上げ,手前まで引き寄せれば釣り上げられる。
キャッチした魚は図鑑に記録されるほか,記念撮影も可能で,このときは自身のアバターや,PS VRを装着しているプレイ中の自分の姿も写真に収められるようになっている。
釣れる魚は「アルストバス」や「ルシス錦鯉」など,実在する魚をモチーフにしたものから,FFならではと言いたくなるようなモンスターフィッシュまでさまざま。釣り場の変更やルアーの使い分けなどで,これらをコンプリートするのも目標の1つとなるだろう。
釣りのシステムは紹介したとおりだが,ストーリーモードでのシガイとの戦いには,まったく異なるゲームシステムが用意されている。
魚を釣ると画面にゲージが表示され,これが一杯になるとシガイが登場。するとプレイヤーキャラクターはロッドをボウガンに持ち替えて,ここからシューティングゲームとなるのだ。水面に現れるシガイを撃って体力を削り,シガイが弱ったところで再びロッドを手に取って,これを釣り上げるのである。
率直に言ってしまえば少々強引な展開だが,ゲームとしてはメリハリがついて楽しいシステムだ。もちろんシガイのほうも,ストーリーを進めるごとに違った特徴を持つものが出てくるので,飽きが来ない。
シガイとの戦いという特殊な要素はあるものの,釣りゲームの部分は基本を押さえていて,各ロケーションの雰囲気もバツグン。ちゃんと釣りをしている気分になれるので,FFXVを知らない釣りファンでも楽しめるのではないだろうか。もちろん,FFXVファンなら,あの世界に入り込んでノクトたちとコミュニケーションできる,という点も大きな魅力になるだろう。
FFXVの世界へと入っていけるVR体験に,釣りという付加価値が加わった本作。意外な組み合わせから生まれたVRタイトルをぜひ楽しんでみてほしい。
「MONSTER OF THE DEEP: FINAL FANTASY XV」公式サイト
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