業界動向
PS4は昨年を上回る絶好調で840万台を販売。ソニー,2015年度第3四半期の連結決算を発表
分野別業績をざっと見てみると,スマートフォンを扱うモバイル・コミュニケーション分野が,前年同期比で大幅な売上高減となっている点が気にかかる。同分野の営業利益は大幅に増加しているので,スマートフォンのラインナップをハイエンドに絞るという戦略自体は奏功していそうだが,販売台数減少が長期的にどのような影響を与えるのかは,注視していく必要もありそうだ。
さて,今やソニーの中でも最大の売り上げを誇る分野となったゲーム&ネットワークサービス分野は,PS4用ソフトウェアの好調が大きく寄与して,売上高,営業利益ともに大きな増収増益を果たした。ただ,2014年と比べて円安ドル高の傾向が続いているため,米ドル建て比率が高いハードウェアコストは,悪影響を受けているとのことだ。
また,増益の特殊要因として,2014年度第3四半期には,PlayStation VitaおよびPlayStation Vita TVの不振を受けて,これらの部品に対する評価損を約112億円も計上したことで利益が減っていたから,という事情もあったりする。それを踏まえても,ハードもソフトも絶好調というのは間違いないだろう。
音楽分野の好調要因では,意外なタイトルの名前が挙げられていたりもする。ソニーグループには,音楽分野の関連企業としてソニー・ミュージックエンタテインメントがあるわけだが,同社の子会社には,アニメ関連事業を手がけるアニプレックスがあるため,アニプレックス扱いのスマートフォン向けゲームも,最終的にソニーグループの売り上げにカウントされている。そして,アニプレックス扱いの「Fate/Grand Order」(iOS / Android)が好調だったことが,音楽分野の好業績につながっているとのことだった。
最後に余談気味に加えておくが,2015年通年におけるゲーム&ネットワークサービス分野の営業利益では,ネガティブな変動の要因として「自社製作タイトルの発売日変更の影響」が挙げられている。このタイトルが何かは,決算資料に明記されていないのだが,発売予定が2016年度にずれこんだ同社のビッグタイトルといえば,2016年3月18日の発売予定が,同年4月26日に延期された「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」がすぐに思い浮かぶ。
ソニーの決算としては,マイナス要因であるのだろうが,ゲーマーとしては完成度の高い状態で発売してもらうことも重要なので,延期の判断が正しかったといえるような内容の作品となることを期待したいところだ。
ソニー 業績発表掲載ページ
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