イベント
FFシリーズの30周年を記念した回顧展が1月22日から開催。坂口博信氏,天野喜孝氏が駆けつけた発表会をレポート
FFシリーズの生みの親である坂口博信氏と,イラストレーターの天野喜孝氏が駆けつけた会場の模様をレポートしよう。
「FINAL FANTASY 30th ANNIVERSARY EXHIBITION -別れの物語展-」は,その名前の通り,「別れ」がテーマになっている。発表会では,まずスクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋祐氏が登壇し,「世界中のファンや関係者に支えられてここまで来られました。ファイナルファンタジーはこれからも発展・進化していきます。今回の展覧会で,これまでの歴史を振り返ると共に,これからの進化に思いを馳せてほしいです」と挨拶した。
続いてはファイナルファンタジー30周年統括プロデューサーである橋本真司氏が「 “別れの物語展”と聞くと暗い印象があるかもしれませんが,仲間と出会ってから別れがあり,別れの後に新しい出会いがあります。今回は,入場時の参加型シアターや初公開の設定資料に加え,FINAL FANTASY XVの『幻の結婚式』やFINAL FANTASY VIIの『エアリスの遺した言葉』といった音声連動展示で皆様を感動に誘います」と,見どころを紹介した,
そして,ファイナルファンタジーの歴史には欠かせない2人である坂口博信氏と天野喜孝氏が登場。「ここまで来られたのも開発チームのおかげです。“とにかくチャレンジし続けるのがファイナルファンタジーだ”という精神が,新しい世代に引き継がれていて,まだまだ成長していくのだなと実感しています。40〜50周年,そして100周年までやっていただきたいです」(坂口氏),「僕が最初に関わったゲームがファイナルファンタジーで,これが30年間続いているのは凄いと思います」(天野氏)と感慨深げだった。
今回の展覧会は,音声や音楽と連動した展示が特徴だ。入場時に渡される音声ガイド機(ヘッドフォン付きのスマートフォン)を首から下げて展示物に近づくと,解説の音声や該当作品の音楽が流れてくる。
「別れの物語」をテーマとした各作品の名シーンを見ながら,耳からは解説や思い出の楽曲を楽しめるという趣向だ。取り上げられているのはいずれも名シーンばかりで,解説も詳しいので,当時の思い出や遊んだ時の感情がよみがえる人も多いのではないだろうか。
「エアリスの遺した言葉」では,ファンなら忘れられないFFVIIの「スラムの教会」が再現されており,そこを歩くと音声ガイド機からはエアリスのモノローグが聞こえてくる。彼女との別れは突然で,「エアリスが死なずにすむ裏技がある」など,さまざまなな都市伝説が生まれた。プレイした人なら,この展示でこみ上げるものがあるのではないだろうか。
FFXVを題材にした「幻の結婚式」は,ノクティスとルナフレーナの結婚式で,イグニス,グラディオラス,プロンプト,そしてノクティスの父であるレギスが祝辞を述べるというもの。こちらもプレイした人にとっては感涙ものだろう。
坂口氏,橋本氏への合同インタビュー
発表会では,坂口氏と橋本氏への合同インタビューが行われたので,その模様をお届けしよう。
――ファイナルファンタジーがここまで人気になったのはなぜだとお考えですか。
坂口博信氏(以下,坂口氏):
ゲームとして面白いことはもちろん,最先端の技術を取りいれ,最先端ハードの一番深いところを使って作ったことにあるんじゃないでしょうか。
橋本真司氏:
坂口さんをはじめとするクリエイターを集められたことについては恵まれていましたね。また,FINAL FANTASY VIやFINAL FANTASY VIIが,世界で受け入れられたのも幸せなことだと思っています。
――坂口さんは現在ファイナルファンタジーの制作から離れておられますが,また作ってみたいと思うことはありますか。
坂口氏:
最先端の技術を使って,若くて活きのいいクリエイターが作ることが大事ですから,自分よりも新しいエネルギーで育てていってもらえるほうが嬉しいですね。現在のディレクターたちも「昔,坂口さんがやっていたようなチャレンジをしたいけどいいですか?」と言ってくれますし。また,彼らに「ファイナルファンタジーとはどういうものなんですか」と聞かれたときに「あなたがチャレンジして作るなら,それがファイナルファンタジーなんだよ」と答えたりもしていますね。
――シリーズの中で思い出深いタイトルはありますか。
坂口氏:
最初のFINAL FANTASYですね。雑誌社さんに持ち込みに行ったときに門前払いを食らったり,苦労した覚えがあります。あとはFINAL FANTASY VIIでしょうか。「3Dグラフィックスで作るRPGとは何なんだろう」と手探りしながら作っていました。
――ストーリー面ではどういった部分にこだわっていましたか。
坂口氏:
ストーリーは一方向に流れるものなので,自由度が命となるゲームシステムとは水と油のような関係にあると思っています。ストーリーばかりを重視してしまうと,プレイヤーが遊ばされているような気分になってしまう。ストーリーをゲームにどう馴染ませるか,ゲームで自由に遊んでいるんだけれど,ストーリーが自然と分かってくる……というところに気を使っていましたね。
――では最後になりますが,坂口さんにとって,印象的だった別れは何でしょうか。
坂口氏:
やはりエアリスですね。ユーザーさんからの反応が思った以上に大きかったんです。「生き返らないのか」と聞かれたりもしましたし。
――ありがとうございました。
「FINAL FANTASY 30th ANNIVERSARY EXHIBITION -別れの物語展-」公式サイト
- この記事のURL: