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高橋名人が「人狼」でAIと対決! VR映像とプロジェクションマッピングを用いるゲームスペース「VR人狼渋谷」で行われたイベントをレポート
イベント会場となったのは,VR映像とプロジェクションマッピングを用いて,最大15人で人狼を楽しめるゲームスペース「VR人狼渋谷」だ。ゲームスペース内の円卓には,プロジェクションマッピングによって各種の演出映像が投影され,プレイの雰囲気を盛り上げる。これらの映像を制作したのは,元ルーカスフィルムのCGクリエイターだという。
またこれらの映像には,ゲーム中に行われるプレイヤー間の議論の制限時間も表示される。残り時間1分になると緊張感を煽るような演出も表示され,没入感を高めるのに一役買っている。
高橋名人は,東京大学と静岡大学それぞれの開発したAIと対戦することに。ルールは高橋名人と,AIが操る4人のプレイヤーが対戦するというもので,構成は人狼,占い師,狂人各1名,村人2名である。
1戦めの東京大学戦で使われたAIは,例年夏に行われる「人狼知能大会」の上位4位を揃えたという。東京大学 准教授博の鳥海不二夫氏は,AIの研究対象として人狼を選んだ理由として,「人間の心を読む」という新たなチャレンジができることを挙げていた。
この対戦では,高橋名人は占い師に選出されたのだが,結果から示すと人間陣営の勝利(つまり高橋名人の勝利)。鳥海氏によると,高橋名人が占い師だと明かさなかったことが勝因だったという。
プレイヤー間の会話によって進行する人狼は,盤面を見れば対戦の内容を把握できる将棋やチェスと異なり,まだまだ今後AIが発展する余地があるとのことだ。
2戦めの静岡大学戦で使われたAIは,静岡大学 准教授博 狩野芳伸氏によると,「人間並みに会話ができる対話システム」を構築するための研究の一環として開発されたものだという。とくに人狼は,ほかのプレイヤーの話を聞かないとゲームが成立しないため,このゲームをきちんとプレイできるAIは,すなわちきちんと会話のできるAIではないかと期待して研究を進めているのだとか。
ただ,このAIの強さは,今のところプログラムを組んだ狩野氏自身の実力以上にならず,狩野氏が実際に人狼をプレイした回数は5回程度とのことだった。
こちらの対戦では,高橋名人は狂人に選出され,「狂人の経験はあまりないんだよな」と自信のなさをうかがわせていたが,見事人狼陣営を勝利に導いた。
対戦後,高橋名人は勝利を喜ぶとともに「月1回くらいの頻度で,AIと一般プレイヤーが対戦する機会を設けると面白いのでは」と提案しつつ,「それによりAIも学習してどんどん強くなるだろう」とコメントしていた。
なおVR人狼渋谷は,公式サイトから予約が可能だ。毎週日曜日の昼には,初心者向けの時間も設けているという。興味を持った人はぜひチェックしてみよう。
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