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これは完全にVRライド系アトラクション。コックピットが動きまわる大型VR機器「VRON」はとにかくすごかった
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印刷2018/05/12 20:44

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これは完全にVRライド系アトラクション。コックピットが動きまわる大型VR機器「VRON」はとにかくすごかった

 韓国で2018年5月11日から13日まで開催されているゲームショウ「PlayX4」のB2Bフロアに出展されていた大型VR機器「VRON」を紹介したい。B2Bフロアで最も目を引いたVR機器で,その体験も面白いものだったのだ。

画像集 No.001のサムネイル画像 / これは完全にVRライド系アトラクション。コックピットが動きまわる大型VR機器「VRON」はとにかくすごかった

 VRONは,韓国のOCON,The Fourthwave,The 2H,Little Bay Cloudがクリエイティブパートナーとなって開発を進めているVR機器だ。アームでシートを宙に浮かせたような外観で,プレイヤーはこれに搭乗し,ヘッドマウントディスプレイを付けてVRコンテンツを楽しむ。ジェットコースターのように,体を固定するベルトやバーが用意されており,座った気分はロボットか何かのコックピットのような感じだ。
 特徴は,このコックピットがとにかく動きまわること。ムービーを撮影してみたので,それを見てもらうと分かりやすいが,コックピットが機器の周りを360度ぐるぐる回るだけでなく,横や縦にけっこうな勢いで傾くのだ。


 会場のデモでは,クリーチャーに破壊された宇宙ステーションのような場所から始まり,外に放り出されて宇宙を漂うVRデモが体験できた。その様子を傍から見ていると,機器の周りをぶん回されているだけなのだが,実際に体験してみると,テーマパークにある,VRとライドを組み合わせたアトラクションそのものだ。

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 とくに,障害物に向けて一気に突っ込んでいくシーンなどは,ジェットコースターのような疾走感まで感じられるほど。筆者はてっきり,搭乗者に風を当てるギミックでも搭載されているのかと思ったのだが,実は回転の勢いによって風が吹いているように感じていただけと後で知り,驚いた。

 また,途中でクリーチャーに攻撃されて吹っ飛ばされ,視界がぐるりと一回転するシーンがあって,さすがにこれはVRによる錯覚だと思っていたら,こちらは実際にコックピットが縦に一回転していると聞いて,また驚いた。

 テーマパークにあるVRとライドを組み合わせたアトラクションでも,ここまで派手な動きをするのは珍しいのではないだろうか。動きと映像の演出も非常にマッチしており,体験を終えた筆者は,「この機器と適切な映像があれば,それだけでジェットコースターとして成立するのでは?」と本気で思ったほどである。

 さらに面白いのが,最後に,手元のレバーでコックピットの向きを操作し,トリガーを引いてクリーチャーを撃つシーンが用意されていたこと。自分の操作で上へ下へとコックピットの角度が変わるので,気分はロボットのパイロットだ。

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 体験後に,The 2HのCEOであるSeunghun Lee氏と,The FourthwaveのCEOであるHyun Nam氏に話を聞いた。今回のデモの映像監督を務めたのはSeunghun氏だ。氏は,アメリカのルーカスフィルムで15年働いた経歴を持つ人物で,ユニバーサル・スタジオの「トランスフォーマー:ザ・ライド 3D」や,ルーカスフィルムのVR/AR研究スタジオ「ILMxLab」が手掛け,VR作品としては初のアカデミー賞を受賞した「Carne y Arena」でスーパーバイザーを務めたこともある。日本のポリゴン・ピクチュアズで3年働いていたこともあるそうだ。
 ずっと映像制作に携わってきた氏が,これまでのノウハウを駆使して制作したデモだけに,Hyun氏は「今回のデモは世界一だから!」とコメントしていたのだが,実際に体験した筆者としても,今回のデモ以上に楽しかったVRライド系アトラクションは思いつかない。

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The 2H CEO Seunghun Lee氏
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The Fourthwave CEO Hyun Nam氏

 デモで筆者が見事だと思った疾走感は,まさにSeunghun氏が力を入れた部分だという。これは,ヘッドマウントディスプレイを被るだけのVRでは表現できないので,大きな動きと映像を組み合わせられるVRONを気に入っているそうだ。
 また,新たなデモとして,より戦闘シーンに寄ったものを現在開発中とのことである。

 2人によれば,最近の韓国では,さまざまな大手企業がVRテーマパークに出展できるようなコンテンツに注力しているという。VRONは,その中でも注目を浴びるようなものを目指して開発を進めているが,現在の筐体サイズは置けるところが限られるので,より小さな筐体も準備しているとのこと。VRONがどのように進化して,どのようなコンテンツが提供されるのか,今後が楽しみである。

 最後に余談だが,2人は新宿にある「VR ZONE SHINJUKU」に遊びにいったこともあるそうで,その感想を聞いてみたのだが,日本のVRコンテンツの強みは,豊富なIPを活用できることだと話していた。さまざまなIPを,これまでと違った形で改めて体験できるのが楽しいそうだ。とくにSeunghun氏は,「マジンガーZが大・大・大好きです!」とのことで,本当は「パイルダー・オン」(マジンガーZの操縦ユニットである小型マシンが,頭部にドッキングすること)をVRで体験できるようなコンテンツも考えたことがあるのだが,韓国で実現するのはさすがに難しそうだとボヤいていた。や,やってみたい……。
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