[韓国ゲーム事情#501]たった3人で開発したハイブリッドMMORPG「NIDA Online」が話題に
NIDA Onlineのすべてのグラフィックスを担当したShin Min Kyu氏(左)と,プログラム担当のLee Hyun Sik氏(右)。社長のJung Dae Hwa氏は多忙だったため,直接合って話を聞くことはできなかった
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Kimの韓国最新PCゲーム事情#501
たった3人で開発したハイブリッドMMORPG「NIDA Online」が話題に(2006/3/14)
Text by Kim Dong Wook特派員
MMORPGといえば,今では数百人のスタッフ,約10億円もの開発資金が投入されるタイトルも少なくないが,韓国では今,たった3人のスタッフによって開発されたMMORPGが注目を集めている。
「ハイブリッドMMORPG」を標榜する「NIDA Online」は,現在3人しかスタッフがいないNIDA(New Interactive Digital Arts)Entertainment社が開発中のMMORPG。最小の人員で巨大なMMOワールドを創造したということで,注目度が非常に高いタイトルだ。
ある意味「不可能を可能にした」開発スタッフ達だが,その経歴を聞いてみると,なるほど,と納得できるかもしれない。 まず,ゲームの企画/原画デザイン/総括プロデュースを担当する同社の社長Jung Dae Hwa氏は,15年のキャリアを誇る「第一世代クリエイター」だ。韓国初の歴史RTS(テレビ放送との連動企画もあったPCパッケージタイトル)をはじめ,数々の作品を手がけてきたベテランである。 NIDA Onlineのプログラムを一人で担当するLee Hyun Sik氏も,10年以上のキャリアを誇り,多くのPCパッケージタイトルを開発してきたベテラン。大手デベロッパから何度も誘いの声がかかるという実力者である。また,同作のグラフィックスを一人で手がけるShin Min Kyu氏も,いくつものPCゲームタイトルで活躍してきた古強者だ。
彼ら3人は2004年5月,ソウル外郭に一般家屋を借りてオフィスとし,NIDA Entertainment社を設立。周辺の引き止め/引き抜きを振り払い,たった3人でMMORPGの開発に挑戦。何度かの試行錯誤およびクローズドβテストを経て,2005年12月にNIDA Onlineのオープンβテストをスタートさせた。 Jung Dae Hwa氏は,「寝る間も惜しんでゲーム開発に没頭し,MMORPGプレイヤーの性向と流行を分析してきました。開発時間が足りないくらいだったので,当然広報活動をする余裕はありませんでした。宣伝に費やす資金もありませんでしたしね」と,開発初期の頃を振り返って語る。
現在NIDA Onlineは,プレイヤー達の口コミだけで,累積会員数26万人,平均同時接続者数5000人という実績を誇っている。最近のオンラインゲームで数千万円の広告費用を投入/マーケティングしても,同時接続者数1万人を超えるのが難しい状況を考えると,驚くべき数字である。
「ハイブリッドMMORPG」を標榜しているのは,中世ヨーロッパ風のファンタジーと,機械文明をベースとしたSFが融合した世界観を備えているため。 プレイヤーが選べるクラスは,騎士(Knight),魔法師(Magician),召喚師(Spirits),魔工師(Engineer)の4種類が用意されている。 中でも召喚師はユニークなクラスで,召喚卵を孵化させると生まれる「精霊」と共に,冒険が楽しめるようになる。プレイヤーは召喚師と精霊をそれぞれ操作できるのだ(あえていうなら「グラナド・エスパダ」のMCCのような概念)。 魔工師は銃器を用いて戦うクラスで,遠距離攻撃を得意としている。一定レベルに到逹すれば,ロボットを購入/搭乗することも可能だ。 なお,詳細は不明だが,転職システムに相当する仕様も準備されており,最終的には999レベルまでキャラクターを成長させられるという話もある。レベルアップに必要な労力も,従来のMMORPGよりも幾分軽いようなので,プレイヤーそれぞれのペースで楽しめる作品といえそうだ。
キャラクターが一定レベルに到逹すれば,クラス別でさまざまな乗物に乗り,スピーディなゲームプレイが楽しめる点も興味深い。騎士は80レベルから虎や馬に乗ることができるし,魔法師は60レベルから羽根をはやし,空が飛べるようになる。また召喚師は60レベルからケムケム(KkaMooKkaMoo)というダチョウのような動物に乗れるようになるし,魔工師は60レベルからブースターでの飛行が可能になり,80レベルからはロボットを操縦できるようになる。なお,それらの乗り物は,専用の防具やパーツを取り付け,性能/外見をカスタマイズすることもできるので,ひと味違った「やり込み」も楽しめるだろう。
そのほか,ギルドのレベルが上昇すると,ギルド専用のアイテムが持てるようになったり,2種の武器を合成する「Dual Weapon System」があったりと,現状でもかなりの遊び応えがある。 NIDA Onlineは,2006年2月から基本プレイ料金無料のアイテム課金制をスタートしている。今後のアップデート予定としては,クエスト,スキル,乗り物,転職システム,攻城戦などを追加していくそうだ。
同作のプログラマーであるLee Hyun Sik氏は,「NIDA Onlineの基本コンセプトは『ゲーム性が充実したゲーム』です。熱心なゲーマーだけでなく,ライトなプレイヤー達にもアピールできるよう,MMORPGの無駄な部分をカットし,面白い部分を強調した作品といえるでしょう」と,NIDA Onlineを説明してくれた。
さて,気になる日本展開についてだが,同社のJung Dae Hwa社長に問い合わせてみた結果,朗報がキャッチできた。 現在,パートナー企業を公開することはできないが,すでに日本のパブリッシャとサービス契約を結んでおり,ローカライズ作業の準備段階に入っているというのだ。その件に関しては,4月中に日本で何らかの発表があるとのことなので,MMORPGファンならばぜひとも注目しておきたい。
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