[TGS 2006#66]開発元&パブリッシャに聞く,「コルムオンライン」の今後と次回作
左から,NETCLUE(GMO Gamesが100%出資している韓国の会社)のHwang, Sang Kyu CEO,NETTSのScott Kim CEO,GMO Gamesの村岡総仁代表取締役社長
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ファンタジーをベースとしたカジュアルなMMORPG「コルムオンライン」は,2003年11月にクローズドβテストをスタート後,2004年11月からは正式サービスとして運営されている。日本でサービスされている韓国産MMORPGとしては,かなりの古株といってもいい作品だ。 これまで堅調な運営とアップデートが行われてきた本作だが,今回,開発元である韓国のNetTimeSoftと日本語版のパブリッシャであるGMO Gamesとの間で,3年間の契約更新が行われた。
4Gamerでは今回,東京ゲームショウ2006会場でGMO Games代表取締役社長の村岡総仁氏とNETTS(NetTimeSoft)のCEOであるScott Kim氏,そして韓国パブリッシャNETCLUEのCEO Hwang, Sang Kyu氏へのインタビューを行った。コルムオンラインの今後,そして新作「コルムオンライン2」についての話を聞いてきたので,コルムオンラインのプレイヤーはぜひチェックしてほしい。
■「コルムオンライン」次期大型アップデートは安定化重視
4Gamer: 本日はよろしくお願いします。 今回,契約を更新されたとのことですが,GMO Gamesとしては「コルムオンライン」をどのように評価しているのか,聞かせてください。
村岡氏: コルムオンラインは,日本で運営されているファンタジーMMORPGの中でも,かなり早くからアイテム課金を始めたタイトルです。また,大規模なPvPを一つのウリとしたタイトルとしても,パイオニアと言っていい存在ではないかと自負しています。
4Gamer: この取材の前に4Gamerの過去記事を読み返してみたのですが,コルムオンラインの長い歴史にあらためて驚きました。
村岡氏: 恐縮です。NETTSさんとはとても良い協力関係を保ちつつ,今日まで共に続けてくることができました。今後もこの強いパートナーシップを維持しつつ,プレイヤーの皆さんと一緒にゲームを継続していきたいと考えています。
4Gamer: 今後の展開としては,どのようなものを考えていますか?
村岡氏: まずは,コルムオンラインのサービスを大切にすべく,アップデートに関しての準備をいろいろと行っています。
4Gamer: 大型アップデートなどの予定があるのでしょうか。
村岡氏: はい。2006年第4四半期中に,大規模アップデート「Gloria Eterna」を予定しています。このアップデートでは,コンテンツの追加はもちろんのこと,これまで以上にゲームを安定化させることに重点を置いています。
4Gamer: 安定化に比重を置く大規模アップデートというのも,なかなか珍しいですね。
村岡氏: そうですね。どのタイトルでも同じだと思うのですが,3年も運営を続けていると,直したい部分というのがたくさん見えてくるんです。その状態を改善して,よりストレスなく遊んでいただこうというのが,このアップデートの主な目的です。
4Gamer: ちょっと地味な印象も受けますが,実は非常に大事なことですよね。
村岡氏: そうとらえていただけると,ありがたいです。 日本ではあまり知られていませんが,コルムオンラインというのは,それ以前にリリースされた「コルム」というシングルプレイRPGのオンラインバージョンなんです。コルムには,きっちりとオリジナルの世界設定があって,世界全体がその設定で統一されていたんです。
4Gamer: そのような深みを持った部分が評価され,人気を得て,オンラインゲーム化につながったという話ですよね。
村岡氏: ええ。コルムオンラインも,リリース当初は同じ設定で世界観が統一されていたのですが,アップデートを重ねるうちに,もともとの設定にそぐわないデザインのダンジョンや町などが生まれてきてしまいました。そういうものを,まとめて直していこうという計画も,次のアップデートにはあるんです。
4Gamer: システムの安定化だけではなく,ゲーム内の世界でいびつになっている部分も安定させるということなんですね。 それでは,追加されるコンテンツには,どのようなものがあるのでしょうか。
Kim氏: まだ確定事項ではないということをご理解いただきたいのですが……。異なるサーバーにいるキャラクター同士でもPvPを楽しめる仕組みを考えています。
4Gamer: それは,キャラクターがサーバー間を自由に移動できるような形ですか?
Kim氏: いえ,違います。PvP専用のサーバーを用意し,各サーバーからそこにやってきて戦うというイメージです。
4Gamer: サーバーごとではなく,コルムオンライン全体で一番強い人を決められそうですね。
Kim氏: そういうイベントもやってみたいですね。 ほかにも,今まで高レベルのキャラクター専用だった,「ガーディアン」という凄く強い守護神のようなペットに,初級者/中級者向けのものを追加したいと考えています。
村岡氏: 初級者/中級者用ということで,外見的にもいわゆるペットとして可愛がっていただけるような,可愛らしいものにする予定です。
4Gamer: ペットのデザインが発表されるのが,楽しみになりますね。 エリアは追加されますか?
村岡氏: エリアに関しては,現在足りていない部分を補充していきます。 というのも,コルムオンラインには現在24エリアがあります。エリアにはナンバーが振ってあり,大きな数字になるほど強い敵が出てきます。現在の最高エリアは27なんですが,24〜26が抜けているんですね。そこで,これを補充する予定なんです。
■「コルムオンライン2」は,スポーツライクなPvPを実装?
4Gamer: ところで,先日NETTSさんからは「コルムオンライン2」が発表されました。これも日本ではGMO Gamesで取り扱うことになるのでしょうか。
村岡氏: 我々に優先権があるのは確かです。ただし,コルムオンライン2を実際に日本で運営するかどうかは未定です。作品の評価をできるレベルまで開発が進まないことには,なんとも言えません。
4Gamer: 開発が進んでも,評価が低い場合は日本でサービスされない可能性もゼロではないんですね。そうなると,あくまで仮定の話にしかならないのですが,コルムオンライン2をGMO Gamesが手がけることになった場合,コルムオンラインのサービスは並行して行うのですか?
村岡氏: その質問になら,ハッキリとお答えできます。我々はパブリッシャとしてコルムオンラインを今後も大事にしていきます。たとえ,コルムオンライン2を我々が手がけることになったとしても,コルムオンラインをいきなりやめるようなことは絶対にありません。
4Gamer: コルムオンラインの現役プレイヤーも,安心ですね。 では,コルムオンライン2の開発状況は,いかがでしょうか。
Kim氏: コルムオンライン2の開発は,2006年5月に始まりました。ですから,ステータスとしてはまだまだ開発の初期段階です。
4Gamer: 開発チームには,どんな方がいるのですか?
村岡氏: Kim CEOは,GravityのCTOだった方で,「Ragnarok Online」(邦題 ラグナロクオンライン)の総責任者をやっていた時期もあるんです。2005年12月からNETTSのCEOになったのですが,あちこちから優秀な人材を計画的に集め,開発チームを編成したそうですよ。
4Gamer: ということは,開発チームには元Gravityの方が多いのですか?
Kim氏: いいえ,さすがに全員が元Gravityというわけではありませんよ(笑)。
Hwang氏: 韓国のゲーム業界全体がそうなんですが,ヘッドハントされたり,紹介を受けて移籍したりと,人材が非常に流動的なんですよ。
4Gamer: そういった話はよく耳にします。
Hwang氏: こういう動きの早さは,日本であれば,ときに不義理に見えたりもするのでしょう。韓国でも完全にドライというわけではないんですけどね。
村岡氏: 参考までに言いますと,コルムオンラインの初期の開発メンバーは,一人もNETTSに残っていないんですよ(笑)。
4Gamer: うわぁ,その状況だとアップデートなんかは,もの凄くたいへんそうですね。
Kim氏: すべてソースから洗い出しています。やはり,メインのプログラマが辞めた場合は大変ですね。
村岡氏: ただ,韓国にはオンラインゲームの経験値を持った優秀なエンジニアがたくさんいるんです。そういう人達の手に掛かれば,状況を安定させるのにそんなに時間はかかりません。
4Gamer: たとえ優秀な人が抜けても,またほかの優秀な人が入ってくるんですね。 少し話が逸れてしまいましたが,あらためてコルムオンライン2の方向性などを教えてください。
Kim氏: コルムオンライン2は,コルムオンラインがもともと持っている世界設定やシナリオを生かす方向で開発を進めています。コルムオンラインの特徴であるバトルダンジョンや,ガーディアンシステムは2でも採用予定です。
4Gamer: 2ならではの要素も当然あるんですよね?
Kim氏: ええ,もちろん。PvP用の新しい仕組みを考えています。
4Gamer: おお,それはどんなものですか?
Kim氏: まだ企画段階の話なので,詳しくは言えないのですが,「まるでコンシューマゲームをプレイするような軽快な操作で,スポーツライクに楽しむことができるPvP」を実現したいと考えています。これ以上は,本当にまだこれからなんです(笑)。
4Gamer: うーん,さっぱり分かりません(笑)。
Kim氏: テニスや卓球のラリーのように,ずっと続く感じ……ですかね。
4Gamer: ますます分からなくなってきました。任天堂のゼルダの伝説シリーズで,ガノンドロフが放つ光の弾をリンクが剣で打ち返すようなシーンを思い出したんですが,そういうわけではないですよね?
Kim氏: ええ(笑)。詳しくお教えできないお詫びといってはなんですが,コルムオンライン2のイメージイラストをお持ちしました。一枚だけですが,初公開となる画像ですよ。
4Gamer: おお! これは嬉しいですね。ありがとうございます。なんだかうまくごまかされてしまったような気もしますが(笑)。 それでは最後に,コルムオンライン2の完成予定時期を教えてください。
Kim氏: 2007年後半を目標にしています。開発がスタートしたばかりなので,まだなんとも言えないんですけれどね。
4Gamer: それでは,早ければ2007年後半という形で理解しておきますね。 本日はありがとうございました。
コルムオンライン1の今後,そしてコルムオンライン2について,まだほとんど表に出ていない情報を,少しずつだが聞くことができた。とくに先進的なゲームファンにとっては,コルムオンライン2で計画されているという「新しいタイプのPvPシステム」が気になるところだろう。4Gamerでは,続報を入手次第お伝えしていく予定なので,楽しみにしていてほしい。(ライター:星原昭典)
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