スウェーデンのデベロッパ,Frictional Gamesの開発した「Penumbra」は,フリーのアドベンチャーゲームだ。プレイヤーは一人の青年となり,失踪した父親の手がかりを追って,古いノートに記されたグリーンランドの某所に出かける。ブリザードに襲われて逃げ込んだ岩には,謎めいた鉄のハッチがあり,直感的に「ここが目的地だ」と悟った主人公はそれを開け,中に入っていく……,というのが物語の発端。
ゲームのテーマは“ホラー”である。謎めいた施設の内部は常に暗く,また,画面全体にザラついたノイズがかかっており,なんとも言えない不安なムードを漂わせている。環境音を主体としたサウンドも,その雰囲気に拍車をかける。
ゲームの流れは,アドベンチャーゲームの基本に沿ったものだ。つまり,何かオブジェクトを発見したら,持てるものは持ち,動かせるものは動かしてみる。開かないドアがあれば,手持ちのオブジェクトを使う。奥の部屋で拾った燃料は,そのままでは発電機に注入できないが,階段の下の机の上で見つけたゴムホースと一緒に使うことで,発電が可能になる,といった具合である。
このPenumbraでは,ゲームシステムに物理エンジンをフィーチャーしているのも特徴だ。ドアを開けるには,単にドアをクリックするのではなく,ドアノブを(クリックして)掴み,そのままマウスを前に押し出す。また棚の高い場所にある物を取るには,そこらへんのダンボールを移動して積み上げ,その上に乗るといったオーソドックスな方法以外に,棚にあるほかの荷物をどかして軽くし,そのまま棚を引き倒す,などといった荒っぽい手段も使える(いつもそれができるというわけではないが)。
基本操作にはちょっとクセがあり,ユーザーインタフェースにも洗練されていないところが見受けられるが,慣れればなんということもない。
謎の施設を奥へ奥へ進むにつれ,やがてさまざまな謎が明らかになり,奇怪なモンスターなども出現してくる。果たしてこの施設はなんのために作られたのか? 地獄の扉が開いた,とはどういうことなのか? 主人公の父親はここといかなる関係を持っていたのか? 気になる人は,ぜひ自分の目で答えを確認しよう。
上に書いたように,このPenumbraは完全なフリーウェアで,最初から最後まで無料で遊ぶことができる。興味があったので,ちょっと連絡を取ってみたところ,もともと彼らのゲーム作りは,学校のプロジェクトとしてスタートしたとのこと。そこで練習を積み,やがてFrictional Gamesを作った彼らは,本作を含め,これまで3本のゲームを発表している。
彼らの目的の一つは,物理エンジンの新しい使い方を提案する,イノベーティブなゲームを制作することであり,それを実現する技術力もアイデアもあるので,期待していてほしい,と言う。とはいえ,「今必要なものは何か?」というこちらの問いに,「お金」という率直な返事。すでにメンバーの大半は学校を卒業しており,ほとんどが失業状態なんだとか。先立つものがないので,なんとかFrictional Gamesから利益が上がらないかなあ,と望んでいるのだが,具体的な措置はとくに講じていないらしい。大丈夫なのかしら? とはいえ,「我々は一生懸命やってるよ。なぜなら,我々はゲームが好きだからね」と語るのは,なんとも嬉しい限り。
月並みな意見で恐縮だが,こういう人達がいる限り,PCゲームの将来はそれなりに明るいと思う。公式サイトでのPenumbraの総ダウンロード数もここ3週間で10万件を超えたそうだ。
フリーゲームは星の数ほどあり,もちろんすべてプレイしたわけではないので,ごく個人的な感想だが,ここまで凝った作品はあまりないという気がする。グラフィックスの質が高く,恐怖感をあおる演出も見事だ。モンスターが出現して以降はやや単調なきらいがあるしゲームそのものも短めだが,パズルの難度も適当で,ストーリーもそれなりに面白い。
ファイルサイズもさほど大きくないので,ぜひダウンロードして,彼らの“本気度”を確認していただきたい。また,“いずれ出る”はずの次回作にも期待していよう。
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■動作環境
(C) 2001-2006 Frictional Games |
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