― ファーストビュー ―
プライベートエリア制を採用,躍動感あるキャラクターで魅せるアクションRPG
SUN 〜Soul of the Ultimate Nation〜
Text by 川崎 政一郎
2006年2月1日

※以下の記事は,2006年1月30日時点でのゲーム内容で,韓国語版を基に作成しています。画面中に文字化けしている箇所が多々ありますが,ご了承ください。

 

■プライベートエリア「Battlezone」を 自分向けにカスタマイズして冒険に出撃

 

「SUN」は,Webzenが現在鋭意制作中の,オンライン3DアクションRPG。現在は韓国内でβテストが行われている段階だ

 「SUN」(Soul of the Ultimate Nation)は,かつて「ミュー 〜奇蹟の大地〜」を手がけた韓国Webzenが,現在制作中のMMORPGである。韓国市場での注目度はかなり高く,1月24日から30日まで行われた「プレオープンβテスト」では,クライアントファイルのダウンロード試行回数が,その初日だけで70万に達しているとのことだ。
 4Gamerでは,このテストプレイに参加する機会を得たので,ファーストインプレッションをお届けしよう。現時点では未実装,あるいは今後仕様変更されるであろう機能が多いものの,ゲーム全体の雰囲気を大まかにつかんでもらえれば幸いである。

 SUNのゲームジャンルは,3DタイプのアクションRPGである。キャラクターの操作は基本的にマウスクリックで行うが,移動に限りキーボードのW/A/S/Dキーでも可能だ。ゲームの世界観はダークファンタジーとでもいうのだろうか,「Lineage II」や「Diablo II」に近い雰囲気である。
 そして注目すべきは,美男美女が勢揃いしたキャラクター達。画面内を自分のキャラクターが占める割合は,ほかのタイトルに比べて高く,実際に動かすとかなりの躍動感がある。こういった,キャラクターの派手さと見映えの良さを前面に出したのが,本作の特徴だ。

 プレイの人数規模に関しては,MMOとMOのシステムの両方を取り入れている。拠点エリアでは大勢の人達が集うMMO形式,そして冒険エリアでは限られた人数でのMO形式となっており,このあたりは最近のタイトルでは「Guild Wars」に近いシステムだ。これによって多人数のコミュニケーションと,プライベートエリアによる快適な戦闘を両立させている。

 SUNの冒険用プライベートエリアは「Battlezone」と名付けられている。実際に冒険に出かけるまでの流れを説明すると,まず拠点エリアに滞在するNPCに話しかけ,「Battlezone」の生成を行う。このとき,いくつかの項目を指定することで,冒険の舞台をある程度カスタマイズできるのが大きな特徴だ。それらの中でも基本的なのは「冒険目的」で,“Mission / Hunting / PvP”の3パターンの中から選ぶ。
 もう一つ重要なのは「エリア種別」で,場所により参加可能なキャラクターレベルが異なってくる。ちなみに,現在実装されているBattlezoneのエリア種別には,森林をテーマとした「Forest of Beasts」と,薄暗いダンジョンの「Underground Waterway」の2種類がある。

 以上の項目を設定すると,Battlezoneの待機画面へと切り替わる。ここでほかのプレイヤーからの参加を待ったり,友達との待ち合わせを行ったりする。「Guild Wars」の冒険エリアとは異なり,ほかのプレイヤーからの参加が,ある程度オープンになっている点に注目してほしい。もちろん,Battlezone作成時にパスワードを設定して,身内だけで遊ぶことも可能だ。
 待機画面では,このほか地形を3通りの中から選択,3段階ある難度の選択,クリア時のボーナス要素を“アイテム / 経験値”の2種類から選択できる。すべて準備が整ったら,いよいよゲームスタートだ。

 

HPとMPの自然回復が速いため,ポーションの類は必須でない。そのためゲーム自体もサクサク進む印象だ 拠点エリアは,大人数が行き交うMMO形式となっている。現在は2か所が実装されているが,どちらも賑わっている 冒険の舞台となる「Battlezone」は,プライベートエリアによるMO形式。ラグなどの影響も受けにくく快適にプレイできる

 

各拠点にはBattlezone用のNPCが数人滞在しており,彼らに話しかけて冒険へと出かける。直接歩いて外に向かうわけではない Battlezoneの生成時は,地形や難度などをある程度カスタマイズできる。自分の実力に応じて,効率よくプレイできるのだ 基本情報を設定したあと,ほかのプレイヤーから参加を募る。プレイヤー同士の交流が比較的オープンになっているのが特徴

 

Battlezone内はあまり広くなく,普通にプレイすると20〜30分前後でクリアできる。よってプレイは比較的テンポ良く進行する 混雑対策として,サーバーにある三つのチャンネルから選ぶ。Guild Warsの「District」(区域)のような,自動振り分け機能はないようだ 現在では「Tringel」と「Waldchen」の2拠点が実装されている。よく見ると,Battlezone用のNPCが各地にいるのが分かるだろう

 

 

■ボーナスポイントとスキルポイントの割り振りが 大きな鍵を握るキャラクター育成

 

現時点で作成できるクラスは4種類がある。このキャラクター作成画面は凝ったデザインだが,奥に鎮座ましましているのはボスだろうか?

 次に,本作のキャラクター育成関連のシステムを説明しておこう。最初のキャラクター作成時に選べるクラスは,「バーサーカー」「ドラゴンナイト」「ヴァルキリー」「エレメンタリスト」の4種類がある。性別はクラスに固定されており,前二つが男性,後二つが女性となっている。キャラクターはBattlezoneでの戦闘を経てレベルアップし,そのとき得られるボーナスポイントを各項目に割り振ることで,さまざまな方向へと個性が育っていく。

 本作のステータス項目は「STR」「DEX」「VIT」「INT」「WIZ」の5種類。これらにボーナスポイントを割り振って育成していく。しかし本作ではステータスのほかに,クラス独自の「Skill Proficiency」(Proficient=堪能,の意)という系統が2種類用意されており,これらにボーナスポイントを割り振ることも可能だ。こうすることで,クラス専用のスキルを新たに習得できるのだ。

 バーサーカーを例にとってSkill Proficiencyを見てみると,防御関連のスキルが詰まった「Defender」と,攻撃関連の「Berserk」の2系統がある。Defenderに5ポイント割り振ると,新たなスキル「Taunt」(挑発)が習得可能となる。もう一方のBerserkに5ポイント割り振った場合は,「Bash」(敵を弾き返す)が習得可能になるといった具合だ。これらSkill Proficiencyに属するスキル数は,現時点でそれぞれ10〜20前後あり,今後はさらに増えそうな雰囲気である。

 さらに,Skill Proficiencyを高めていくと,すでに習得したスキルのレベルアップも行えるようになる。ただし新たなスキルの習得や,スキルのレベルアップ時には共通して,「スキルポイント」が1必要となる。このスキルポイントは,レベルアップ時に1ずつしか獲得できないので,すべてのスキルを高めていくことは不可能だ。このあたり少々分かりづらいが,ボーナスポイントとスキルポイントはまったく別なので混同しないよう気をつけて読んでほしい。

 どのスキルを育てていくかはもちろんのこと,その前提となるSkill Proficiencyに,どれだけのボーナスポイントを注ぎ込むかは極めて重要だ。例えば数多くのスキルを習得したいがために,Skill Proficiencyにばかりボーナスポイントを振ってしまうと,STRなどのステータス面がおろそかになり,基本的な戦闘能力は,なかなか伸びないだろう。このあたりのバランスがキャラクター育成時の鍵であり,そして面白さのキモだといえよう。

 ちなみに,一度割り振ったボーナスポイントとスキルポイントは,現時点では取り戻すことはできない。そのためポイントの割り振りには,かなり神経を使いそうだ。それでは,これらの点を踏まえたうえで,現在選べる4クラスの概要を説明していこう。

 

同一サーバー内には,最大で5名までキャラクターを作成できる。全クラスに軽く触れたうえで,メインキャラを育てるのが良いかも キャラクターがレベルアップすると,貴重なボーナスポイント5を得られる。これの割り振り方が育成時の鍵を握るのだ 「Basic Status」は“STR / DEX / VIT / INT / WIZ”の5種類。HPやMPといった基本能力のほか,武具の装備条件にも関与している

 

「Skill Proficiency:Defender」の値に注目してほしい。これを5まで上げると,「Taunt」スキルの習得条件を満たすことになる 習得済みのスキルを,さらにレベルアップさせることも可能。スキルポイントがいくらあっても,とても足りないことだろう 習得条件にSkill Proficiencyが関与しないタイプのスキルもある。これは,キャラクターレベルの条件さえ満たせば習得可能だ

 

●バーサーカー(性別:男)

 

キャラクター作成時の画面。この「Basic Status」の初期値をほかのクラスと見比べれば,大まかな方向性は理解できるだろう

 「狂戦士」の名の通り,筋骨隆々の粗暴な戦士。各クラスには得意とする武器が2タイプあるが,バーサーカーの場合は両手斧と両手剣がそれにあたる。これらの巨大な武器をブンブンと振り回し,名前から受けるイメージそのままの活躍を見せてくれるのだ。

 バーサーカー用のSkill Proficiencyには,先述したように,防御系の「Defender」と攻撃系の「Berserk」がある。スキルの全体的な傾向としては,やはり強靱な身体能力を発揮するタイプのものが多い。スキル使用に必要なポイント(SP)は,バーサーカーの場合は敵から攻撃を受けることで蓄積していくというユニークなもの。よって最前線で敵からの攻撃を一身に受けながらも,スキルで形勢逆転といった展開が期待できそうだ。

 

バーサーカーはゲーム中では,最もオーソドックスなクラス。スキルも単純明快なタイプが多く,広く受け入れられそうだ アクションRPGなので,ゲームはスピーディに展開する。これらの両手武器を豪快に振り回す姿は大迫力だ Skill Proficiencyを必要としないスキルの中では,各種武器のマスタリーに注目。ゆくゆくは,斧か剣のどちらかに特化することになるだろう

 

●ドラゴンナイト(性別:男)

 

各クラスの髪型とフェイスタイプは,それぞれ3種類ずつある。今後はもう少し選択肢が増えることに期待しよう

 直訳すれば「竜騎士」となるが,本作に騎乗用のドラゴンは登場しない。ドラゴンの持つパワーを体内に宿し,それを戦闘時に活用させるというクラスである。ドラゴンナイトが得意とする武器は,一つは両手槍。そしてもう一つが,細身の剣による二刀流だ。同じ前衛職でも,バーサーカーがタンク役なのに対し,ドラゴンナイトはアタッカーとしての印象が強い。

 Skill Proficiencyは,ドラゴンパワーを借りて武器を振るうタイプの「Dragonic」と,そのほか戦闘系全般をまとめた「Combat」の2種類。これらの大半のスキルは槍と剣の両方で使えるが,バーサーカーと同様,武器のマスタリーもまた別に用意されている。そのため早い段階で,槍か剣のどちらかに特化する必要がありそうだ。

 

ドラゴンナイトは近接アタッカーという位置づけのクラス。ヒット&アウェイの戦術が好きな人にはお勧めできそうだ 二刀流の状態で,敵に斬りかかるスキル「Assault」を使った瞬間。このように,スキルごとのアクションには見応えがある スキル使用に必要なポイント「SP」は,ドラゴンナイトは時間の経過と共に蓄積していく。同じ近接クラスでも,方向性は微妙に違う

 

●エレメンタリスト(性別:女)

 

ほかのクラスと比べると,INTとWIZの値がダントツで高い。魔法関連のスキルに特化したければ,エレメンタリストで決まりのようだ

 エレメンタリストは,本作の中では唯一の魔法特化型クラスだ。使用武器は片手用のワンドと両手杖だが,序盤をプレイした限りでは,接近戦でもそれなりに強い。仲間の回復や蘇生関連スキルも習得可能で,ヒーラーとしての育成もできる。ちなみに,4クラスの中にヒーラー的なタイプを含んでいないように思えるが,実はエレメンタリストがそれに該当する。

 エレメンタリスト用スキルの多くは,四大元素に属している。これらはSkill Proficiencyによって二分されており,具体的にいうと「Ether」には“火&水”,そして「Circle」には“風&土”が割り当てられている。同じ目的の魔法でも,例えば水系の魔法は敵を鈍化させ,土系の魔法は地面に縛り付けるなど,それぞれ特色があるのはいうまでもない。

 

エレメンタリストは序盤から派手な攻撃魔法をいくつも習得できる。MPの自然回復も速く,気兼ねなく使用できるのだ Skill Proficiencyであるため,大半のエレメンタリストは“火&水”または“風&土”の,どちらかを選ぶことになるだろう 肉弾戦もある程度こなせる。幅広い能力に加えて,魅力的な外見も相まってか,今回のテスト中はもっとも数多く見かけたクラスだ

 

●ヴァルキリー(性別:女)

 

身長を4段階から選べるのはユニーク。キャラクターのグラフィックスをウリとするタイトルなので,一度は最大でプレイしてみたい

 最後に紹介するヴァルキリーは,その名前から多くの人が受けるであろうイメージと,実際が大きく異なる。なんと,マシンガン2丁の両手持ち,あるいは長身のライフルを抱えて撃ちまくるというクラスなのだ。これらの銃器に弾数の概念はなく,バリバリ撃ちまくれる。よってヴァルキリーのプレイ時は,まるでガンアクションのような感覚である。

 ヴァルキリー用のSkill Proficiencyは,銃器関連のスキルが詰まった「Offensive」と,回復/蘇生を含むサポート用の役割を含む「Summon」がある。このように,男性用クラスの2種類が近接攻撃を得意とする一方で,女性用クラスの2種類は,遠隔攻撃やサポート関連に秀でているという印象だ。

 

ヴァルキリーは4クラスの中では唯一,遠隔物理攻撃を専門とする。外見も派手で,エレメンタリストとは別の意味で人気が出そうだ エレメンタリストには及ばないものの,サポート用のスキルもいくつか習得できる。クラスの傾向としては浅く広く,といったイメージ ヴァルキリーの銃器は弾薬を気にせず発射できる。基本的な世界観はファンタジーだが,魅力的な要素は貪欲に取り込んでいるようだ

 

 

■BattlezoneやSkill Proficiencyといった方向性を 打ち出しながらも,全体的にはオーソドックスな作り

 

これから発売に向け,Battlezoneをどれだけ熟成できるかが評価の分かれ目になるだろう。ミッションや対人戦,幅広いプレイスタイルに期待したい

 ゲームの基本的な流れとしては,自分の実力に応じたBattlezoneを生成(あるいは参加),その中で冒険し,レベルアップに励むことになる。とはいえ現時点では,Battlezoneの「Mission」「PvP」の機能が実装されておらず,参加者はHuntingのみを延々と繰り返すしかなかった。実装されているBattlezoneが2種類という点も含め,ちょっと現時点では,ゲームの全容を把握することは難しいというのが正直なところである。

 本作は「Guild Wars」に影響を受けたタイトルとして紹介されることがあるが(4Gamerでもそのような記事が過去にあった),本質的にはかなり異なる。Guild Warsを端的に説明すると,スキル構成などの限られた条件下における戦術面のやりくりを追求するゲームである。これに対して本作は,ボーナスポイントやスキルポイントによる,キャラクターの育成方向に重点が置かれている。よって比較するなら,「Lineage II」などに代表される,オーソドックスな韓国系アクションRPGのスタイルといえよう。

 個人的には,本作の最大の魅力はキャラクターのグラフィックス関連にあると思えた。掲載画像を見てもらうと分かるが,これほどまでに大きなキャラクターが,画面中を所狭しと暴れ回る姿は,実際にプレイするとかなりの迫力がある。細かいゲームバランス面には多少目をつぶってでも,キャラクターの魅力が存分に引き出されることに今後期待したい。

 最後に,言語関連のシステムについて触れておこう。今回のテストではゲーム内の各項目,ヘルプメッセージ,NPCネームはすべて英語表記。そしてNPCの会話やキャラネームはハングル文字という仕様であった。この仕様を見るに,恐らく本作は海外展開も見越しており,日本語版の登場も期待できるかもしれない。このあたりにも注目しつつ,今後の展開を見守っていきたい。

 

Battlezoneの仕様上,パーティ編成を自然に行えるのが好印象であった。ギルドシステムなど,コミュニケーション面にも力を入れているようだ 参考までにキーコンフィグ画面も掲載しよう。スキルのショートカットとして,12項目もの数が用意されている点に注目 一応ポーションの類も販売しているが,これらが必須でないのは助かる。韓国産のアクションRPGも次第に変わりつつあるようだ

 

エレメンタリストがモンスターを魔法で足止めしてから,バーサーカーが斧で一閃! パーティプレイ時のコンビネーション要素もそれなりにある 同じエリアのBattlezoneでも3種類の地形がある。今後もう少しBattlezoneの種類が増えてくれると,単調なプレイにはならずに済むだろう 武具を組み合わせることでランクアップでき,さらに強力になる。トレードスキルはないものの,合成関連のシステムはある

 

とりあえずグラフィックスを堪能するだけでも価値あり。ちなみに今回使用したPCのスペックはCPUがAthlon XP 3200+,グラフィックスカードがRadeon 9500 Pro,メインメモリは1GB。ゲーム中のグラフィックス関連のコンフィグはすべて「MAX」で設定した

 

タイトル SUN(Soul of the Ultimate Nation)
開発元 Webzen 発売元 Webzen
発売日 2006/12/19 価格 基本料金無料(アイテム課金)
 
動作環境 OS:Windows 98/Me/2000/XP(+DirectX 9.0以上),CPU:PentiumIII/1GHz以上[Pentium 4/2.40GHz以上推奨],メインメモリ:256MB以上[1GB以上推奨],グラフィックスチップ:GeForce4 MX以上[GeForce 6シリーズまたはRadeon X600シリーズ以上推奨]

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【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/review/sun/sun.shtml