カジュアルゲームには,どうしてもレース物が多いのだが,今回はアクションや瞬時の判断力といったプレイヤースキルよりも,より深い心理戦が要求されるタイトル,「RAGNAROK TCG」(以下,RO TCG)を取り上げてみよう。ポップな絵柄だけで「オコチャマゲームか」と早とちりしてはいけない。シンプルで分かりやすいシステムに加えて,カードゲームならではのオトナの駆け引きが楽しめるのだ。
ネットマーブルで配信されているRO TCGは,人気MMORPG「ラグナロクオンライン」(以下,RO)の世界観をベースとした,オンラインカードゲーム。カードには,ROに登場するモンスターやアイテム,スキルなどのイラストが可愛く描かれている。とはいえ,本家ROに関する知識やプレイ経験はとくに必要なく,「マジック:ザ・ギャザリング」(M:tG)などに代表される,トレーディングカードゲーム(TCG)でオーソドックスなルールが採用されている。
デッキは「デッキエディター」で編集。相手に合わせて,あらかじめ3パターンのデッキを用意できる。最強のデッキを目指して試行錯誤するのが楽しい
まずは基本ルールを,ごくごく簡単に説明しよう。30枚の自分専用のカード群(デッキ)から,手札として5枚与えられる。この中から「モンスターカード」を場に出して攻撃させ,相手プレイヤーの分身である「キャラクターカード」のHPをゼロにするか,相手のデッキをすべて消費させれば勝ちだ。
ただしキャラクターカードを直接攻撃するには,まず相手が場に出しているモンスターカードをすべて排除しなければならない。逆にいえば,自分が場に出しているモンスターカードは,相手の攻撃をガードする壁のような存在でもあるわけだ。モンスターカード以外にもいろいろな種類のカードがあり,モンスターを強化したり,スキルを利用したりすることで,無限の戦術が生まれる。とにかく奥が深いのである。
新たなカードはRO TCGの公式サイト上,またはゲーム内の「マーケット」から購入できる。ただし,数量0と表示されたものは売り切れ状態。入荷を待つしかない
本作のアカウントを作成(無料)すると,最初から「基本デッキ」と呼ばれるデッキが与えられ,すぐにでも対戦は可能だ。基本デッキだけでも10種のモンスター,5種のアイテム,7種のスキルカードが収納されているので,これらを上手に組み合わせれば,最初のうちは新たなカードを購入しなくても問題ない。ゲームのメインは,あくまで駆け引きの腕とダイスの運にある。高価なカードやブースターパックを所持している人が,必ずしも勝つとは限らないのがこの手のゲームの魅力だろう。
ちなみに購入可能カードには,ゲーム内で手に入る通貨「ゼニー」(Zeny)だけで買えるものと,いわゆるリアルマネーと引き換えで手に入る通貨「ジェム」(Gem)とゼニーの両方必要なものとに分かれる。
カードゲームに不慣れな人の場合,カードの効果的な使い方を理解するのはなかなか大変だが,RO TCGは公式サイトに用意された初心者向けの解説ページ「マヴィのガイド♪」で,ゲームシステムから実際の試合内容まで,かなり懇切丁寧に説明してくれている。また,待機ロビーからルーム入室後に「観戦モード」を選べば,(ルーム作成者が許可している場合のみ)他人同士の試合でも観戦可能。上級プレイヤーの駆け引きを,じっくり研究すると良いだろう。
また,公式サイトで引き受け,ゲーム内で遂行する形式の「クエスト」といったお楽しみ要素があるなど,初心者を飽きさせない工夫は高く評価したい。
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対戦相手を探すためのロビー。画面右側に表示されている,現在接続中のプレイヤーを右クリックすれば,詳細情報をチェックできる |
レベル別に挑戦できる「クエスト」は,公式サイト上から受けられる。指示どおりの行動や戦果を上げれば,報酬がもらえるというもの |
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序盤の3ターンめ。カード運が悪く,十分なモンスターカードを配置できなかったため,キャラクターが相手のモンスターカードから直接ダメージを受けている
「デッキエディター」でカードを編成し終わったら,早速ロビーで対戦相手を探し,対戦してみよう。
まずはダイスを振って,先攻/後攻を決定。所持するカードはお互いに30枚で,その中からランダムに5枚が手札として自動配布される。場に出せるのは「モンスターカード」が3枚,「スキルカード」が2枚となっているが,何はともあれまずはモンスターカードを出さなければならない。運が悪ければ手札がすべてスキルカードまたはアイテムカードで占められ,1枚も場に出せないなんてこともある。
お互いが出すカードの種類と,カードを置く位置を決めれば,いよいよ先行側の攻撃が始まる。ただし最初の3ラウンドあたりまでは,それほど激しい戦いにはなりにくい。というのも,カードにはそれぞれ「SP」と呼ばれる消費ポイントが設定されており,これが足りなければ場に出せないのだ。今いくつSPがあるかは,画面左上に見える宝石アイコンの数字が示しており,1ターンめには1SP,2ターンめには2SPが加算されていく。攻撃力や防御力の高い有能なカードほど必要SPが高く設定されているものなので,強力なカードを買い揃えた上級プレイヤーが,ゲームスタートと同時に高レベルカードを連発して,ビギナーを一気に叩き潰すようなことができない仕組みだ。
スキルカードを使うと派手なエフェクトが。スキルには「ヒール」などの支援系,「ナパームビート」といった攻撃系に加えて,SPを増やす「富裕」などもある
こうして互いにモンスターカードを出し,攻撃して相手のモンスターカードを倒していき,場にモンスターカードがいない場合はプレイヤーのキャラクターカードがダメージを直接受ける。場に出したカードは,配置によってどの相手モンスターと戦うかを決める。
ときにはキャラクターカードを守るため,絶対に勝てない弱小モンスターを敵の超強力モンスターに捨て石としてぶつける必要もある。後半戦にとっておきたいモンスターを守るのも大事だが,同時にデッキには何枚か,倒されても惜しくない雑魚カードを混ぜておくことも大切だ。それがキャラクターカードの身代わりになってくれると思えば……。
なお,相手のカードを1枚倒すごとに,ゲーム内通貨「ゼニー」を獲得する。試合終了後には取得した合計ゼニーが表示され,これが新しいカードを購入する資金となっていくわけだ。
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カードごとに設定されている最大/最小攻撃力は,出たダイスの目によって変わる。コツをつかめば常に強い目が出せるらしいが……。いまだそのコツは知らない |
一度場に出したカードは手札に戻せないが,配置順は変更可能。防衛時には相手の戦力と残りHPを考えて,負けを覚悟で犠牲にするカードを決めることも必要だ |
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